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源氏物語ー融和抄ー

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『源氏物語』を独自の視点で掘り下げ、紫式部という女流作家の思想にアプローチしています。
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#醍醐天皇

日の下に月花の咲く頃〜在原業平

日の下に月花の咲く頃〜在原業平

 書く予定はなかったのですが、何故か今、業平を考えています。業平には伝説や伝承地が思いの外多いのですが、それはつまり、それほど人々の心に生き続けた証だと思うのです。

 奈良県の天川村、弁財天社のほど近くにも、業平が眠る墓所があります。伝承によると、その地で亡くなったのではなく、入定したと伝わっているのです。入定となれば生半可な人間では行えない印象を持っていますが、私の中では業平と入定はどうにも結

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源氏物語ー融和抄ー高藤の恋

源氏物語ー融和抄ー高藤の恋

 あまりにも気の遠くなるような話は抜きにして、日本の飛鳥時代、西暦でいえば650年前後に中臣鎌足という人物がいました。天皇家のお血筋ではありませんが、昔から神様をお祀りする神事を司るお家柄でした。第38代天智天皇の側近として活躍し、亡くなる間際、天皇から藤原の姓を与えられました。

 藤原不比等というのは、この鎌足の子供です。不比等の子の中に、4人の男子がいました。武智麻呂、房前(ふささき)、宇合

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