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学びに生産性を求めてはいけない

突然ですが、皆さん三平方の定理をご存知でしょうか?

直角三角形において、直角を挟む辺をa、b、斜辺(直角の対辺)をcとした時に
a^2+b^2=c^2が成り立つ、というもの。

中学で習うので、知らない訳ないだろという声が聞こえてきそうですが…

三平方の定理、成り立つことを証明できますか?

…意外と難しくないですか?笑

三平方の定理は知っていても、証明できるかと言われると、できない人は結構多いと思います。

※調べればすぐ出てきますが、知ってるよ!っていうのでなければ是非考えてみてください。

ヒントは直角三角形を組み合わせてみて。

受験に不要な「公式の証明」

三平方の定理を例に挙げましたが、数学では沢山の公式が出てきますよね!

ネットを見ると、公式を覚える派か導出する派か、と議論が見受けられます。

公式が覚えられないor使い方がわからないと、数学が苦手になってしまいますよね。

そんな中で導出すると言われても、ナニ言ってんの…?となるかもしれません。

逆に得意だよ、という方は結構導出するよ、という方も多いはず。

でもそれにしたって、問題を解く時にイチから証明を行うわけではありません

受験問題の中には、受験生の理解度を測るために公式の証明を行う問いもありますが、多くはそこまで分かってなくても解けてしまいます。

ただでさえ覚えること、やることの多い受験。
受かるために必須でもないとなれば、正しい理解などそっちのけ。

安易に"解き方"を求めてしまうのもやむなしと言えましょう。

…だけど、それって面白いです??

答えを出した子一等賞の教育

勉強なんてやっても仕事で使わない、という意見があります。

でも一方で、大人たちはちゃんと仕事と勉強を繋げて考えてます。

一つの決められた答えを、素早く正確に弾き出す。その能力を点数化し、それが出来た人をより評価する。

だからこそ評価されるために、点数を上げる努力を行う。違反しなければ方法はなんでもいい。

学生のうちのテストでは決められた時間内で解答し、点数がついて評価されます。

これ、仕事でも基本的に同じですよね。

仕事には正解はありませんが、上司や会社がいて、正解に近いモノがなんとなくあります。

だから勉強も、効率よく点数を上げる努力をすれば、大人にも認められるし仕事にも生きる。
良い子で優秀な子が出来上がる。


でも、コレって大人の都合を押し付けてます。


だって、学びは仕事のためだけにあるわけではないのですから。

答えを急いてはいけない

仕事というのは、"お金を貰って"モノを提供することです。

だからこそ、如何にコストを下げ、如何に多くの儲けを出すかがカギになります。
生産性が重要視されるのは当然と言っていい。

しかし、勉強にもそれを適用してしまうのは誤りではないかと思います。

そもそも学びの目的は"問題を解けるようになること"にはありません。


学びの目的は、問題を解くことではなく、問題を解く過程で、考える力を培うことにあります。

そのためには、一つ一つを分解して自分の言葉で理解していく過程がとても重要です。

数学で言えば、公式の証明を理解することです。証明は公式の成り立ちですから、それを理解することが公式の意味の理解に繋がります。

そして意味がわかるからこそ、"使えること"に意味があるのです。

問題が解ける、というのは意味理解の副産物に過ぎません。

導出する派か丸暗記派か、というのも問題を解くことを前提にした議論ですから

どちら派であろうと、学びの視点においてはこの議論自体が的外れといえます。

学問の面白さは"理解"にある

勘違いして欲しくないのは、証明を考えて自分で編み出せというわけではありません。

数学の公式は過去の数学者たちが積み重ねてきた歴史の中で、洗練されて今の形になっているわけです。素人が思いつくのは無理です。

教科書や、今ならインターネットで、調べて良いのです。むしろ存分に調べるべき。

しかし、ただ答えを出すことを望むんではダメです。

学ぶというのは、言われたことが出来るようになることではなく。

自分でポイントを考えたり、手を動かしてやってみたり。その過程の中で物事を理解していくことでしょう。

何よりそれで理解出来た時が本当に面白い。

学びとは、思考し、試行し、嗜好すること
と心得たり。

面白さを感じさせるのも教育では

私には、日本の教育システムは学問の面白さをおざなりにしているように思えてならないんです。

勿論、子供に興味を持たせるように授業を工夫してる先生方も沢山いらっしゃると思いますが。
個々の先生の努力の話はまた別です。

先にも書いた通り、学問の面白さは"理解"にある。
だけど、日本では面白さは二の次です。

仕事に直結するように、回答を出すことに重点を置くのが今の教育システムですから。

時間のない中で理解を置き去りに、回答を出す力ばかりを培っていく。

でも、生産性を押し付ける教育の中で面白さを自分で見出すのも中々難しいです。

つまらないなら、入り口で躓いてしまうのは至極当然のこと。

学校で身につけられる力は、本来仕事だけじゃない、人生の中で活用できる汎用性の高い力のはずです。

そしてそんな力を身につけるためにはとてつもない時間も労力も要します。

だからこそ、学びにはやっぱり面白さが大事。

学びに面白さを感じて貰うには、周りの大人たちが、学びに対する意識を変えていく必要があるかもしれませんね。

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