オールOKにさせる空
突然の雷鳴に洗濯物っ、と脳が反応した。
全てを取り込んだ瞬間に、ドザーッ。
安堵すると同時に妻子の身を懸念する。
四歳息子に急な蕁麻疹が出て、休日外来に行っていた。
診療は終わっただろうか。
この豪雨をしのげてるだろうか。
電話すると、台所で着信音が――。
夕刻になって、義母の携帯から着信。
あっと思って電話に出る、と
「虹のトンネルだよ」と息子の声。
「そっち虹出てない?」
ベランダからでは分からず、外に飛び出す。
見えた。うっすらとだが綺麗なアーチの虹。
妻によれば、病院を出た瞬間に土砂降られ二人して全身びしょ濡れになったらしい。義父母の家が近かったので車で迎えにきてもらい、今、シャワーを浴びて帰るところだという。
……のんきだなもう。
再びの息子に「いろいろ大変だったな、傘もケータイも忘れて」と毒づく。
「虹が見れたからいいんだよ」
さらりと返す息子に、器の違いを感じた。
電話機の向こうとこっち虹の橋
(でんわきのむこうとこっちにじのはし)
【季語(夏): 虹、朝虹、夕虹、虹立つ、虹の橋、虹の帯、二重虹】