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漫画みたいな毎日。「豪雪地帯に、春が来た。」
札幌は、この数日、大雪が続いている。
気温が高めなこともあり、湿気を含んだ重い雪がどっさりと積もっている。
そのままでは、車もスタックしてしまう。それ以前に車を車庫から出すことすら困難だ。
そのため、朝2時間半、夕方2時間半、子どもたちと雪かきをする。
やっと道路が平らになった!と達成感を味わう日々。
しかし、翌朝、玄関を開けると・・・
昨日、除けたのと同じ、いや、それ以上の雪がこんもりと積もっている。
それがこのところ3日間続いている。
一日5時間ほどの雪かきをしている状態なのだ。
このままでは、私の身体は、ママさんダンプと一体化するんじゃないか!?と思えてくる。
かなり体力は使っている。
腕も使いすぎて痛い。
全身筋肉痛だ。
鍼灸師の夫に期待をもって尋ねてみた。
「これだけ雪かきしたら、痩せる?!」
「あ、痩せないね。」
夫は、あっさりと、そして正直に答えた。
今日は、天気も荒れていないし、今日は雪かきをしなくてよいだろう!良かった!と思っていると・・・
ドドドド~ン!!!!!
轟音と共に、裏庭に屋根からの落雪。あっという間にリビングの窓ガラスを塞いだ。夫が慌てて雪かきの為に外に出ていった。私も一緒に雪かきする為にスキーウエアに着替えて続く。
今日は夫の仕事が休みで、「やるからいいよ。連日の雪かきで、疲れてるでしょ。」と言ってくれたが、そうはいかない。
雪かきは、人手があるだけで、作業もはかどり、時間もかからない。
しかし、それ以上に、心が救われる。
私は、それを毎日実感しているのだ。
昨日も、玄関を開けたら、一昨日以上に、雪がふっかふかだった。夫は遠距離出張治療の日で不在。「私が、雪かきしなくては!」と思うものの、連日の大雪で、私の心は、くじけそうだった。
しかし、そんな時にも、子どもたちは3人次々と玄関から出てきて、
末娘「わ~!こんもり♪ふっかふか♪」
二男「ふかふか~!雪かきするぜ~!イエーイ!」
長男「お、結構、積もってんな。やるか。」
そんな姿をみると、くじけそうな心も、だんだん立ち直っていく。
だから、夫が「やらなくていいよ。」と言ってくれても、一緒に雪かきをする。「すごい雪だよね。」「もう雪かきに飽きたよね~」「重たくてしんどいね〜!」と言い合えるだけで、疲れは半減するのだ。
そして、子どもたちの楽しそうな姿がそこに加われば、身体は疲れても、心のくたびれは、激減する。
子どもたちにとっては、雪かきは、あそびだ。
すべては、あそびだ。
そこに「ねばならない」という気持ちはない。
子どもたちは、雪を運ぶための雪のスロープも有効活用する。ソリに立って乗り、スノーボードのようにしたり、ママさんダンプを大型ソリとしてスロープから滑り降りる。
「ひゃっほーい!!!!」
豪雪地帯と化している状況も、彼らにとっては、あそびが広がる要素が増えたことでしかない。
家の中に入ったと思ったら、二男がスキーを装着して出てきた。
家の前は緩やかな坂なので、スキー初心者の二男にはぴったりのスキーコースだ。家の前でスキーができる。大雪ならではだ。
朝からお昼を過ぎるまで、皆で雪かき。雪遊び。
ご飯を食べて、一休みしようと、玄関に入ると、ちょうど、配送業者の方が荷物を届けに来てくれた。
道幅が狭くなり、通りにくくなっているが、配送業者の方々は変わらず荷物を届けてくれる。これは、あたりまえのことではない。本当にありがたい。
どうか、安全にお仕事できますようにと願う。
春が近いと思った矢先の大雪。
また冬が来た、と思ったのだが、届けられた箱の中身は春だった。
私が保育士として働いていたときの職場の先輩が、長崎県島原市から取り寄せた柑橘、「せとか」を送ってくださったのだ。
先輩と同じ保育園で仕事をしたのは、新人として保育園に配属されてから、3年間位だっただろうか。同じクラスになったのは、私がイレギュラーで3月に配属されたので、その1ヶ月間だけだ。いつもお隣のクラスを受け持つことが多かったので、コミュニケーションをとる機会に恵まれ、先輩のフラットな考え方やユーモアのセンスが私は好きだった。
私が退職してから、数年後、先輩も退職し、その後も年賀状のやり取りが続いていた。私たちが札幌に移住した時、我が家を訪れてくれ、今までしたことのなかった子育てや仕事の話をしたのはもう8年くらい前だろうか。
丁寧に包装された「せとか」。
箱を開けると、柑橘の爽やで、甘い香りがする。
雪かきでくたくたになった身体に染み入る。
一口、頬張ると、優しい甘みと酸味が広がる。
あぁ、至福。
豪雪地帯と化した我が家に、少し早く訪れた春。
また、ゆっくり会いたいです。先輩。
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