漫画みたいな毎日。「ハレの日のお福分けラーメン。」
お節の一品に〈豚肉の醤油煮〉という品目がある。
我が家のお節は、私が実家で体得したものではなく、料理家の有元葉子さんのレシピ本から成り立っている。こちらは改定された決定版。
私が購入したものは、こちら。
2003年刊行なので、もう20年以上が経っているレシピ本だ。この本にどれだけ助けられただろう。お節のことがまったくわからなかった私を導いてくれた本。
作ったお節が余った時の応用なども巻末にさり気なく記載されている。〈豚肉の醤油煮〉は、お肉をご飯に乗せて〈豚肉丼〉になるというもの。
この一品は、豚肉とゆで卵、たっぷりのニンニクと生姜、身の厚さが贅沢などんこ、長葱は青い部分まで残さず入れ、お酒と醤油でコトコト煮る。煮汁は多めに作り、余ったら冷凍しておく。そして、松の内が明け、子どもたちがお節から日常の味が恋しくなる頃、この煮汁を使ったスープのラーメンを作る。
年末に買って冷凍してあった麺を茹でるためのお湯を大鍋にたっぷり沸かし、少量の油でニンニクと生姜と長ネギを香りよく炒めたところに、キャベツ、人参、家計の味方であるモヤシを山盛り入れ、ささっと炒める。味付けは塩のみ。解凍した豚肉の醤油煮のスープを熱々のお湯で程よく薄め、茹でた麺を入れ、炒めた野菜を乗せ、完成。
あとは好みでトウモロコシを乗せたり、自家製の玄米酒粕の肉味噌風なるものを乗せ、熱々のうちにいただく。私は白胡椒もたくさん振る。白でも黒でも胡椒が大好きなのだ。
子どもたちはラーメンが好きだ。気に入っているラーメン屋さんが小樽にある。味は塩・味噌・醤油の3つ。化学調味料不使用のスープの味わいはやさしいが、「あさっり」と「こってり」を選ぶことができる。しかも、「あっさり」と「こってり」では、同じ塩味・醤油味・味噌味であっても、出汁のベースが違う。う~ん、手間を惜しまないってこういうことなのだろうなぁ。何度お店を訪れてもメニューに書かれた説明を読んでは感心してしまう。
私達が住んでいる場所からはちょっと距離があるので、なかなか行くことができないこと、大盛りメニューがないことが我が家にとってはとても残念なところだ。店主のこだわりで、大盛りにすると、麺とスープのバランスが崩れるからなのだそう。
大盛りがないということ、それは即ち、おかわりを注文するということ。
昨年、そのラーメン屋さんに甥姪と行った時、7人で合計10杯のラーメンが胃袋に収まった時には、その食べっぷりに夫と顔を見合わせて笑ってしまった。
距離的にも、コスト的にも、頻繁にはお気に入りのラーメン屋さんに行くことはできない。
それでもラーメンが食べたい!となれば、家で簡単スープを作り、麺を茹で、野菜をたくさん乗せたラーメンを作ることになるのだ。
基本のスープのベースは野菜。肉類は入れない。長葱、玉ねぎ、昆布、セロリ、人参、生姜、ニンニク・・・他にもキャベツの芯など〈くず野菜〉と言われるようなもので十分な野菜出汁となる。その時々、冷蔵庫にある野菜を大きめの鍋に入れて、コトコト煮て野菜のスープを作る。
次に、タレ。
どんぶりに、たまり醤油と好きな油、我が家では、大人は亜麻仁油、子どもたちは香りの良い胡麻油をベースにする。
そこに野菜スープを注ぎ、茹でた麺をからめ、炒めた野菜をたっぷり盛り付ける。これが通常のラーメンだ。
ケノ日のラーメン。
お正月のお節で作った豚肉の醤油煮のスープは、また日常のラーメンとは違う味わいが楽しめる。
ハレの日のラーメン。
しっかりした豚肉の味わいと、油の濃厚さの感じられるスープ。濃いめのスープをじっくり味わいながら思う。
「お正月というハレの日のおすそわけのラーメンだなぁ・・・。」
お正月のおすそわけ、いや、お福分けかな。
それがお節料理のリメイクなのだろう。
ラーメンと言えば、私の中ではやっぱりこの曲。
我が家のお気に入りラーメン屋さん「自然派ラーメン処 麻ほろ」。
化学調味料不使用、自家製麺です。
インスタもあります。お腹空いてきます。