susa036955

初めまして。 趣味は文章を書く事です。 ここでは読んだ本のレビューなどを紹介したいと思っています。 また、短編小説なども書いてみようかと思っております。 宜しくお願い致します。 *novel days と同時掲載です。

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初めまして。 趣味は文章を書く事です。 ここでは読んだ本のレビューなどを紹介したいと思っています。 また、短編小説なども書いてみようかと思っております。 宜しくお願い致します。 *novel days と同時掲載です。

最近の記事

坂道

 昔、小学校の頃、あれは・・5年生の時の事。  転校生が来た。その子はとても綺麗な子だった。  クラスの皆は最初の頃はその子に対して興味深々だったけれど、その内に飽きてしまったのか誰もその子に話し掛けようとはしなくなった。 いや興味を失ったと言うより、その子が殆どしゃべらなかったから、結局会話が続かなくてどうしていいのか分からなくなってしまったのだ。  その子はとても静かな子で窓側の席でいつも一人で本を読むか、外をぼうっと眺めているか・・そんな感じだった。体が弱いから外遊

    • 夏の庭

       僕は部屋の窓から外を眺めた。  夏空はどこまでも青く美しく、海は朝日を反射し、きらきらと光った。  昨日の雨で芝生は青く輝き、至る所に夏の花が揺れている。  赤いサルビア、無秩序に蔓を伸ばす朝顔の赤や青紫。鮮やかなオレンジのノウゼンカズラ。  世界がこんなにも美しく、生気に溢れている事を、僕はここで初めて知った。  僕は窓際から離れるとごろりとベッドに横になった。  煤けた天井を見ながら考える。  数日前に隣の部屋の男が言っていた。 「また、鬼婆が来た」と。  10名程

      • 小説『最強のパワースポット★誰も知らない日本の神社10選』【2社目】

        びりびり体験  「ゼロ磁場」って知っていますか? 柏木がそう言った。 「ナニ?それ」 僕は尋ねた。 「断層の関係で電磁場に異変が起きて、S、Nがはっきりしない所らしいですよ」 「・・?磁石がくるくる回ってしまうという事?」 「まあ、そういう場所でもあるそうです。AIに聞いてみたら、その領域内に磁力線が存在しない場所だと返って来ました」 「ふうん・・」 「地表近くで+と-の力が押し合ってお互いの力を打ち消し合っている場所だと」 「へえ・・」 「よく長野の分杭峠が引き合いに

        •  小説 『最強のパワースポット★誰も知らない日本の神社10選』【1社目】 

           書き散らかした「神社ネタ」の小説を集めてみました。なのでこれは神社紹介では無くて「神社」を舞台にしたファンタジー短編小説です。 「novel days」に投稿したものから、いくつか選びました。 1  百待月神社  どこかのおばちゃんが「お早う」と言った。 私は振り向いた。 誰が言ったのか分からない。近くにそれらしき人は見当たらなかった。 勿論私に言った訳では無い。誰か別の人に。 職場に向かう道を歩きながらどこかで聞いた声だと思った。  私はその声の場面を思い出す。どこ

           「風の影」  カルロス・ルイス・サフォン作

           数年前に読んだこの本をまた読み返しました。何故なら『精霊たちの迷宮』という本を買ったからです。『精霊たちの迷宮』は『風の影』の続編らしくて、ちょっと読みだした所、登場人物について「誰じゃ?これは」という事になり、こりゃ読み直さな、あかんと思ったからです。大体のストーリーは覚えていたのですがね。(フェルミンの存在を忘れていた) これって『失われた本の墓場』シリーズ四部作のひとつらしいですね。 ってことは、後二つあるのでしょうか? 『風の影』です。  一言で言ってすごく面

           「風の影」  カルロス・ルイス・サフォン作

          夕立

          ちょっと、一休みして。 これは私の創作です。 懐かしい夏の思い出をどうぞ。(novel daysと同時掲載です)   子供の頃、夏休みにはよく母の実家に遊びに行った。 雷で有名なその県の北の方に家はあった。  母と父は・・・若しくは母一人で夏休みの始めに僕を連れて実家に帰る。そして彼等は一泊だけして次の日には東京に戻る。 「それじゃあ、お母さん。裕君、美香ちゃん、宜しくお願いしますね。兄さん達にも宜しく言っていたと伝えてね」と言って、沢山の玉ねぎやジャガイモや胡瓜や茄子

          ・ハーモニー   伊藤計劃 作

          金子 みすゞの 「私と小鳥と鈴と」の詩は有名です。 『鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがって、みんないい』 のフレーズはきっと誰もが知っていると思います。 でも、金子みすゞは自死の道を選びました。26歳だったそうです。 この『みんなちがってみんないい』というのは現実世界では大変難しい。 で、その対極にあるのが、この『ハーモニー』にある調和の世界です。  その世界は優しさと協調と思いやりと信頼で溢れています。 「チクチク言葉」はほぼ全滅。 誰かが困っていると周囲の人

          ・ハーモニー   伊藤計劃 作

          ジェーン・エア  C・ブロンテ著

          家に「ジェーン・エア」が3冊あります。  何故、3冊かと言うと、間違って最初に下巻を2冊買ってしまったからです。自分の迂闊さにムカつきました。再度ブックオフに行って上巻を買って来ました。  最近は専らブックオフです。たまに行って大量に購入してきます。基本的に購入した本は処分しないので、どんどん増えて行きます。  買って読もうと思って、そのまま忘れてしまい、また同じ本を買う事もあります。 (これ、あるあるですね。(笑))  『デューン 砂の惑星 1』は何故か3冊あるんですよね・

          ジェーン・エア  C・ブロンテ著

          「それから」 夏目漱石著

           日本の大文豪夏目漱石について、私がレビューを書く事すら恐れ多いのですが。   漱石は慶応3年(1867)、明治が始まる前年に江戸に生まれました。 亡くなったのは大正1916年。胃潰瘍の大出血だったそうです。 年表には49歳とあります。  夏目漱石は私のイチ推しの作家です。昔から私の一番でした。 幾つかの本は何度も読み返しました。何度読んでも飽きない。何度でも読める。そして読む度にクスリと笑い、「成程な」と共感したり、「ぐずぐず考えていないで普通に言えばいいじゃん」と思った

          「それから」 夏目漱石著

          3 「聖域」 篠田節子著

          篠田節子さん、第二弾。 ここの所、ずっと篠田節子さんの本を読み返しています。 大体本を読むのは通勤電車の中。それとか旅行中。それに一人で外食の時。 移動中は罪悪感無しに小説が読めます。 家ではスキルアップの勉強をしようとか、それよりも家事をやらなくちゃ。とか。 何でこんなに時間を惜しむ様になったのか。年を取ったせいですかね。 子供の頃はうんざりするほど時間があったのに。 小学校二年の時に、後4年間も小学校へ通うのを想像してうんざりした記憶があります。 読書は今でも好きです。そ

          3 「聖域」 篠田節子著

          2 「神鳥 イビス」 篠田節子著

          篠田節子さんは私の好きな作家です。 彼女の著作はほぼほぼ読みました。大作が多いです。 兎に角面白い。めちゃくちゃ面白い。スケールが大きい。読みごたえがあります。 「神鳥」は本当に怖いと思ったホラーです。何が怖いって、解決しないんですよ。怖さが。普通追い詰められて助かって、それで「ああ良かった」になるじゃないですか。それが解決しない。これも三回くらい読んでいますが、終末が分かっていても怖い。 正に悪夢です。悪夢が現実に物理的な実行力を伴って追い掛けて来る。 ずるくないですか

          2 「神鳥 イビス」 篠田節子著

          1 「レベッカ」 デュ・モーリア著

           「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」 という印象的な文で始まる物語。  10年以上前に読んだのですが、最近また読み返しました。 素敵な本です。 本のカバーには「ゴシックロマンの金字塔」と有ります。  若くて身寄りのない「わたし」は20も年上の貴族のマキシムとモンテカルロのホテルで出会う。マキシムは故郷の「マンダレー」で妻を亡くし、傷心の旅に出ていたのだ。そこで「わたし」は彼の妻に迎え入れられる。  美しく有能な彼の前妻「レベッカ」。大倫の薔薇の様な女性。 マンダ

          1 「レベッカ」 デュ・モーリア著