身体が欲するもの。
「疲れ」ているんだと思う。
今月は何かと行事も多く、子供たちのそれぞれに心を寄せて。地域や仕事も、イレギュラーな動きが入っていて。
猫がすりすりと寄ってくる。
ナァー(撫でさせてあげるよ)と。
それは私に限ったことではなく、子供たちも夫もそれぞれに、活動的に動きながらも「早く休みが欲しい」と口々にもらしていた。
「疲れ」たときには、お風呂屋さんへ行く。
岩盤浴やサウナで、芯からあったまる。
ダラダラと汗を流して、「あっちー!」と言って、熱さにかまけているうちに、肩肘はって強ばっていた心身が解けていく。ポタポタと汗の滴が落ちて、顔を真っ赤に上気させたあとで、ようやくクールダウンの部屋でスーッと涼むうち、心の底から「ふぇ~~っ」と声がもれて。
緩んでいく。
溶けていく。
解けていく。
「疲れ」は「疲れ」だ。
何がどうしたから、何がそうさせたでも、こうすべきだったのにでも、これがそうだったのでも、たどればキリがなくて。
そんな「疲れ」がこびりついた心身は、熟さないアボカドのように融通がきかない。
私は「融通がきかないもの」がとても苦手だ。銀行も、お役所仕事も、ATMも、布を噛んだファスナーも、開かないジャムの蓋も、同じトーンで言い続ける『いらっしゃいませ』の自動音声も(帰るときにも『いらっしゃいませ』と言われた日には「帰るしね」と呟いてしまう)。
「んーーっ」と地団駄を踏みたくなる。
そんな私の「融通のきかない」心身は、今のところ「お風呂屋さん」で芯から温めることが一つの対処法のようだ。
身体が欲するもの。
ただの、はだかんぼうになって、しっかり42度の露天の湯にぽっかり浸かって、ほぼまん丸の月がやたらと明るいことに気がついて。
そら「疲れ」るよなぁ。
頑張ってたよなぁ。
あれもこれもさ。
と、ぼやく。
ちゃぽん、と両隣にきた娘たちは、もう私よりも大きな、はだかんぼうで。
「お腹すいた。出よう?」
本当にお腹がすいていた。
メニューを見ても、どれだか決められないほどお腹がすいていた。結局そんな時は、何を食べても美味しいに決まっているのだけど。
もりもりとご飯を食べた。
眠る前に、牛乳を二杯飲んだ。
飢えた身体に、ピタリと収まって。
過不足なく眠りにくるまった。
もうきっと「疲れ」ていなかったから。
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自己紹介
<好きな物・事>
サウナ、岩盤浴、お風呂屋さん
を書き忘れていたことに気付く。
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