変わり続ける勇気 フリークライマー野口啓代さん_16days to 彼女たちの山
【16days to 彼女たちの山】
2023年3月14日に出版した『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(柏澄子著、山と溪谷社刊)を紹介するシリーズです。
出版前に20日間かけてSNSなどで書籍や拙著に登場する女性たちを紹介したものを、ここに再録します。
1章には5人の登山家、クライマーに登場いただいています。
そのうちのひとり、野口啓代さんはヤマケイ連載の時にも書きました。
のちに2020年の東京オリンピックにスポーツクライマーとして出場し、銅メダルを受賞します。啓代さんの姿は、日頃クライミングに関心がなかった方々の目にも焼き付いたと思います。
そんな啓代さんの記事は、こちらでも読むことができます。
・野口啓代の競技人生に幕。「最後まであきらめずに登れたので、良かった」【東京五輪 女子決勝】 (2021/8/7)
・独占インタビュー 野口啓代 奇跡だったオリンピック (2021/9/13)
noteの冒頭にある写真は連載の時のページで、啓代さんがグアムで初めてクライミングをしたときのもの。ご自身の著書『私とクライミング』にも載っている有名な写真ですね。
連載時はオリンピック前で、啓代さんはトレーニングに集中していたので、なかなか取材の時間が取れませんでした。気持ちを改めて、周囲の方々の取材から始めました。
実家にご両親をお訪ねし、啓代さんのプライベートウォールを見せてもらったり、話を聞いたり。そのプライベートウォールが立ち上がった当初、ルートセットをしたり、一緒に登っていた立木孝明さんに会いに行ったり。日本人初の国際ルートセッターである東秀機さんには啓代さんのことだけでなく、平成のフリークライミング、スポーツクライミングのシーンについて教えてもらいました。
日本のフリークライミングのフロントランナーである平山ユージさんも快くインタビューに応じてくれました。啓代さんを慕う後輩の伊藤ふたばさんとも話すことができ、だんだんと啓代像が見えてきた頃、ようやく40分の電話インタビューの約束をすることができました。
けれど、その日は私が北アルプス・朝日小屋にいて、電波が弱いうえに、天気が悪い日で頭を悩ませました。管理人の清水ゆかりさんに「どこがいちばん、電波がよいか?」と尋ね、幾つもの場所をロケハンしました。結局、山小屋の外にある階段の踊り場で電話をかけました。一度途切れたりもしたけれど、啓代さんは持ち前の集中力で、短時間ながらもしっかりとコメントしてくれました。
書籍にする際には、改めてインタビューをしたけれど、オリンピック後もお忙しく、なにかの受賞式に出席する前の控室で応じてもらいました。艶やかなドレス姿だったことを覚えています。
平成元年に生まれ、まさに平成を登り続けた啓代さん。不動の女王であり続けることができたのはどうしてか、連載時から大幅に加筆しています。ぜひ、本著をお読みください!
『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(柏澄子著、山と溪谷社刊)
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