保育ソーシャルワークの実践例 │遅刻が多いC先生編
年が改まり、新たな気持ちで日々を過ごしている方も多いと思います。
ソーシャルワーク福岡では、2024年も「ソーシャルワークで人を幸せにする!」をモットーに、保育ソーシャルワークや私立学校専門のスクールソーシャルワーク、産業ソーシャルワーク、産前産後事業を実施していきます。
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さて、今回は保育ソーシャルワークがどのような流れを踏まえて行っているか、より具体的にその実践例「遅刻が多いC先生編」をご紹介します。
その前に、もう一度、保育ソーシャルワークについてお伝えします。
・「よく分からないけど、なんか気になる」
保育ソーシャルワークは、保育園や幼稚園、こども園などの乳幼児や家庭に対して、園の職員が気になっていること・困っていることを一緒に考えて問題解決をしていくことです。私たちは、先生たちの「なんか気になる、でもどうしたらいいんだろう」を紐解いていきます。
・職員のケア
もう一つ大事にしているのは、園で働いている職員のケアです。保育園は社会インフラであり、保育園や幼稚園があるからこそ多くの方の暮らしが成り立っています。ソーシャルワーク福岡は、人々の暮らしを担い、子どもを育てる先生方の悩みの受け皿や、スキルアップの一助になりたいと活動しています。
・保育ソーシャルワークの実践例
例えば、「遅刻が多いC先生編」について、保育ソーシャルワーカーは、子どもたちや保護者、保育者にこのようなお手伝いをしていきます。
遅刻が多いC先生編に対して…
【インテーク(受理)】
まずは、主任先生からC先生の話を伺いました。ここ2週間元気がない様子で、いつも早めに出勤しているのにギリギリに出勤し、ここ5日間くらい遅刻が続いているとのことです。出勤時間も5分遅刻から、10分、15分と長引いているそうです。最初は簡単な注意で終わっていましたが、C先生に何かあるんじゃないかと気になりたずねても、「すみません…」というだけで終わると。抱え込んでいることがあるのではないか、私たちに話せないことがあるんじゃないかと心配しているので、話をきいてもらえないかと依頼がありました。
C先生は新卒で本園に就職して3年目の先生です。これまで保育SWが訪問した際は、子どもの様子を丁寧に説明してくださる穏やかな雰囲気が印象的です。
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【アセスメント(事前評価)】
・主任先生に話をきく(上記インテーク参照)
・C先生に話をきく
~ インテークやアセスメントの結果、C先生の休憩時間に、C先生と保育SWで面談することになりました。面談室にC先生が入り、着席した途端、C先生からポツ、ポツ、と涙がこぼれ落ち、あっという間に涙が溢れ出てきました。C先生の気持ちが落ち着くと、少しずつ、話をしてくれるようになりました。
その内容は、C先生とその彼氏とのことでした。C先生の彼氏の態度が悪く、束縛が強くなってきているとのこと。夜、眠れない日が続いている、朝起きれない、頭が痛いということでした。
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【プランニング(計画)】
話をきいた保育SWは、C先生に、勇気をだして話してくれたことに感謝の言葉を伝えました。そして、C先生の状況はデートDVに当てはまるため、女性相談を得意とし、夕方以降も開所している相談機関を案内しました。また、ひとり暮らしをしているC先生に、一時的に実家などに身を置いてはどうかと提案しました。
C先生に、面談内容を主任先生に伝えるか確認すると、詳しい内容は伝えないでほしいということでした。そこで、C先生に承諾を得て、主任先生には悩みの詳細は伝えず、女性相談の機関を紹介したことを報告しました。
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【インターベンション(援助的介入)】
C先生は保育SWが案内した機関に早く相談したいということだったので、保育SWから相談機関へC先生の名前・相談概要を伝え、予約もしました。
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【モニタリング(観察・介入)】
運よく面談日の翌日がC先生のお休み・連休ということもあり、C先生は実家にもどり身も心も休むことができ、元気を取り戻しました。また、女性相談の機関に行き、彼氏のことを相談しました。その後も彼氏や自分自身の性格のことなども話したり聴いたりしてもらうために、定期的に相談機関に通うことになったそうです。
保育SWと面談し、連休明け以降はC先生の遅刻はパタリとなくなり、今まで通りの穏やかなC先生になりました。
保育SWは、訪問日に必ずC先生にお声がけをします。C先生が簡単に近況報告をしてくれ、状況の確認をしています。
最初の面談から半年経ったとき、C先生からこんな言葉をもらいました。
このように、保育ソーシャルワークは、職員のケアをとても大切にしています。そして、保育ソーシャルワーク導入園の園長先生の多くが、職員の話をたくさん聴いてあげてほしいと言われます。園長先生たちは、職員の方々に気持ちよく働いてほしい、幸せになってほしいと切に願っています。だからこそ、職員が何か抱え込んでいないか、世代間ギャップで話しにくいんじゃないかと心配しています。
私たちもその想いを受け止め、子どもたちだけでなく、先生たちの表情や言葉遣いを気にかけています。職員の話を聴く際は、秘密を守り、状況に応じて園長先生に報告しています。
外部の保育SWは、上司や同僚と違う距離感があるので話しやすく、また、定期的に職場に来るので勤務時間内に相談ができ、解決スピードが速い傾向にあります。
いかがでしたか。これはあくまでもほんの一例です。
その他の保育ソーシャルワークの実践例はこちらの記事をご覧ください。
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新年度に向けて、保育ソーシャルワーク・学校ソーシャルワーク導入のお問い合わせが増えております。それぞれの園や学校の想いを丁寧に聴きとりしています。お受けできる数も限られていますので、気になっている園の関係者の方々はお早めにお問い合わせください。
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ソーシャルワーク福岡:info@sw-f.jp
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2023年3月29日西日本新聞朝刊の一面に弊社の保育ソーシャルワークの取り組みが掲載されました。ぜひ、ご覧ください!
『保育の現場にも「ソーシャルワーカー」 発達の悩み、貧困…就学前から支援』
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2023年10月18日マイナビ保育士が運営する情報サイト「ほいくらし」に保育ソーシャルワークの取り組みが掲載されました。
『保育士や保護者の「なんか気になる」を解決!子どもも大人も幸せになる保育ソーシャルワークとは?|株式会社ソーシャルワーク福岡』