木ノ戸昌幸

1977年生まれ・愛媛県出身。2006年、京都・上賀茂に福祉施設<スウィング>を設立。既存の仕事観、芸術観を揺るがす創造的実践を通して社会をオモシロく変えてゆきたいと願ったり願わなかったり。単著に『まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験』(2019/朝日出版社)

木ノ戸昌幸

1977年生まれ・愛媛県出身。2006年、京都・上賀茂に福祉施設<スウィング>を設立。既存の仕事観、芸術観を揺るがす創造的実践を通して社会をオモシロく変えてゆきたいと願ったり願わなかったり。単著に『まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験』(2019/朝日出版社)

最近の記事

額の裏側

スウィングの作品が収まるオリジナル木製額は、昔から評判がいい。 開発者兼制作者はスウィングの古い友人である、いーはんだ。 彼には額の制作だけでなく、その他の場面においてもいろいろと力を貸してもらってきた。 展覧会の設営を手伝ってもらったり、スウィングの看板をつくってもらったり、僕が前妻と離婚をしてひとり暮らしをはじめた折にはわざわざ家まで来てくれて、その場で生活に必要な色々な家具をつくってくれた。 何より僕はそのとき孤独感でいっぱいだったから、2人っきりで深い話をできた

    • 京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」@原点回帰の銀閣寺編(第84回)

      なぜか京都市営バスの路線系統を(ほぼ)丸暗記しているQ&XLのヘンタイ記憶を駆使し、観光客やお困りの方にベストな行き方、乗り継ぎをご案内する京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」。 京都はインバウンドの増加により「もう、ほぼ外国」といった狂騒っぷり。 じゃあ我々の出番も益々増えそうなものだが、人々のスマートフォンへの依存、そしてスマートフォンが提供する情報の正確性の向上という相乗効果によって、<どのバスに乗っていいか迷ってもほとんど誰も我々をアテにしない><必要と

      • 展覧会:詩人と画人 -人生後半戦の歩き方[ゲイジュツ編] 開催のお知らせ

        スウィング25回目の主催展覧会、スウィングを代表する詩人・向井久夫と画人・XLの2人展を開催する。 ショウガイシャとしての2人ではなく、それぞれ53歳、46歳からゲイジュツをはじめたおっさんの生き方に人生100年時代を生き抜くヒントがあるのではないか、全然ないかもしれんけど ― そう考えて企画した。 会場となる「スペース響野」(埼玉県狭山市)は、「オオツカ商店」(アンティーク時計や篠笛販売)や「入間清流塾」(学習塾)の一角にある(あるそう。まだ行ったことがないので……)レ

        • できる男のソーシャルマナー -お土産の断り方編-

          ミネソタ土産に(義父母がくれた)数枚のMLBミネソタツインズの公式Tシャツを持ち帰り、スウィングへ。 まずは野球が大好きな沼田君とXLにプレゼント。 そんなに喜んでくれるの!? ってくらいに大喜びして、その場ですぐに着てくれた。すっごく嬉しかった。 赤色の派手な1枚は、もちろん野球好きだし基本赤か黒しか着ないアッキーに。たぶん絶対似合うし喜んでくれるに違いない。「はい、アッキー、これお土産!」 え? なんで? めっちゃ渋い顔してるやん……。いらないの? 「もう持ってん

          喋れない寂しさ in USA

          数年前、京都の焼肉屋で日本語を喋れない外国人に出会い、その数年後に結婚し、さらにその数年後の今は英語を喋れない外国人としてアメリカにいる。 喋れないことは楽だ。 会話がほとんど理解できないことも分かってもらえているから、自分だけ蚊帳の外でボーっとしていられる。人数が多ければ多いほどそうした状況は顕著になり、騒がしいなと感じても自慢の聴覚過敏もさほど実力を発揮せず、ご飯を食べたり酒を飲むことに集中できる。 同時に寂しくもある。 個人主義の強いアメリカでは「自己主張しない

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          男たちの更年期障害

          HSP? ミソフォニア?  ウソ……まんまやん……。 近年、従来の病気や障害では括りきれないしんどさの要因を解明するような情報が伝わってくるようになり、僕としては助かっている。 3年ほど前から感じはじめた心身の不調もこれまでの経験値では計りきれないものだったので、やはり最近話題に上るようになった男性の更年期障害を疑い、当時ある医療機関を受診した。 診察やら血液検査やらを受けた結果、医師は「更年期障害ですね」とキッパリ断言。 普通ならば「ああ、やはりそうだったか」とホッ

          男たちの更年期障害

          可愛いやつに乗っておじさんがメチャクチャいい顔をしてる。

          妻子が風邪を引いてしまって、今年の一泊旅行(9/12-13)に行けなかった。ようやく回復して昨日、今日くらいから通常運転に戻りつつある感じ。……長い長い2週間だった。 ところで旅行1日目、あやちゃんが旅先から送ってくれたのがこの写真だ。 可愛いやつに乗っておじさん(=Qちゃん)がメチャクチャいい顔をしてる。 忙しなく、また落ち込んだ気分だったからとても助かった。 可愛いやつに乗っておじさんがメチャクチャいい顔をしてる。 正直、おじさんのことをよく知らなかったら「気持

          可愛いやつに乗っておじさんがメチャクチャいい顔をしてる。

          スウィングのWEBサイトをリニューアルしました!

          いろいろあった。 そして新たな季節を迎えた。 この数年と現在地を最もシンプルに言い表すとしたら、こういう表現になるかと思う。 今年1月からスウィングの運営法人が<株式会社NPO>に変更となり、それから組織やシステムの再構築を図りながら、10年振りとなるWEBサイトのリニューアルを進めてきた。 振り返ってみると……ではあるけれど、前のサイトは「ポップ過ぎた」というのがひとつの反省点。 発信される情報はひとつの現実ではあるが、日常の断片に過ぎない。 僕個人の場合で言うと、

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          犬か人間かそれが問題だ

          「nacoさんは犬ですか~??」 おいおい、突然どうした、アッキー。nacoさんのこと、犬だと思ってたの? ほんとは「nacoさんは犬派? 猫派?」、もしくは「nacoさんは犬を飼っていますか?」って聞きたかったんちゃう? 「人間です」 「人間です」か。nacoさんもなんかすごいな。 「あんたは犬か?」と聞かれて、こんなに真正面から誠実に応答する人がいるとは。 「ウソ~!! 人間~!?」 もうアッキー。 もともとの質問が狂ってるのに、nacoさんが狂ってる雰囲

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          人生相談:赤ちゃんの泣き声が苦手。(2回目)

          生後5ヶ月の男の子の父親です。2回目の相談になります。もともと聴覚が過敏ではあるのですが、我が子の泣き声をうるさく、疎ましく感じることに悩んでいます。自分自身に余裕があるときや短時間で泣き止むときには本当に可愛く思います。けれど基本的には大きな泣き声が苦手で、可愛いどころかすぐに耳栓やノイズキャンセリングイヤホンをつけて防御してしまいます。私は我が子に向き合えていないのでしょうか。愛情が足りない父親なのでしょうか。 またこの文章のはじめに「男の子」と性別を書いたのですが、な

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          人生相談:赤ちゃんの泣き声が苦手。

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          【蔵書じゃないけど紹介:漫画】鉄コン筋クリート(全3巻)

          スウィングとスウィング公共図書館は別モノではなくって一緒、スウィングを図書館化(公共化)したのがスウィング公共図書館なんだっていうのがなかなか伝わらず、困ってしまったり諦めてしまうことが少なくない。 僕としては今年1月の運営法人の変更を機に、福祉施設(生活介護事業所)としての名称も「スウィング公共図書館」に変えたいという気持ちもあったのだが、内部的に反対の声もあったし、関係者や関係各所への連絡や説明の手間を考えるとそうはできなかった。 スウィングはスウィング公共図書館であ

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          眠れぬ神の遊戯

          成人の30〜40%に何らかの不眠症状があると言われる現代日本社会。 僕自身は19の頃に当時住んでいたアパートの騒音問題から不眠症デビューし、以後も眠れたり眠れなかったりを繰り返している。 これはもうオッパイを欲しがる赤ん坊リオの泣き声と、朝4時頃に帰宅する黒猫ルルの鳴き声という原因がハッキリしているが、ここ数日も眠れない夜が続いており体がキツい。 体がキツいと心もキツくなる。睡眠、ほんと大事。 こまりんも最近眠りの調子が悪いのだろう、冗談半分なのか分からないが、スウィ

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          小さなTシャツのメロディ

          「遅くなりました」 ん? なにが?  なんのことだか分からないでいると、あやちゃんからそっと紙袋を手渡された。 わあ、もうすぐ生後5ヶ月になる息子への贈り物だって。 中に入っていたのは、こぼしまくる食べ物を受け止める赤ちゃん必須のやつ(名前がわからん)と、XLのオリジナルイラストTシャツ。 なんとなんと、あやちゃんがXLのマイベイベ描き下ろしイラストをトレースして、コツコツ一点モノのTシャツに仕上げてくれたらしい。 か、か、かわいい。。。 こんなステキなことが進

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          「逆に」の皆さまへ

          最近、「逆に」「逆に言うと」「逆に言えば」などなど逆に言うやつを聴く機会が減ったような気がして、とても助かっています。 目をギラギラさせて前のめりに言うタイプの「逆にぃ~」はすごく嫌だったし、「これは一体なんの逆なんだろう?」と悩まされたり、「全然逆になってへんやん」と混乱することも多かったからです。 もう飽きてしまったのか、もう言い尽くして逆が出てこなくなったのか分かりませんが、僕の気のせいでないことを切に願っております。 逆に「逆に」言っていただかなくても、こちらと

          「逆に」の皆さまへ

          続・華麗なる手抜き

          スウィングの詩作の歴史は長いが、常日頃の活動にしている人は少ない。 亡くなった向井さんとかQちゃんとかnacoさんくらい。 nacoさんは元々「詩が書きたい」とスウィングに入った人だけれど、すぐに絵の方にハマってしまって、これまで詩を書くのは時々だった。それが昨年の「第28回NHKハート展」に初入選したこともあってか、最近はモーレツに書きまくっている。 しかも冗長になりがちだった言葉がどんどんシンプルになって、短い表現の中で感情を表せるようになったり、長い詩であっても推敲

          続・華麗なる手抜き