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お菓子と生活

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中世ヨーロッパよりその昔からの伝統あるフランス菓子...その文化から学べることは何だろうか。フランス文化をお菓子を通して見る。そんなお菓子の物語を綴ります。
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Oublieーウーブリーフランス菓子の起源を求めて②

Oublieーウーブリーフランス菓子の起源を求めて②

中世修道院派生のお菓子。ウーブリとその歩み前回の投稿で、ウーブリがミサの際に拝領された聖体パン(ホスチア)から派生したものであり、神聖なるパンから世俗的な意味の食べ物=フランスの『おやつの起源』であることを説明しました。また、ワッフルの起源である。などということもお話しました。

日曜日、祝祭日に売られるようになり、庶民に普及していったウーブリですが、それを始めに、ニュール、エショデといったお菓子

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Oublie ―ウーブリーフランス菓子の起源を求めて①

Oublie ―ウーブリーフランス菓子の起源を求めて①

はじめに。ーフランス菓子とわたし。フランス菓子といえば、マカロンパリジャンやエクレア、パリの華やかなパティスリーをイメージすることが多いのではないでしょうか。

そのイメージは勿論です。しかし、わたしが興味を引いたお菓子は、マドレーヌやフラン、シンプルな地方ごとのアーモンド菓子といった、素朴なお菓子たちです。

なぜ、素朴な地方菓子を追うのか例えばの話ですが、皆さんは和菓子を食べる時、おばあちゃん

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Mardi gras  ~贅沢とは~

Mardi gras ~贅沢とは~

 普段わたしたちはどんなときに贅沢をするだろうか。 ーボーナスが出たら、海外旅行に行く。仕事が一段落したら自分のご褒美に欲しかったけど高くて買えずにいたものを買ってみる。...などと、何かしら特別な意味を持った日に贅沢をすることが今日の日常ではないか。

 今回取り上げるのはMardi grasーマフディ グラ (肥沃な火曜日)である。この日は謝肉祭(カーニバル)の最終日のことを指す。今年は2月1

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お菓子から学ぶ生活文化を未来へ

お菓子から学ぶ生活文化を未来へ

多様性社会の現在、わたしを導いてきたものはいつも『お菓子』であった。

 幼い頃から、洋裁教室を営む祖母、または母の作る素朴なおやつの影響か、手作りのものが好きだった。「手作り」は人としての生きる力をそのままに体現するものである。

 そんなわたしは幼い頃からお菓子、本、歴史が好きだった。そして転機が訪れたのは中学3年生の受験期。図書館で目にした大森由紀子先生の『フランス菓子図鑑』であった。この書

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