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昼寝の威力。身体的パフォーマンス改善


📖 文献情報 と 抄録和訳

通常の夜間睡眠後の昼間の仮眠が身体能力に及ぼす影響:システマティックレビュー、メタ分析、メタ回帰

📕Boukhris, Omar, et al. "The impact of daytime napping following normal night-time sleep on physical performance: A systematic review, meta-analysis and meta-regression." Sports Medicine (2023): 1-23. https://doi.org/10.1007/s40279-023-01920-2
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🔑 Key points
🔹午後のトレーニングセッションおよび/または競技会前の日中の昼寝は、夜間の睡眠を補う方法として、また運動能力を高める方法として推奨される可能性がある。
🔹長い昼寝は、身体的パフォーマンスを最適化する上でより有益である可能性がある。
🔹昼寝の影響は、(i)昼寝の時間、(ii)昼寝の時間帯、(iii)睡眠慣性、および(iv)運動の種類によって影響を受ける可能性がある。

[背景・目的] 昼間の仮眠は、夜間の睡眠を補い、身体パフォーマンスを向上させるための戦略としてアスリートに用いられている。しかし、通常の睡眠(7~9時間)後の昼寝が身体パフォーマンスに及ぼす影響に関するメタ分析の概要は得られていない。目的本研究の目的は、身体活動家およびアスリートにおいて、夜間の通常睡眠後の昼寝が身体パフォーマンスに及ぼす影響を評価することである。

[方法] この系統的レビューおよびメタ分析は、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysis(PRISMA)ガイドラインに従って実施した。7つの電子データベース(すなわち、PubMed、Web of Science、Scopus、SPORTDiscus、CINAHL、SCIELO、およびEBSCOhost)を用いて、身体的に活動的な個人およびアスリートにおいて、夜間の通常の睡眠に続く昼間の仮眠が身体的パフォーマンスに及ぼす影響を調査し、あらゆる言語で発表され、2022年9月1日以前に入手可能な関連研究を検索した。身体的パフォーマンス指標の評価を含む研究も対象とした。QualSystを用いて研究の方法論的質を評価した。

[結果] 18件の論文のうち、15件は質が高く、3件は質が中程度であった。仮眠をとらない場合と比較して、仮眠をとった身体活動家およびアスリートは、5mシャトルランテスト(5MSRT)において、最高距離(エフェクトサイズ[ES]1.026;p<0.001)および総距離(ES0.737;p<0.001)が増加し、疲労指数(ES0.839;p=0.008)が減少した。

しかし、仮眠による筋力への影響は認められなかった(ES 0.175; p = 0.267)。

短距離走のパフォーマンスを測定した1つの研究と、30秒Wingateテストのパフォーマンスを測定した2つの研究では、昼寝の効果は認められなかった。3件の研究のうち2件では、昼寝後にジャンプのパフォーマンスが上昇したと報告している。3件の研究のうち2件では、昼寝後の反復スプリントの増加が報告された。また、2つの研究のうち1つでは、昼寝は持久力パフォーマンスに有益であった。

[結論] 通常の睡眠後、仮眠は5MSRTのパフォーマンスに有益であり、筋力には有意な影響はない。その他の身体能力指標については、研究数が限られているため、確たる結論を導き出すことはできない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

昼寝の威力については、何度か文献抄読をしてきた。

その中で、昼寝は認知的パフォーマンスにも好影響を与え、身体的パフォーマンスにも好影響を与える可能性があることを学んだ。
そして、今回の抄読文献では、特に身体的パフォーマンスについて、メタ解析を行い、その効果が真実に近いことを明らかにした。
昼寝をすることは、アスリートのパフォーマンスを考えた上では、どうやら善である。

徳は眠った後では一層爽やかに起き上がる
ニーチェ

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