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きゅうりの優越感
パパ、それ食べれないの?
じゃあ、こっち置いていいよ。
パパのできないことができる。
パパの食べられないものを食べられる。
四歳息子のモチベーションは「パパよりも」。
夕食に付け合わせられる「きゅうりの酢の物」でそれは顕著になる。
夕食中は今日の出来事をママ、息子、パパの順で語っていく。
私が話す頃にはいつも自分のお皿はすっからかんが常だが、昨日は食卓に「きゅうりの酢の物」があったので、私は少し残した状態で箸を置いた。
すると息子はそれに気がつき、そっと顔を近づけ冒頭の台詞を言い、食べてくれる。
息子も私もそこまで「きゅうりの酢の物」が好きでも嫌いでもない。
何かのきっかけからこのやりとりを何度も行ってるうち、我が家での暗黙の了解となった。
しいて言うなら――
「これ美味しいなあ。ママまた作ってね」
と、パパをチラ見しながら言う、そのお兄さん気取りな顔が、私の大好物。
ママもこれはチャンスと、三日に一度出してくる。
「今日はさ」と箸置く小鉢胡瓜もみ
(きょうはさとはしおくこばちきゅうりもみ)
【季語(夏): 胡瓜揉(きうりもみ)】