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【読書】永井均『子どものための哲学対話』
TBSのテレビ番組「王様のブランチ」で、
── 人気作家が集結して、中学生から集めた質問に答えていくトーク企画、出演者の川上未映子・西加奈子・朝井リョウ・中村文則・和田竜がプライベートや作家という職業について語ります。
……というのをやっていました。(※)
「中学生へのおすすめ本は?」という問いに対し、それぞれの方の回答が以下。
和田竜さんのおすすめ本
『竜馬がゆく』司馬遼太郎(文春文庫)
中村文則さんのおすすめ本
『メタモルフォシス』羽田圭介(新潮社)
川上未映子さんのおすすめ本
『子どものための哲学対話』永井均(講談社文庫)
西加奈子さんのおすすめ本
『しろいろの街の、その骨の体温の』村田沙耶香(朝日新聞出版)
朝井リョウさんのおすすめ本
『殺人出産』村田沙耶香(講談社)
ぼくが中学生だったのは何十年も前のことですが、それはともかくとして一冊読んでみよっかなと思い、永井均さんの『子どものための哲学対話』を選びました。
「善と悪を決めるもの」
「学校には行かなくてはいけないか?」
「友だちは必要か?」
……など、身近なテーマに対する「ぼく」と「ペネトレ(というネコ)」の対話が展開されます。
明快な回答が示されるわけではありませんが、こういったテーマに社会一般と違った視点を与えてくれるように思いました。一方で、「子ども」に対して、こういったテーマへの社会一般と違った視点を示すというのは、ある意味、勇気のいることだと思います。川上未映子さんがこの本を推したのは、永井均さんの大人の勇気に驚いたからじゃないかな……となんとなく思います。
ところでちょっと話はそれますが、自分が中学生に本をすすめるとしたら……と考えたりもしました。
司馬遼太郎だったら『龍馬がゆく』より『燃えよ剣』の方が好きですが、節義と滅びの美学は、どうも中学生に馴染まない気がして、やはりここは、
『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』リチャード・アダムス(評論社)
……だろうと結論しました。
(ありきたりでしょうか)
ここには知恵、勇気、誇り、リーダーシップ、仲間への信頼といったものが、英国流の現実主義を基調に描かれていて、多感な時期に、社会で生きることへの肯定感を支えてくれるように思います。十代のころに読んだ中で一番好きな本です。
※ この読書メモは、2014年9月に書いたものです。
(2014/9/22 記、2024/10/6 改稿)
永井均『子どものための哲学対話』講談社(1997/7/23)
ISBN-10 406208743X
ISBN-13 978-4062087438