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随筆・散文・雑文

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#散文

散文・美点

散文・美点

 人の欠点をあげつらい溜飲を下げるような生き方より、日常の中に人の美点を見出だし、それが大きなことでも、ささやかなことでも感動を覚えるような生き方を選んでいきたい。心が荒んでしまうような出来事が多々ある今の世の中だからこそ、美しいものを見たいと思う。目に見える美しさだけではない、内面の、心の美しさを感じることができたら、それだけでもその日一日朗らかな気持ちを保ったまま生きていける気がする。

 誰

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雑文・睡魔

雑文・睡魔

 僕はスイマー。僕が泳ぐのはプールの中でも海の中でもない。夜の闇に包まれた街の雑踏の中を泳ぐのさ。夢と現実の間を自由に行き来しながら、僕は泳ぐ。現の街ゆく人々を避けながら、心は夢の中を泳ぎ続ける。僕はきっと疲れてしまったんだ。現実を生きるのに疲れてしまったんだ。だから、心だけは夢を見ながら、現実を泳ぐのだ。ゴールに辿り着けば、また辛く苦しい現実が待っている。だから、夢を見ながら泳ぐのだ。

 色々

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即興詩・午睡の夢

即興詩・午睡の夢

飾り気の無い机に突っ伏して
教室の窓から差し込む温かな光を浴びながら
微睡むのが好きだった
うとうとと夢の世界をたゆたいながら
君の声で僕は目覚めるのだった

あの頃の僕はなんでもできなんにでもなれるような気がしていて
とても掴むことができないような未来予想図を空に描いて
無邪気にも君に語るのだった
夢を見るのは自由だからね、と嘯く僕を君はいつも呆れた顔で見つめていたね
そのきょとんとした顔を見た

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散文・劣等

散文・劣等

 いかに自分は他人より劣っているかと言われます。あの人はあれだけできるのに、君はこの程度しかできない。年齢だけ重ねて、君はなにもできない。これからは、身体も頭も衰えていくんだよ? なのに、今これっぽちしかできないの? できるうちにもっと頑張らなきゃいけないんじゃないの? 全く、こんなに自分はできない人間だったのかと、唖然とする次第です。自虐的に、いやー自分ダメ人間っすから!と笑っているうちはよいで

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