アウト、セーフ、よよいの宵
残念ながら、アウト。
今年も保育園での盆踊り会はなくなってしまった。
行き場のなくなった甚平を四歳息子と着て、お祭り気分だけ味わう。
箱買いした懐かしのホームランバーを皆でかじる。
息子にざっと「あたり」を説明。
「ホームラン打つよ」とテンションはMAXに。
カキーン。
まずはパパの先端が見えた。
ボールマークの下の文字は「一塁打」。
「やったね」と息子、追いつこうと必死にアイスを舐め回す。
カキーン。
次はママが打った。
結果は同じく「一塁打」。喜ぶママ。
「ホームラン打ってー」と息子を盛り上げた。
と、舐めるのをやめる息子。
「どうしよう。駄目だったら……」
まさかのプレッシャー。嘘でしょ?
もういらないという息子に、父として檄を飛ばした。
「三振したっていいんだよ。最後まで舐め上げることが大事なんだっ」
ぐずりながらも覚悟を決めて、息子はアイス棒もといバットを振った。
カキーン。
甚平着てホームランバー三塁打
(じんべきてホームランバーさんるいだ)
【季語(夏): 甚平(じんべい、じんべ)】
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