第九回　慈朗編④　天国と地獄③　　　　　　　　　　　　　　　～二の姫、そして柚葉の秘密　　　　　　　　　　　　　特別公開版

「ねえ、数馬、あの、柚葉が付いてるお姫様ってさ」
「二の姫様、美加璃みかり様かな、お会いしたよ」
「えーっ？じゃあ、やっぱり、その方だ」
「どうしたの？」
「中庭で会った。絵を描いている時に、話しかけてきた。見慣れない方だなと思ったけど、・・・短期留学、っていうやつに、行ってたみたいで」
「ああ、ランサム大学とか・・・、お帰りになられたみたいだね」
「なんか、数馬の方が、最近、情報が速いね」
「そうか？月ルナと話していた所に、たまたま、通られたんだよね。で、紹介して貰ったよ。月に・・・というか、あのお姫様が聞いてきた。今度、テニスをしよう、と言われた。俺、やったことがないけど。はい、と返事しといたけどね」
「一応さ、多分、柚葉を差し置いて、会ったら、ダメだから、それだけは」
「そうだよな。わかった」

　判ってるから、中庭で二人きりは、ヤバかったもしれない。こんな時だ、柚葉に知れたら・・・後、お妃様にだって、ヤバい・・・。

「そう言えば、お前、視察団の付き添い、大変だったな」
「うん・・・、僕もそうだけど、柚葉は、もっと、大変だったみたい」
「だからかあ・・・、交渉の成果は、スメラギの利得が大きかったようで、大成功だと、皇帝陛下がお喜びだと、第二皇妃が仰ってたから。・・・で、当然、柚葉には、沢山、ご褒美が出たそうだよ」
「・・・そうなんだ。僕も、ヌフティラス製の、前より良い水彩のセットと、画用紙を沢山貰ったよ」
「んで、しばらく、柚葉、まあ、色々あってさ、美加璃様とも会えなくてさ、具合が悪いってことでさ」
「だよね、僕を見て、ほら」
「あああ、本当に、お疲れさんだよ、慈朗、偉かったな。手首、痣になってるな・・・」
「うん、まだ、痛いよ」
「まあ、察して、痛みあり余る、だよ。あのさ、・・・」
「うん、大丈夫。ちゃんと後始末して、薬もつけた」
「辛くなるから、俺は、こっちでする。そしたら、・・・」
「ああ、もう、いいよ。数馬、解ったよ。もう、いいって・・・」
「ごめん、慈朗」

・・・・・・・・・・・

「だから、美加璃姫様、お一人でブラブラ、皇宮の中、動き回ってるんだな」
「今の感じじゃ、精神的にも、肉体的にも、お姫様のお相手は無理だよ」
「こんな時に、帰ってきちゃったんだね。タイミング悪いな」
「なんか、素国の方の予定は、急遽、決まったらしいから、仕方なかったんだろうね」
「最後の国の代表は、柚葉だったんだよ」
「そうなのか」
「交渉の時、首を縦に振らなかった、あの人を、最後に、その気にさせたんだと思う」

　女の子みたいに、あの人に駆け寄っていった柚葉、深夜の誰もいない貴賓館の廊下だったから、その場で、あの人の首に手を回して、少し、二言、三言、会話してたけど、抱き寄せられて、キスしてた・・・。

　僕は、ついぞ、数馬に抱きついて、声を上げて、泣いた。自分がどうの、とかいうよりも、柚葉が可哀想で、堪らなくなってしまったんだ・・・。数馬は、背中をトントンしてくれた。でも、こないだの柚葉とは、全く違う感じだから、・・・数馬は親友だしね。

　何人かの女官が見ていた。昨日、接待があったことを皆、なんとなく、知っているみたいだ。少し、気の毒そうに見てる人、少し、立ち止まるけど、忙しそうに、仕事を続ける人、・・・多分、皆、解ってる。

　そこへ、月ルナが、お菓子を持ってきてくれた。

「お絵描きセット、頂いたのでしょう？これからは、素敵な絵を描いてくださいね。慈朗。身体が治るまで、お妃様は、こちらには参りません。あ、数馬、ちょっと・・・」

　少し、僕はお休みだな。数馬、ごめん、呼ばれちゃったね。僕は、君がお妃様に可愛がられたとしても、妬きもちは焼かないから、安心してね。・・・ん、でも、いざ、その時になったら、ちょっと、それ、わかんないや、・・・やっぱり、自信がないな・・・。

　それより、僕は、ちょっと、柚葉が心配になった。この仕事を通じて、柚葉の見たことない姿を見ちゃったからな・・・、これは、内緒だから、誰にも言えないけど・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　～数馬編⑤「昼間のお相手」につづく～

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みとぎやのメンバーシップ特典　特別公開版　慈朗編④「天国と地獄③」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御相伴衆～Escorts   第一章　第九話　

　今回は、一般の皆様にも、短い一部ですが、公開にさせて頂いております。慈朗視点の、皇宮で過ごす、御相伴衆の様子でした。

　💓メンバーの皆様へ💓
　実は、この話、正直言いますと、実質９話で、先日の９話が１０話となります。みとぎやのミスでした。年表の見間違えをしてしまって💦すみません。こちらを今回の投稿では、一度そのようにしますが、メンバーシップのマガジン内では、順番を入れ替えますので、ご了承頂ければと思います。こちらを読んで頂いてから、数馬編⑤「昼間のお相手」に行くと、お話が自然に繋がってきます。宜しくお願い致します。

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　次回からはまた、残念ですが、内容的にクローズと致したく、公開は、メンバー様のみになります。
　次回こそ、柚葉編②Ａサイド「心と体、嘘と真実（身体で大嘘篇）」をお送りします。その次に同じ内容のＢサイド「（心の真実篇）」お送り致します。どうぞ、お楽しみに。

　ご興味のある方は、是非、みとぎやのメンバーシップ「艶楽御伽絵巻『高官接待プラン』」にご参加頂けましたら、嬉しく思います。初回１か月は、無料とさせて頂きます😊👍　是非とも、宜しくお願い致します。