ひとつ星。

流しで水筒を洗っている彼女を

後ろから抱きしめて

その髪に顔をうずめて

「ちょっと待って」と言われたり


寒がりな彼女の指先が

私の肌をひんやり撫でて

「折れちゃいそうでこわい」と

手加減をしながら強く抱きしめたのは

きっと

こんな星が一つだけ
やたらと光っていた夜だった

本当だ

嘘みたいだけど


鳥籠の彼女に会わせてくれた

あの重たい門の守衛と

私とが見た

あの星



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