『疾風の子』
スイミングスクールを出ると、駐輪場の自転車は軒並み倒れていた。
強風、突風。
踏ん張っていないと、シンの小さな体は飛ばされそうになる。
「春一番? 寒いから違うか」
母親が自問自答しながら身を寄せる。
「空はすごい晴れてるんだけどな」
父親が空を見上げる。
シンは「皆、来れるかなあ」と呟いた。
日曜のスクール後は、三時に公園で保育園の仲間たちとサッカーをするのが最近の常。
車で公園脇を通る際、覗くと遊んでいる子はまだ一人もいなかった。
「砂がすごいもん、止めるが正解」と父。
三時半、ポストに封書を出しに行った母から電話がかかる。
「皆、公園にいるよ。シンは来ないの? って」
聞くや、シンは素早く着替えて一目散に飛び出していった。
後で思うとそれは、公園まで一人で行った初めてとなった。
父が遅れて公園につくと、グランドに舞う砂煙の中で嬉々としてボールを追いかけまわす子どもたちの姿が。
「いつもより楽しそう……」愕然としてポツリ。
公園のキャッキャ春疾風のボール
(こうえんのきゃっきゃはるはやてのぼーる)
※日記を小説 風に表現しています__🖋
もう全身砂だらけで。
帰宅後、すぐにお風呂に入ったんですけど土の匂いが充満しました。
なんだかちょっと、羨ましいなと感じたり。。。