毒にも薬にもなるカフェイン。カフェイン中毒のあなたへ。
カフェインと言えば、コーヒーに含まれることで有名だが、緑茶やほうじ茶にも含まれている。
私は夕飯後に緑茶やほうじ茶を飲むことが習慣になっているが、今朝早起きしたので、朝にほうじ茶を入れて飲んでみた。濃い目が好きなので普段よりやや多めに茶葉を使用し飲んだところ・・・気持ち悪くなった。非常に。
カフェインには消化管刺激作用がある
なぜ気持ち悪くなるのか?
それはカフェインに「消化管刺激作用があるから」だ。
・・・こう聞くと、なんとなく分かったような気がする。
でも、よく考えると疑問に思わないだろうか?
「消化管刺激作用」、まぁ「消化管を刺激する作用」なのだろうが、これは一体何ぞや?よもやコーヒーには棘が入っているわけでもあるまい。
そもそも、食べ物や飲み物が胃に入れば、少なくとも物理的には消化管を刺激することになるだろう。
Googleで「消化管刺激作用」と検索すると・・・
ヒットしない。
それもそのはずで、消化管とカフェインの関係については、まだ明らかになっていないことが多い。
下に挙げた論文では、カフェインは胃酸分泌の促進や胃の運動を高める可能性があることが報告されている。ただ、この作用が吐き気につながるかというと、直接は繋がらないと思われる。吐き気止めのメトクロプラミド(プリンペラン®)にも胃の運動を高める効果があるからだ。したがって、なぜカフェインを摂ると気持ち悪くなるのかに関しては、まだ分かっていないというのが現時点での結論だろう。では現時点で分かっているカフェインの作用とは、どんなものがあるか?
カフェインはどこに作用する?
医薬品に関する情報がまとめられているものとして、「インタビューフォーム」というものがある。市販されている全ての医薬品に存在し、薬の効果や容量、作用機序、動物実験での結果などが記載されている。カフェインも医薬品として使用することがあり、インタビューフォームも存在しているので、見ていこう。なお、詳細・引用は最後にまとめてあるので、ここでは先に要点のみを書いていく。
<効果・効能>
ねむけ、だるさ、頭痛
<作用する場所>
脳(大脳皮質、脳細動脈)、心臓、腎臓
<過剰に摂取すると・・・>
気持ち悪さ、不整脈、血圧上昇、意識障害などが出る。
つまり、カフェインを摂ると眠気がすっきりしたりするのは脳に作用するから。トイレが近くなるのは腎臓に作用するから。脈が速くなったりするのは心臓に作用するから、である。
なお、カフェインをたくさん摂りすぎた時に出る気持ち悪さは、消化管への影響が関係しているようだが、どのように消化管へ作用するかは記載がなかった。
インタビューフォームまとめ
2013年1月改訂(第5版)の『日本薬局方 カフェイン水和物 カフェイン「ホエイ」』に関するインタビューフォームを引用している。
効能・効果
ねむけ、倦怠感、血管拡張性及び脳圧亢進性頭痛(片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛など)
用量
通常成人1回0.1-0.3gを1日2回~3回経口投与する。
※年齢・症状に応じて適宜増減する。
薬理作用
大脳皮質を中心に中枢神経を興奮、脳幹網様体の賦活系の刺激により知覚を鋭敏にし、精神機能を更新させる。
心に直接作用して心筋の収縮力を増強させ、また冠動脈を拡張させる。
脳細動脈に直接作用して脳血管を収縮させ、その抵抗性を増加して脳血流を減少させる。
腎に対し糸球体の輸入血管拡張と尿細管への直接作用によりNa+及びCl-の再吸収を抑制して利尿作用を示すが、テオフィリンより弱い。
代謝・排泄
カフェインを経口投与した場合、その吸収は非常に速く、吸収されたカフェインは主としてN-脱メチル化反応により肝臓で代謝される。カフェインは服用後血中から速やかに消失する。代謝産物は尿中に排出される。
過量投与
<徴候、症状>
・消化器症状 (悪心、嘔吐等)
・循環器症状 (不整脈、血圧上昇等 )
・精神神経症状 (痙攣、昏睡)
・呼吸器症状 (呼吸促進、呼吸麻痺等 )
<処置>
胃洗浄や吸着剤・下剤の投与により薬物を除去し、輸液等により排泄促進を行う。また、興奮状態には対処療法としてジアゼパム注、フェノバルビタール注などの中枢神経抑制薬投与を考慮し、呼吸管理を実施する。
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