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学校に行かないという選択。子どもたちが地域資源を開拓する。#06「好きなものは、肌身放さず持ち歩け!」

地域資源を活用するこどもたちについては、noteにも書かせていただいています。私も、日々、自分を耕しつつ、地域資源として子どもたちに活用される大人になりたいと思っています。

地域資源とは・・・・地域資源とは、自然資源のほか、特定の地域に存在する特徴的なものを資源として活用可能な物と捉え、人的・人文的な資源をも含む広義の総称。


月曜日。

さて、今日は、何しよう?何したい?

そういえば、最近、動物園に行っていないな、と思い浮かび、子どもたちに提案してみた。

公共交通機関を利用して動物園に行く場合、我が家からは、バスと電車を乗り継ぎ、最寄りの駅からおおよそ15~20分の徒歩。軽く一時間半の道のりだ。

車でアクセスする場合は、家から約15分。そこへ1時間半かけても、行きたい?と聞いたところ、こどもたちの答えは「YES」だった。

前回、電車やバスを使って動物園に行った時は、お弁当、おやつ、飲み物が入ったかなりの重さのリュックを背負い、一日中、動物園の中を移動した。

さらに、帰り道では、末娘が寝てしまい、ずっと抱えながらラッシュの地下鉄に乗り、ヘトヘトになり帰宅した。

「また、あんな風に大変になるかもなぁ・・。」と一瞬、頭をよぎる。

これは、私の思考パターンの癖だ。

どんな事柄も、〈前と同じ状況であることはない〉はずなのだ。ちょっとづつ、いや、どんどこ変化している。「この前はこうだったから・・・」というのは、大半、当てはまらない。

子どもたちは、日々の経験の中で、常にアップデートしている。私も、子どもたちには敵わないまでも、少しはバージョンアップしているはずなのだ。

人生、何が起きるか、わからない。

そう、何が起きるか、わからない。

今の世情に配慮し、動物園も予約制になっていた。それにしても、空いている。子どもたちは、「やっぱり、平日だよね~!」と空いてる動物園を目の前に嬉しそうだ。

夏休みは、何処へいっても、混雑していて、普段は、その隙間をかいくぐって生活している子どもたちは、「早く、夏休みが終わればいいのに~!」とボヤいていた。・・・いやいや、学校に行ってる子どもたちにこそ、夏休みが大事なんですよ。

動物園には、その日ごとに、「体験メニュー」というものがあり、当日にそのメニューがわかるシステムになっていた。(知らなかった!)長男が園内案内図のQRコードを見つけて、検索してわかったのだった。

ちょうど良い時間に、フンボルトペンギンのお話と、アジアゾウのお話が聞けるようだったので、まずは、フンボルトペンギンのいるペンギン舎へ。

フンボルトペンギンの担当飼育員さんに、フンボルトペンギンの生態のお話を伺う。ペンギンは年に一回、換羽期があり、古くなった羽が生え換わるのだそうだ。羽が古くなると、水はけが悪くなり、泳ぎに支障がでたり、体温調節にも影響があるとのこと。

自然界では、換羽期は、水に入らない(羽が水をはじかないので)為、ペンギンたちは、2週間ほどの断食のような時期になる。動物園では、断食まではいかないものの、換羽中のペンギンの餌は控え目にしているそうだ。

図鑑や、動物園のパネルにも、生態についての説明は書いてあるが、やはり、「人から直接話しを聞く」ということは、「自分自身のまなび」として認識しやすい。飼育員さんの個性も加わり、時間を共有することで、「興味を持つきっかけ」になっていくのだろう。

飼育員の方も、「ここでペンギンを見て〈かわいい〉だけで、終わらず、興味をもって、調べたり、観察してもらえたら嬉しいです。」とお話してくださった事が印象的だった。

次に向かったのが、ゾウ舎。動物園のゾウ舎は新しく建設され、2019年にオープンした。動物園でゾウを迎えるのは12年振りとのこと。動物園では、ゾウを迎える為に準備を重ねて来た。


飼育員の方のお話では、ゾウの生態から始まり、最後は、ゾウの置かれている現状についてを知ることとなった。ゾウの密猟、森林伐採、フェアトレード・・・。

子どもたちが、このお話をどんな風に捉えたのかはわからない。しかし、知ることで、自らが知りたいと思うことで、子どもたちの世界は、ちょっとづつ広がり、あっちの世界とこっちの世界とが繋がり、点が線になる。

ゾウ舎の解説が終わった時に、大学生によるアンケート調査が行われていた。10歳以上が対象だったので、長男と私が参加することになった。

長男は、「自分に見返りがなくても、ゾウの保護の為に寄付や活動をしたいか」という質問に対して「とてもそう思う」にチェックを入れていた。「高額でも、環境に配慮した品物を探し、購入したいと思うか」「国が政策として環境を保護する必要があると思うか」についても同様だった。

彼らが、大人になる頃、今より、ゾウをはじめ、あらゆる生き物が、それぞれ心地よく生きられる世界になっていますように。

アンケートを提出し、協力のお礼にポストカードとシールをいただけるとのことで、選んでいたら、飼育員の方に声を掛けられた。

「それって、虫網ですよね?」

動物園には、虫網や虫籠を持ち込むことができない。入場の際に毎回、チェックを受け、リュックにしまうか、受付に預けるかを尋ねられる。

以前は折り畳むことができなかった虫網も、携帯しやすいタイプを購入したため、カバンに入るならOKと、持ち込みが許可されるようになった。「虫網はオレ様の魂だ。」と毎日のように言っている長男に、受付に虫網を預けることを納得させるのに苦労した日が、懐かしく思えた。

飼育員の方は、自分の腰にぶら下がっている物を指差し、「おんなじです!」と嬉しそうに微笑んだ。

声を掛けてくれた方は、動物園では唯一の虫好きだそうで、長男と虫トークで盛り上がっていた。

「一番好きなのは?」

「蝶かな~」

「何が好きなんですか?」

「タテハチョウ。」

「何タテハですか?」

・・・好きな物が共通している人の会話は、どんどんディープになっていく。

「そうだ!バタフライガーデンがあるから、見に行こうか!」

飼育員の方は、最近造られたという花畑に案内してくれた。そこには、蝶などが好み飛来しやすい花やハーブをできるだけ植え、少なくなっている個体の産卵などが確認できれば、増やす事もできると考えているそうだ。

「動物園を蝶でいっぱいにしたいんだよね!」

飼育員の方は、ワクワクした表情で、子どもたちに、そう話していた。そして、「20歳になったら、動物園で働けるから、一緒に虫がいる動物園をつくろう!」と長男を誘ってくださっていた。長男の就職先候補がまたひとつ増えた。

「動物園に来たら、いつでも受付で呼び出してください!」と言ってくださり、子どもたちの居場所ができていく喜びとありがたさを感じていた。

動物園としても、地域の子どもたちが通ってきて、生き物に興味を持つということは、自分たちの仕事の意義が深まることに違いない。

子どもたちは、「動物園」そして、「飼育員の方」という素晴らしい地域資源を活用するきっかけを手にいれたのだ。

虫網について、今までは、移動の際に周囲に気を使う、かさばる、忘れる・・・など、あまり好印象を持てなかった。好印象どころか、「なぜ、それをそこに持っていく必要があるの・・・」と邪魔に近い感覚さえ持っていた。しかし、今回の出来事でその意識は変化した。飼育員の方と知り合えたのは、虫網のおかげである。

「好きなものは、肌身放さず持ち歩け!」

私は、頭の中で上書きを完了をしたのだった。





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やなぎだけいこ
学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!