PT&STのシナジー効果。早期離床&口腔ケアが肺炎発症を防ぐ
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中関連肺炎の発生率に対する早期口腔ケアと早期移動の併用効果について
[背景・目的] 脳卒中急性期患者の入院中に、早期口腔ケアと早期モビライゼーションが脳卒中関連肺炎の発生率に及ぼす影響を検討すること。
[方法] この単施設非盲検ビフォーアフターコホート研究では、2016年7月から9月までと2018年7月から9月まで、症状発現から72時間以内に多職種チームによる脳卒中基礎リハビリテーションを受けた患者を対象とした。患者さんは、1)早期離床と早期口腔ケアを組み合わせて受けた患者(早期介入群)(n=107)、2)通常のケアを受けた患者(対照群)(n=107)の2群に分けられた。脳卒中関連肺炎の発症率と予後との関係を検討した。
[結果] 早期介入群は対照群に比べ脳卒中関連肺炎の発症率が有意に低かった(0.93% vs. 7.48%; P=0.01)。さらに、早期介入群では、退院時に肺炎の再発により死亡または治療を必要とした患者の割合が有意に低かった(0.93% vs. 5.6%;P=0.04 )。一方,14日目の改訂長谷川式認知症スケール(22.5 vs. 23;P=0.87),14日目の機能的自立度評価(112 vs. 116;P=0.06),退院時の全食事摂取率(食物摂取レベルスケール≧7)について両群間に有意差はなかった(95.2 vs. 93.5;P=0.55 ).
[結論] 多職種による早期口腔ケアと早期モビライゼーションの併用により,脳卒中関連肺炎の7日以内の発症率は有意に低下し,脳卒中後の肺炎再発により死亡または医療的ケアを要する患者の割合が減少した.
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つまり、シナジー効果とは、「1+1を3」にすること。
今回、PTの主戦場である離床とSTの主戦場である口腔ケアを組み合わせることで、肺炎発症予防に大きな効果があることが明らかになった。
ただ離床するだけ。
ただ口腔ケアするだけ。
より、離床+口腔ケアが効果を発揮したのだろうか。
これは、実は今回の研究からだけではわからない。
なぜなら、単介入群がないから。その部分の事実がないのだ。
例えば、離床のみ群、口腔ケアのみ群、が今回の2群に加えて存在していたら、相乗効果の有無やその程度を把握することができるのだろう。
近年、PTとSTの協働は注目されている領域で、老舗Physical therapy誌でもレビューが組まれているほどだ(📕Schwab, 2021 >>> doi.)。
このレビュー中、いくつものエビデンスが紹介されているが、明確にシナジー効果を明らかにした研究というのは、少ないか無いかだと思う。
PT領域をやったらST領域も良くなった、もしくはSTをやったらPT領域も良くなった、という感じの協働推奨。
「PT&STやると1+1が3になります」が、本当にあるのか。
それは、知りたいことの1つだ。
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