06|ほっとけ、粋? と吐息。
私の記憶が確かならば。あれは確か小学校の2年生頃だったと思う。
友達の家で遊んでいると、3時のおやつにと、紅茶とホットケーキが。
どうやら品格のあるお家柄の「友達の普通」はちょっと違う様子で。
紅茶はソーサー付き、匙と角砂糖がのり、
ホットケーキには、ナイフとフォークがついてた。
祖父母に育てられたぼくには、なかなか縁のないシチュエーション。
緊張しながらダイニングテーブルにつき、友人の方をうかがいながら、
見よう見まねで、紅茶をすすり。
つづいて、友人の後を追うようにホットケーキにシロップをかけて。
ナイフとフォークをぎこちなく手に握って。
すると、友達のママからクスクスと笑いが。
なんで笑われてるのか、すぐには分からなかったけど。
『ステーキみたいに食べるのね』
固まった。耳が蒸発しそうだった。
きっと好きな子の前なら、石像化してただろう。
それは、ホットケーキの切り方のことで、
普通は、十字にナイフを入れて、(時計でいうと12→6、9→3のように)4つ切りにして食べるんですね。
そんなことを全く知らない僕は、
端から、平行(2→4、1→5、12→6のように)に口に入りやすい大きさに切って食べたのです。
そうステーキのように。
友達のママの笑い方は、決して馬鹿にしたようなモノではなくて、
微笑ましくとらえている笑い方だったのだけど。
それでも、十分、きまりが悪かった。
それ以来、ホットケーキを食べる時は、決まって思い出してしまう。
これ、俗にいうトラウマっていうやつですかね。
それでも、結構イイ思い出だと、今では思えます。
ちなみに、大人になった今でも、よくホットケーキを食べますが、
お茶は、マグカップにどぼどぼと入れ、
ホットケーキは、大皿に小さく焼かれたケーキが積まれていき、
小皿にとって食べる…のが、わが家のスタイルです。
育ちの文化はあい変わらずキープ。
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