「『砂の器』と木次線」をお読みいただいた方からお手紙をいただきました。便箋6枚にわたってきれいな文字で丁寧にしたためられたお手紙です。送って下さったのは、長年『万葉集』などの研究をされてきた京都大学名誉教授の内田賢徳先生です。
内田先生は1974(昭和49)年に映画『砂の器』のロケが行われた島根県大東町(現・雲南市)の下久野地区のご出身で、なんとその年の夏は下久野の生家に滞在されていて、映画のロケもご覧になったとのことです。本書を読んで「懐しさという感傷を意味する表現では蔽い切れない不思議な気持で筆を執る」ことにされたそうです。お手紙からはロケが行われた当時の下久野の様子や地域の人たちの心情がありありと伝わってきました。
内田先生のお許しをいただいて、お手紙の一部をご紹介します。(勝手ながら適宜改行し、句読点を入れさせていただきました)