「なんなの?」より「なんなん?」
飛び出ている鼻毛なんかはもう、目に入ってきてもなんとも思わない。
私の仕事場は、箱のような宝くじ売り場で、座り仕事。
売り場によって、わたしの目線はお客さんと同じだったり、少し見上げるようだったりする。
目線の高さによって、見えるものが違ってくるわけでして、、、
関東生まれ東京育ちの私。話す言葉はいわゆる、標準語という面白味のない言葉。
関西弁が好きです。
「金属バット」彼らの話すコテコテ関西弁はお気に入り。
〝怒気〟を含む言い方。
標準語の「なんなの?」は、他を寄せ付けず、とりつく島もないような、ピシャリとした冷たいイメージ。
「なんなん?」には、全てを拒否するのではなく、気取りがなく、余白までがあるように感じる。
標準語で『ねぇ、なんなの?なにしてんのよ!』よりも『なんなん?なにしとんねん!』の方が許してもらえそうな隙間、空気感がある。(私個人の所感)
イライラで顔に渋さが増してきてしまっている順番待ちの中年女性。並ぶ列から何度も顔を横に出して、先頭の様子を伺っている。
女性の番になった。
『あれ?あれ?あれれ?ない!』
カバンの中やら、お財布の中を探しまくっている。
(待ってる間に探しておこうよぉ)
見えてしまうカバンとお財布の中はごっちゃごちゃで、ぐちゃぐちゃに物が詰まっていた。
「ねぇ、あなた、なんなの?」なんて、こちらがイライラしてしまうよりは、「あんた、なんなん?」て思う方が、自分にとって精神衛生上よろしい。
カップルの女性がスマホを見ながらカードに記入しているのを、頬杖ついて見ている男性が女性の髪を撫で始めた。
そして、その手はどんどん下がっていく。
オッパイを2本の指でプニプニ〜。女性はなんの反応も示さず書き込んでいる。
「こんなところで、なんなの?」よりはやっぱり、「あんたら、なんなん?」の方が笑いに変換できる。ん?できるのか?まぁ、そういうことにしておこう。
狭い売り場の内側は、所狭しと物が置かれている。正面に背を向けて作業をするとき、お客さんが来ないか、気にしてはいるけど、作業に没頭しちゃうときもある。
ふと正面を見ると、40代くらいの男性が立っていた。
『すみません!いらっしゃいませ!』
『………。』険しい面構え。無言。
「あんた、なんなの?すいません!とか、ちょっと〜!とか、それが嫌なら咳払いとか、カウンター叩くとか、すりゃいいじゃない!」を、「あんた、なんなん?だまーって突っ立っていて、アホちゃうか?」に変換すれば、ムッとせずにいられる。
こんな人を目の当たりにすると、ずーっと気づかないフリしちゃおっかな〜。そしたら、この人、私を呼ぶかなぁ…根比べしてみたくなる。(笑)
〝ずっと無言の人〟よくいる人種。
なんなんでしょうね?話したら負け!って思ってるの?コミュ症?面倒くさい?
うんもすんもなく、こちらが何を言っても、頷くことさえもしない人々。意味が分からない。
よく来るそんな人種の1人が、小当たりした。
気まぐれで、『すごいですね〜、おめでとうございま〜す!』と、笑顔で、少しわざとらしく、大袈裟に言ってみる。
今ではその人と世間話しをするようになった。
なんなん?