T2

出会った一冊を大切にするために、読んだときには、雑多な所感をわずかでも言葉にして残すようになりました。noteに少しづつ載せていこうと思います。

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【自己紹介】T2について

男性、既婚、2人の子持ち アポロ11号が月面に着陸した年生まれ かなり歳がいってからランニングをはじめ、休日は山を走ったりしています。トレイルランニングというスポーツですが、追い込んで走るより、景色を眺めながらのんびりやるのが好きです。 読書も同じで、好きだけど読むのが遅い。たくさんは読めないので、せめて一冊との出会いを大切にしようと思っています。 限定はしていませんが、選ぶ本のジャンルは偏っているかもしれません。昨今のキーワードは、紀行、山岳、哲学、文学あたり。もう少

    • 【読書】トマス・ハーディ『森に住む人たち』

      「この叢書の中で、夫婦間の反目という問題に関連する其の他一、二の作品と同様、本書においても、夫婦生活の基盤をどう発見するかは ──男女に課せられた永遠の謎であるが── 依然として未解決である」と1895年の序文にあります。 百年以上経ってイギリスの離婚率が20%を超えた現代でも、やっぱり依然として未解決なのでしょう。 トマス・ハーディーの小説作品には運命論を想起させるものが多いそうです。この物語の中でも登場する男女が不運なめぐり合わせに翻弄されています。 今日は風邪のた

      • 【読書】ロモラ・アンダーソン, R.C.アンダーソン『帆船6000年のあゆみ』

        週末、完全にひきこもり化して1mも走ってません。ならばいっそ7年前に入手したままほったらかしにしていた本も片付けてしまえと、半ばやけくそ気味に思い立ち、深夜までかけて読み切りました。 古代エジプトのボートから19世紀のクリッパー(遠洋航路で活躍した速度重視の快速帆船)まで6000年の歴史をわずか180ページで概観するのですが、原著のせいか訳のせいか、やたらと連発される専門用語と不必要に多い修辞表現に翻弄され、とにかく理解しずらい本でした。 「一晩で読んじまえ」はちょっとや

        • 【読書】神奈川県立博物館『南の海からきた丹沢―プレートテクトニクスの不思議』

          子どもの頃からいつも遠くにその稜線を眺め、そして今や最も気に入りのトレーニングコースになっている丹沢山塊の起源が、南の海にあったとは知りませんでした。 この本は、1987年度神奈川県民アカデミーで行われた「海の向こうからやってきた丹沢」というタイトルの講座をまとめたものだそうです。地球科学、地質、古生物、地震、海底探査などの8人の専門家がそれぞれの方法で丹沢山地の起源を探ります。 初版が91年の発行なので、内容はちょっと古いのかも知れません。ですが自分が走っている足元の地

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          【読書】マイケル・サンデル『それをお金で買いますか ── 市場主義の限界』

          NHKの番組「白熱教室」でおなじみマイケル・サンデル教授のベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』に続く第二弾です。 前作が「正しいこととは何か」について、さまざまな考え方を学んでゆく内容だったのに対して、本作は「市場主義への論駁」に焦点をしぼっていて、前作よりもサンデル先生のとる立場が鮮明に出ている気がしました。 白熱教室でもそうでしたが、サンデル先生は身近な事例に対する思考実験で考察を進めてくれるから、自分のような素人でも、内容がちゃんと胃の腑に落ちていきます。

          【読書】マイケル・サンデル『それをお金で買いますか ── 市場主義の限界』

          【読書】 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

          桜が満開で、皆が花見とかに出かけているというのに、この二日間、家から一歩も出ず、床にへばりついて廃人みたいに過ごしました。 (この読書メモは、2016年4月に書いたものです) 原因は、先日会社帰りに道端の古本屋でコイン2枚と引き換えに手に入れたわりと安いハードカバー。何の気なしに手にした本の予想外の吸引力で休日のやりたいことリストを台無しにすることがごくたまにあるのですが、最近は少なかったので油断していました。 別にハルキストというわけじゃないぼくがこうなのだから、やっ

          【読書】 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

          【読書】蛭子能収『蛭子の論語 自由に生きるためのヒント』

          どういうわけか母がどうしても読みたいと言って買い、読み終えてからこちらに回してきました。そうでなければ自分では読む機会を持たなかったと思います。 矛盾や誤解など、突っ込みどころ満載。物事を俯瞰で見ようとか、論理の整合性を保とうとか、そういうことを一切気にかけていないように見えます。蛭子さんご自身が「ただ思いつくままに書きなぐった」と言っているのだから、読者が文句を言う筋合いではないのかもしれません。 ところが読み終えてみると、中に一本、しっかりとした筋が通っています。

          【読書】蛭子能収『蛭子の論語 自由に生きるためのヒント』

          【読書】瀬古利彦『瀬古利彦のすべてのランナーに伝えたいこと』

          青梅市総合体育館での青梅マラソン前日受け付け後、サイン販売会にて購入。たとえミーハーと言われようが、瀬古さんのサインは欲しいよ。ぼくだってランナーの端くれなんだから。 (この読書メモは、2016年3月に書いたものです) 瀬古さんの回想やマラソンに対する想いが、飾らない文章でつづられています。同じマラソンをテーマにしていても金哲彦さんの本とは印象も魅力も用途も異なる感じがしました。金さんはマラソンを仕事であり、生涯の目標としてとらえている。瀬古さんはマラソンを仕事であり、人

          【読書】瀬古利彦『瀬古利彦のすべてのランナーに伝えたいこと』

          【読書】E.H.カー『歴史とは何か』

          イギリスの歴史家、国際政治学者、E.H.カー先生が1961年にケンブリッジ大学で行なった連続講演をもとにした名著だそうです。 歴史とは単なる史実の集積ではない。そこに取捨選択と解釈が加わって、初めて「歴史」となる。自然、過去に対する観察者の時間的な立ち位置、価値観に基づいたものとなり、歴史というのは決して普遍的なものではない……そんな論旨だったと思います。 司馬遼太郎さんや宮城谷昌光さんの歴史小説を好んで読んでいた若いころ、いかに史実に基づき、説得力があろうと歴史小説には

          【読書】E.H.カー『歴史とは何か』

          【読書】長沢正教『山里に生きる』

          著者の長沢正教さんは、神奈川県のご出身で、同県の県立高校に勤めておられたようです。氏は、短編小説『三増峠』でも、また仏果山山麓での素朴な生活を記したこの本『山里に生きる』でも、地元、神奈川県中央部を題材にしています。 丹沢山地のお膝元という「くくり」では、ぼくも長沢さんと同郷人だと勝手に思っています。それに里山での生活への憧れもあって、この本は大好きな一冊なのですが……なぜだろう、読んだ当時の読書メモが見つかりません。 しかし、同じころに丹沢山に登ったときの日記に、この本

          【読書】長沢正教『山里に生きる』

          【読書】トマス・ハーディ、ほか『イギリス名作短編集』

          たしか5年ほど前、図書館でたまたま見つけて、途中まで読んで返したはずで、以来、アマゾンのほしい物リストに入りっぱなしでした。リスト内のほかの本と同じように、きっとそのまま忘れちゃうだろうと思っていたのに、なぜかこの本は事あるごとに、特にトマス・ハーディの「妻ゆえに」が思い出されました。 (この読書メモは、2015年5月に書いたものです) 嫉妬に突き動かされて、大して好きでもない、でも素直で誠実な男と結婚し、その甲斐性のなさに不満を持ちながら悩みつつも結婚生活を続け、見栄の

          【読書】トマス・ハーディ、ほか『イギリス名作短編集』

          【読書】田中陽希『日本百名山ひと筆書き グレートトラバース』

          このゴールデンウィーク、故障で走れない日には、田中陽希さんの『日本百名山ひと筆書き グレートトラバース』(NHK出版, 2015/4/25)を読んで過ごしました。 (この読書メモは、2015年5月に書いたものです) 大方のネット通販ではすでに在庫切れ。Amazonでは古本の値がつり上がってます。やれやれ、発売前に予約して良かったなあ。でもまあこれほどの人気なのだから、きっと増刷するのでしょう。 田中陽希さんの魅力は、ひとつにはその素直さ、人がらの良さにあると思います。テ

          【読書】田中陽希『日本百名山ひと筆書き グレートトラバース』

          【読書】海上知明『信玄の戦争 戦略論「孫子」の功罪』

          地元の里山探索で、小倉山、雨乞山を経て宮ヶ瀬ダムに至る山道を調べていたところ、ルート上の三増峠というところは1569年に武田信玄と北条氏が激突した合戦の地であると知りました。 「へえー、あの武田信玄がこんなところまで!」と、実はこの本は三増峠の合戦について知りたいというだけの理由で見つけてきたのですが、読んでみると当初の目的と違ったところでとても興味深い内容でした。 本書では、戦国時代の名だたる武将の戦略スタイルについて比較検討します。「旧態依然とした武田氏(騎馬隊)は、

          【読書】海上知明『信玄の戦争 戦略論「孫子」の功罪』

          【読書】梨木香歩『冬虫夏草』

          巻末に、 ・クスノキ ~ 紫草『ヨムヨム』第1号(2006年12月)から第23号(2011年11月)に断続掲載。 ・椿 ~ 茅『波』2012年7月号から2013年7月号に連載。 ・単行本化にあたり、加筆。 ……とあります。 前半と後半でやや印象が異なるのは、掲載誌の違いの故でしょうか。 前作『家守綺譚』と同様に基本は一話完結ですが、『波』掲載となった後半は「鈴鹿の探索」という、より大きなストーリーに貫かれています。読み進むにつれて壮大なドラマへの期待感が増してきますが、意

          【読書】梨木香歩『冬虫夏草』

          【読書】木田元『反哲学入門』

          口述筆記から原稿を起こしたものだそうです。編集者の方から強い要望があったとか。 哲学の起源、哲学とキリスト教の密接な関係、ニーチェやハイデガーによる大きな転換、そして「反哲学」という視点による考察…… 素人には近づきがたい世界を平易な文章でつづってくれています。さまざまな発見や不思議なドキドキ感があり、すべてを理解したとは言えないまでも最後まで楽しんで読むことができました。そして、終章のハイデガーのくだりには、やっぱり特別熱がこもってる感じがしました。 ところで、「仏教

          【読書】木田元『反哲学入門』

          【読書】木田元『哲学散歩』

          著者の木田元さんが夏にお亡くなりになった後に出版されたエッセイ集です。新聞の書評といっしょに書店の特設ステージに展示されていました。 (この読書メモは、2014年12月に書いたものです) 不学な自分はまったく知らなかったのですが、日本を代表する哲学者の方だそうです……無知の強みで気楽に読ませていただきました。 後半、話題が現代に近づくにつれ、どんどん筆がのってきている感じがしました。ハイデガーとその周辺の人びとを扱った回は特におもしろかったのですが、どうも木田先生のご専門

          【読書】木田元『哲学散歩』