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漫画みたいな毎日。「インドア派夫婦が、アウトドアに挑戦する夏。」
私も、夫も、家で過ごす時間が好きだ。
なんなら、ずっと出掛けなくても全く問題ないとすら思う。それは、外が嫌いなのではなく、家が過ごす時間が物凄く好き、というだけのこと。
北海道に移住する前に夫と暮らしていた神奈川でも、自然の多い地域に暮らしていたし、生まれ育った東京も下町で自然が比較的多い地域で、ザリガニを釣ったり、森に囲まれたような公園で暗くなるまで遊んでいた。父親の実家は福島の山奥にあり、井戸水、五右衛門風呂、トイレは汲み取りで家の外だった。休みの度に田舎の自然も味わった記憶がたくさん残っている。そのような環境で十分遊び尽くしたので、大人になった今、遠くに自然を求めて旅に出る必要性を感じていなかったのかもしれない。
我が家の子どもたちも、外で遊ぶこと、自然の中に身を置くことを好む。
幼稚園も山に近い場所にあるし、居住地域も、そこそこ山に近い場所。最近では、斜め前の家の隣の草むらにヒグマが出没したくらいだし、十分自然の中だと思う。
しかし、子どもたちは言う。
二男「もっと静かな場所に引っ越すのもいいね。」
え?これ以上?夜は蛙や鹿や狐の声しか聞こえないよ?
長男「自由に入れる山とか近いといいのにね。」
徒歩圏内に登山できる山がありますよ?
末娘「人がたくさん居ない場所が好き~。」
今も人口密度低めの土地ですよ?
徒歩圏内に買い物できるお店は無く、バスも通勤通学時間帯以外は、1時間に1本。結構立派な田舎だと思うけれど、最近では、近所の空き地に新築の家が建ち、子どもたちは空き地が少なくなっていくことを何となく窮屈に感じているようだ。私にもその感覚に覚えがあり、子どもたちの言うことに共感する部分もある。
そして、常々、長男を中心に、子どもたちから言われていることがある。
「キャンプに連れていって!!!!」
私は、アウトドアに興味が無く、独身時代もキャンプに行くことはなかった。旅館やホテルに泊まる方が好きだったし、特別感があると思っていた。実家を出てからは、自分で炊事をしているので、たまには料理を作らない日があってもいいよねぇ・・・と思っていた。
上げ膳据え膳最高!!!
そんな親子で噛み合わないのは至極当然。
「せっかく、大自然溢れる北海道にいるのに!勿体ない!」
そのような声も聞こえてきそうだけれど、こちらに引っ越したときは、テントすら持っていなかった。正直、小さな子どもとキャンプをするイメージがまったく持てなかった。
子どもたちの通う幼稚園では毎年夏休み前に敷地内に家族それぞれでテントを建ててお泊りキャンプという行事がある。3泊4日、いつ来ていつ帰るか、各家庭の事情に合わせて自分たちで考えて決めて良い。しかし!幼稚園大好きな長男と泊まったら最後、3泊4日、幼稚園の敷地から一歩も出ることは叶わない。
家の布団で眠ることが大好きな私にとっては、修行のような行事。
給湯の兼ね合いで時々水になるシャワー室のシャワーで汗を流し、三泊を幼稚園で寝泊まりする。他の家族は、昼だけ帰って洗濯や入浴をし、なんなら昼寝までしてさっぱりして戻ってくる。その姿を恨めしい気持ちで横目で見ていた。
二男や末娘が生まれてからは、幼稚園でのキャンプは更に過酷だった。
テントが張り巡らされた敷地は、自由に歩くのもままならない環境で、小さい子どもたちから目を離すことができず、いつもよりも生活が不便になる数日は、かなり負担だった。
夫と少しでも負担感を減らそうと話し合い、夫は泊まらずに洗濯物を持ち帰って洗濯し、足りない食材や洗濯した衣類を仕事の狭間に運ぶ係をかってでてくれた。さしずめ、巣に餌を運ぶ親鳥係といった所だろうか。
夜は静かに眠れるかといえば、元気な大人たちの飲みニケーションが始まり、その賑やかさで眠りを妨げられる。
「何人たりとも、俺の眠りを妨げる奴は許さん・・・」
毎晩、私は、スラムダンクの流川楓の気持ちになり、耳栓を用意するのだった。
そのようなキャンプを過ごすうちに、私の中のキャンプのイメージは確実に悪くなった。
キャンプとは、大変でしかないもの。
そんなことで、長男が「キャンプ行きたい」と言っても、応じる気力が湧かなかった。
毎年の幼稚園での過酷なキャンプが辛く、その時期が迫ると憂鬱な気持ちなる私の気を休めようと、夫が、「ゆるキャン」の漫画を買ってくれた。しかし、「ゆるキャン」にハマったのは私ではなく、子どもたちの方だった。
ゆるいキャンプなんて存在するの?
絶対大変に決まってるでしょ。
準備に片付け、どれをとっても大変でしかないじゃない!?
すっかりキャンプのイメージが悪くなり、ひとりネガティブキャンペーンを毎年実施していた。それでも、子どもたちの「楽しかった」という満足した顔が私をキャンプ修行に向かわせた。
小さい子どもがいると、荷物も多くなる。大荷物を運ぶ為に、車とテントを何往復もし、テントを張るのにも四苦八苦していた日々。火起こしをしてBBQをするなんて、大人の目が無くて乳児を抱えてたら無理だよ・・・!と、漂ってくる炭で焼ける美味しそうな香りを嗅ぎながら、カセットコンロで簡単なものを料理していた日々。
「ゆるいキャンプなんでできるわけないでしょ。こんなに大変なのに!」
当然ながら、子どもたちは、いつまでも小さいわけではない。
日に日に大きくなっている。
今年の幼稚園のキャンプでは、長男が火を起こし、夕飯のBBQの係をかってでてくれた。火の管理も全部お任せ。二男もテント張りを手伝ってくれ、荷物運びも積極的にやってくれる。末娘も軽い荷物をせっせと運んでくれる。
10年以上通う幼稚園のキャンプで、初めて椅子に座って食事をし、お茶を飲んだ。我が家のテントの周りは、静かに過ごす方が偶然にも集まっていて、夜も静かに眠ることが出来た。
・・・キャンプでのんびりするって、こんな感じなんだ。
キャンプ好きな人から言わせれば、幼稚園でのキャンプはキャンプではなく、合宿のようなもの。キャンプ場でのキャンプはもっともっと清々しく楽しいものだという。
感染症の影響でキャンプブーム?のようなものがやってきて、キャンプの情報を目にすることが増えたように感じていた。グランピングなるものをあるようで、ホテルに泊まるような感覚でキャンプできるというから、驚きだ。
ホテルや旅行の上げ膳据え膳は好きだけれど、キャンプはちょっとした不便を楽しむものとも思える。それは、家族全員一致の意見。
加えて、自然が好きな長男はキャンプ道具をお小遣いで少しづつ増やし、「ソロキャンをしたい。でも、中学生は一人でキャンプ場には泊めてもらえないから、キャンプに行きたい」と熱望し続けていた。
夏休みになると、子どもたちのワークショップがあちらこちらで開催される。今週、来週末共に、車で3時間ほどの場所に行く予定だ。
研究費が出るからと参加費が無料であることも多く、「子どもたちの学びたい」を考えてくれている講座が多いと思う。大学で開催されるものに参加すると、大学という学びの場を肌で感じることが出来るようで、長男は、小学校高学年になった頃には、「中学は行かないけど、大学は行く。」と言い出した。
ワークショップの開催される場所は、大半は車で送迎できる範囲であるが、
時々、フィールドワークの講座などであると、日帰りが難しい場合が出てくる。去年は、8時に集合場所に到着する為に家を出たのは5時だった。そして、夕方まで講座があり、そこから夕飯を済ませ、銭湯で汗を流し、帰路に着く。家に辿り着く頃には日付が変わっていた。
運転してくれる夫にも、なかなか厳しいスケジュールだった。
このワークショップは毎年、お盆の時期に重なる。開催場所の近くのホテルはいつも満室、もしくは高額な部屋しか空いていない・・・。うむむ、どうしたものか・・・と思ったときに、思い浮かんだ。
そうだ!キャンプをすればいいんだ!
予約の必要なキャンプ場はもう予約でいっぱい。さすがお盆休み。でも、当日受付のキャンプ場がいくつかあり、長男を集合場所に送り届けてから、残りのメンバーでキャンプ場に行けば、なんとか当日でもテントサイトを確保できそうな様子。
一泊でも泊まって身体を休めることができれば、夫の長距離運転の負担も少しは減るかもしれない。子どもたちも慌ただしい長距離の往復より、キャンプ場に泊まって過ごし、さらに楽しい時間になるかもしれない。加えて、ありがたいことに、キャンプはホテルよりもずっとリーズナブルだ。
我が家のテントもタープもいただきもので古い物だが、幼稚園でのキャンプでしか使わないので、それでも十分だったが、ついに一昨年、タープが寿命を迎えた。
よくキャンプに行くという若い友人に、おすすめのテントがあるかと訪ねてみた。買う予定があるわけではなかったが、今どきのテントはどう進化しているのだろう?と興味が湧きおすすめのしてもらったテントのショップサイトを覗いてみる。
軽量化
建てやすさ
広さ
テントの進化を語れる程、詳しくないので、長男にサイトを見せたところ、
「いいなぁ、凄いな、コレ。」と食い入るように説明を読んでいる。そして、帰宅した夫に、お絵かきボードを片手にテントの機能性をプレゼンをし始めたではないか。
「これで、この値段だったら、高くないと思う。」
流石、ソロキャンをしたいと言ってるだけあって、なかなかの説得力。
そして、「欲しい」という要求だけでは、父を攻略できないことを今までの経験から、彼は知っている。
今年の幼稚園のキャンプは、今までの古いテントと私がフリーマーケットで使っていた蚊帳なしのタープで乗り切った。それでも、そこそこに快適で、皆で楽しむことができた。
夫も私も、子どもたちの成長を感じ、キャンプへのハードルが今までよりも下がった気がしている。
「今週末のワークショップとキャンプには間に合わないかもしれないけど、
今日テント発送されたって。」
夫が台所で私にそっと耳打ちした。
子どもたちには、新しいテントを買ったことはまだ秘密だ。
夫は涼しい顔をし、新しいテントを買う素振りも買った素振りも一切見せていない。
正直、まだまだ、キャンプが好き、楽しい!というところまでは至っていないが、新しいテントが、更にキャンプへのハードルを下げてくれるのか、くれないのか。
キャンプを好きになっていくのかは、まだまだ未知数だけれど、インドア派の私たち夫婦には大きな一歩になることは間違いない。
ヘッダー画像は、TERRASCOMPANYさんのイラストをお借りしました♪
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