ベテルギウス
ゴボゴボゴボゴボ…
頭のてっぺんまでを湯船に沈める
耳も目も口も息も閉ざして
潜る
髪がゆらゆらと湯に漂う
浮遊
血液の轟々という音がする
壮大な倉庫の冷蔵庫の音みたいに
慌ただしく厳かに滞りなく
ヘモグロビンとか
血小板とか白血球とか
駆け巡る豪速球
私たちは
大層よくできた機械だ
AIがずいぶんと賢くなって
人類を助け仕事を担うようになって
まるきり彼ら無しでは
生きられなくなるのかもしれない
疲れを知らないAI
途方のない永遠
息切れをして顔をあげる
脈うつ鼓動
上がる体温
終わりある
温もりを抱く
ドクドクと
燃え尽きて
ベテルギウスは
ホッとしたろうか
生きることの終わりは
冷たいのだろうか
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