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名探偵のままでいて

はじめに

久しぶりのミステリーは、前々から気になっていた一冊に決めました。パッケージの美しさと「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作という話題性に惹かれました。今回の読書感想文では、そんな一冊を取り上げ、紹介したいと思います。

あらすじ

裏表紙からの引用です。かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は現在、幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻す。そんな祖父のもとへ相談を持ち込む楓だったが、やがて自らの人生に関わる重大な事件が、、、。

ミステリー脳

本格的なミステリーを久しぶりに読んで、「ミステリー脳」の楽しみ方を感じた。ミステリー脳は、誰もが手にすることができる脳で、常に疑問を持ちながら生活ができるようになる。大学院で研究活動に励んでいる背景があるせいか、ロジカルシンキングが得意になり、より一層論理的に世の中の事象を推理できるようになった。これもまた読書の楽しみ方の一つかもしれない。

知的好奇心

この本の中には、たびたび古典作品のオマージュが出てくるらしい。「らしい」という言葉を用いたが、ミステリーマニアではない私はピンとこないものが多く、少し残念だった。私の母は洋書のミステリーなんかも読むことが多いので、きっとくすっとできるシーンがたくさんあるのだと思う。ぜひともこの本を勧めたいし、私も古典作品に触れてみたいと感じた。

おばあちゃん子

主人公の楓は、かつての辛い経験もあり、おじいちゃんへの愛情が強くなっている。弱体化するおじいちゃんを受け止めきれずにいるシーンもいくつか目にした。私も、実家の隣に住むおばあちゃんにたくさんの愛で育ててもらった。だからこそ、将来のことは考えたくないし、明るい未来ばかり想像してしまう。一人暮らしを始めてから、かなり会う頻度が減った。少しずつ弱っていく姿を目にしている。おばあちゃん孝行も始めよう。

さいごに

久々の本格ミステリーで脳に汗を感じた。最後の最後には、読者への問いかけのようなシーンもあり、読者同士の推理トークが花を咲くだろう。ミステリーの筋だけでなく、楓とおじいちゃんとの掛け合いの暖かさにも惹かれる素敵な作品でした。


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