木曜日の朝に。 49朝
「おはようございます。」
隣の布団からアラームが聞こえて、んん…と寝返りをうつ。もぞもぞとお布団にさらに潜りこんだりしてる私などお構いなく、夫はむくりと、ちゃあんと起きていく。
えらいね。
遅ればせながら私も、もっさんもっさんの寝ぐせ頭で起きだして、パッチリお目目の猫にシッポをわなわなさせて「ナァナァ」まとわりつかれながら靴下を履く。
「おはよ」
春休みな子どもたちは、まだ寝ていて。
トポトポと白湯をいれ、ひとつまみの塩とレモンをいれて、ズズ…とすする。
お弁当もいらない。卵焼きも焼かない。
明るい小窓から、小路の白木蓮が咲いているのが見える。水仙もムスカリも、サンシュユもハナモモもそこここで咲きはじめている。
春の花の華やかさは、どこか凛としていて。寒く厳しい冬をようやく越した末だからだろうか。
雛人形の凛とした表情にも似ている。
実家のある地域では、ひな祭りは三月三日ではなく、旧暦の四月三日にお祝いをする。
山間のお土地柄、花の咲くのも平地よりいくぶん遅く、梅も桃も桜も一月近くの差があるからだとか。(端午の節句も然り)
今の私の自宅と、実家とは、車で15分ほどだけれど、気温でいうといまだに3℃ほど違う。
冬など、こちらで雨なら、実家まわりではみぞれや雪だったりするほどで、桜の開花もやはり1週間ほど遅れて咲くのだ。
我が家に猫が来る前は、三月三日くらいからひと月ほど飾っていたのだけれど、やんちゃな猫のイタズラが心配で、今は、お内裏様とお雛様だけを飾ったり、間際の2、3日で飾ることにしている。
三段飾りと市松人形。
今回は私が仕事に行っている間に、次女と三女に任せたのだけれど、段を組むところからお人形の配置、手持ちのお道具もちゃんと飾られていた。うん、きっとお嫁にいける。
昨夜は、手巻き寿司、はまぐりのお吸い物、ワケギのぬた、アジの開き、からすみ(米粉の蒸し菓子)でお祝いした。
ひな祭りを終えたあとは、さっさとしまわないと「嫁に行き遅れる」というから。しまうまではお人形たちは後ろ向きにしておく。
「お嫁に行く」ことが、女性の幸せだった時代の、願いをこめた習わし。今では、お嫁に行くことだけが…と時代はかわったけれど、子の成長を願う素敵な文化は大切にしたい。
時代も価値観も変わっていくけれど、日本らしい教養や文化は、残っていくといいな。
って、そんなこと言っておきながら
私はと言えば、
小さい頃、お雛様のお人形がなんかちょっと怖くて、あまり目を合わさずにいた。それよりもなによりも、七段飾りの段の裏に入って遊ぶのが、テントみたいで、秘密基地みたいで、とても楽しくて。母の目を盗んでは、こそっと毛布やおもちゃやおやつを持ち込んで、そのうちにそのまま寝ちゃったりして。ひな祭りが終わっても、段だけは片付けないで…とダダを捏ねたくらい気に入っていたけれど、結局は姉たちの言うことをきいて(だって怖いんだもん…)、ちゃんと言うとおりにお人形を目隠ししてしまった、という記憶。
それはそうと、
先日、三女の誕生日で(ゆえに彼女の名前には桃という漢字が入っている)、悩みに悩んで決めたプレゼントが宅急便で届いた。
「アコースティックギター」
弾けるようになりたいんだってさ。
私の母はギターも弾くから(ギターマンドリングループに所属していて、今だに週一で集まって練習して、高齢者施設へ慰問演奏に呼ばれたりしている)、基本的な指の使い方や音の出し方を教えてもらって、さっそくポロポロと練習している。
いいな。楽器できるってカッコいいな。
私もウクレレとかやってみようかな。
さてさて、
そんな今朝は清々しい歌声の松たか子さんのこの曲。切なくも凛々しい曲。
ようやく桜が咲き始めたと思ったら、まとまった雨が降ったりして、散ってしまわないかと心配で、仕事の行き帰りに見える川沿いの桜を眺めている。
週末には、花見にいけるかな。
𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧