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「わたしも魔法の手をもてただろうか」ルリユールおじさんを読んで
先日「絵本のコト」というイベントに参加した。
本を一冊持ち寄って紹介し合いっこする小さな集まり。好きな本、おすすめの本、忘れられない本、読むと毎回号泣してしまう本。いろんな本との出会いがあった。
大人にも、いや大人にこそ、絵本は必要だと思う。わたしたちも昔は小さい人だったことを思い出させてくれる。
そのイベントのファシリテイターをしていた絵本専門士のえりこさんが、いせひでこさんの絵が好き!と話していた。
いせひでこさんのことは、あまり知らなかったので、娘と図書館に行ったときに、本を探してみることにした。
そしてふと目があったのがこの本。
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木の下を駆けていく女の子の影。
ルリユールってなんだろう?
興味が湧いて本を開こうとしたけれど「ママー!」と娘に呼ばれたので、家でゆっくり読もうと借りていくことにした。
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フランス語で"Relieur"ルリユールとは、製本・装幀の手仕事をする職人さんのこと。
ヨーロッパで印刷技術が発明され、本の出版が容易になってから発展した実用的な職業で、日本にこの手の文化はないらしい。
出版業と製本業の兼業が、長い間法的に禁じられていたフランス。
そんな環境だからこそ、成長した技術だと、いせひでこさんが後書きに記している。
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大好きな植物図鑑が壊れてしまったソフィー。
大事な本を直してくれるという、ルリユールおじさんを訪ねて、そこで本を直してもらう一連の出来事が綴られた一冊。
絵は全く詳しくないのだけど、ページをめくるたびに水彩画のやさしさが伝わってきて、穏やかな気持ちになってくる。
「木には大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱいつまっている。それらをわすれないように、未来にむかってつたえていくのがルリユールの仕事なんだ」
ソフィーの大事な本は、ルリユールおじさんの手によって生き返る。
ARBRES de SOPHIE
ソフィーの木たち、と金の文字で刻まれた名前。
大好きなアカシアの絵が表紙に飾られた、ソフィーだけの本。
ルリユールおじさんの魔法の手から送り出された一冊は、二度と壊れることはなかったという。
そしてその本を片手に、アカシアの木の下に佇むソフィー。
大きくなった彼女が選んだ職業は…
気になったらぜひ、本を読んでみてください。
心があったかくなるって、こういうことかなって体感できる一冊です。
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