体重変動と認知症。±10%以上で3倍リスク増大(“APOE ɛ4” 遺伝子の介在)
📖 文献情報 と 抄録和訳
後期高齢者の体重変化と認知症との関連性。集団ベースのコホート研究
[背景・目的] 晩年の体重変化が認知症発症に及ぼす影響については不明である。我々は、肥満度(body mass index, BMI)および体重変化と認知症との関連を調べ、これらの関連におけるAPOE ɛ4の役割を探索することを目的とした。
[方法] 60歳以上の認知症でない1,673人の参加者を、BMI/体重の変化を検出するために最初の6年間、そして認知症の発症を検出するためにさらに6年間追跡調査した。BMIの変化([BMIfirst 6-year follow-up - BMIbaseline]/BMIbaseline) は、安定(≦5%)、中程度(5%〜10%)、大きな増減(>10%)に分類された。認知症は標準的な基準に従って診断された。データはCox回帰モデルで解析した。
[結果] 6年間の追跡期間中に、102例の認知症発症が確認された。
■ BMIと認知症リスク
・安定したBMIと比較して、認知症のハザード比(95%CI)は、BMIの増減が10%を超えるとそれぞれ2.61(1.09-5.54)および2.93(1.72-4.91)であった。
■ +α:APOE ɛ4の保有有無と認知症リスク
・認知症のリスクは、BMIが安定しているAPOE ɛ4非キャリアよりも、BMIが大きく増加(9.93[3.49-24.6])または減少(6.66[2.83-14.4])したAPOE ɞ4キャリアの方が高かった。
[結論] BMIの変化は、認知症リスクとU字型の関連を示した。体重の大幅な増加および減少は、ほぼ3倍高い認知症リスクと関連しており、これはAPOE ɛ4によって増幅される可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
ふと思ったのだが、体重変動は『最終共通路』だ。
・最近、運動するようになった→体重適正化
・最近、メンタルストレスが凄い→過食→体重増大
・最近、食事量に気をつけるようになった→体重減少
etc...
すべての「最近〇〇」が、体重変動という1つの道に収束していく。
そして、その体重変動が、あらゆる健康アウトカムにリンクしている。
今回の研究も、そのアウトカムの1つ『認知症リスク』との関連を明らかにした。
体重の維持は、アメリカ心臓協会からの勧告『ライフ・エッセンシャル8』の1本の柱でもある。
あとは、管理の仕方だ。
ベストなのは、ウェアラブル端末とリンクした体重測定。
現時点では、体重計に乗って、それを記録して、…、面倒である。
この面倒が限りなく少なくなったとき、健康ベネフィットへの重大な最終共通路が開通することだろう。
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