ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』30 第2部、第4編「五 客間での病的な興奮」
一昨日からの下の子の発熱は、昨日午前中に近所の医者で検査してもらうころには落ち着いてしまい、結果もすべて陰性と出た。しかし、やがて上の子も発症してしまい、熱は全然でなかったものの、昨日はあまり浮かれられもせず、地味に過ごした。でも、今日になって、ふたりとも多少それでまあひと段落ということではあったので、読書や日記なども書けるかと思いきや、午後になるといまいち気分も乗らず、空いた時間を無為に過ごしてしまった。
感想は第四編の「五」だけれども、すでに読書は中巻へと進みつつある。有名な「大審問官」の節を終え、第2部も終わらんとしている。ただ、そこに立ちはだかったのが、フォントの大きさである。私の持っている中巻は、古い版、ヴァシリー・ペロフの描いたドストエフスキーの肖像画が表紙のアレだ。

新しい版のドストエフスキーは、おそらく肖像写真からの転写だろう。斜めのフォントが70年代後半の雑誌表紙の流行を思い起こさせる、アレだ。で、新版では16行×38文字、旧版では19行×43文字。そうとう、字間もフォントサイズも異なる。

当初は、それでも100円だったから、と旧版を読んでいたが、さすがに、文字を途中で見失うストレスに嫌気が差し、新版の『カラマーゾフの兄弟』中巻を買ってしまった。
*
さて、この節は、イワンがカテリーナと何かを話しているのを、アリョーシャが聞き、その内容を推測して、カテリーナにあることを告げたら、カテリーナがブチ切れ始め、それをイワンがなだめるシーンからはじまる。
アリョーシャは、イワンとの別れに、何か腑に落ちないものを感じ、それでも兄が出ていってしまったから、落ち込んでいたら、落ち着いたカテリーナにお願いを頼まれる。
それは、先日ドミートリィが起こした騒動のことだった。ある飲み屋でドミートリィは、二等大尉だった退役将校に、暴力をふるい、それを止めに入った息子の前で、さらに二等大尉をボコボコにした、という騒動だ。その騒動の詫びとして、カテリーナがいくらか包んだから、これを持ってその退役将校の家に行って、渡してきてくれないか、という頼みであった。
悲嘆にくれ、混乱するホフラコワ夫人の家を、アリョーシャは願いを受取り、あとにした。
*
ここから、第4編の最後まで、ちょっと面白く、まとめることが逆にもったいない気がしている。
私がアリョーシャの立場だったら、こんな願いを絶対引き受けないのだけれども、アリョーシャは、できたら、これら相反する登場人物全員をあるべき場所に配置して、みな幸せになるように差配したい、と思っている。だから、こんな嫌な役回りも受ける。
でも、次回、次次回で、ええーっと思うような事態が起きる。長台詞はあるけれども、それが逆に面白い。
子どもの前で恥をかかされた親父のところに、アリョーシャは当事者でもないのに兄の代わりに兄のものかどうかもわからない金を持って謝りにいくのだ。これはもう、犯罪被害者のところに、犯人の親族が謝りにいくのと同じシーンで、重い。どうなるのか。そして、アリョーシャの指を噛んで怪我を負わせた中学生は、どう絡むのか。
いやあ、ここ一気読みしちゃって、ずっと感想が書けずにいたんだけど、やっとクリアできそうだよ。