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多田修の落語寺

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本願寺派僧侶であり、大の落語好きとして知られる多田修が、落語と仏教をテーマにしたコラムを執筆します。
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#自分と向き合う

「自我」なんて存在しない。自分への執着との向き合い方【多田修の落語寺・粗忽長屋】

「自我」なんて存在しない。自分への執着との向き合い方【多田修の落語寺・粗忽長屋】

 浅草寺の門前に行き倒れの遺体があり、身元がわからないので野次馬がいろいろなことを話しています。その行き倒れを見た八五郎、「熊の野郎じゃないか! 今から本人を連れてくる」と言って、熊五郎の家に行きます。

 八五郎は熊五郎に「こんなところで何やってるんだ! お前は浅草で死んでるだよ」と力説し、2人で浅草に戻ってきます。熊五郎は遺体を見て「間違いない、俺だ」と泣き出し、2人で遺体を運びます。すると熊

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