読書感想文「ひと」
最近、15分読書を毎日の習慣として取り入れた。
そんな私の新たな習慣として最初に読み終わったのがこれ、小野寺史宜さんの「ひと」
大学生にして両親を相次いで亡くし、これからの未来が見えなくなっていた主人公、柏木聖輔。
物語は、銀座の商店街でコロッケを譲ったことから始まる。
おかずの田野倉。
聖輔は大学を辞めた後そこで働き始める。
田野倉督次さんと詩子さんのお店。
きっとたくさんのことを諦めなくてはいけなくなった聖輔にとってこの居場所はどれほど安心出来たのだろう。督次さんと詩子さんが聖輔を受け止めてくれるのもすごくよかった。特に何かするとかではなく、ただ受け入れてくれる。毎日美味しいコロッケとお惣菜を販売するおかずの田野倉。ぜひ行ってみたい。私は枝豆のやつが食べたい。
おかずの田野倉のアルバイトには特に遅刻が悪いことだと思っていない映樹さんと女手一つで息子を育てる一美さん。
映樹さんに関しては、彼女がこっそり映樹さんの遅刻を謝りに来たシーンが印象的だった。そして聖輔を金の無心する男(おじさん)から守ってくれるシーンも。その後の聖輔と督次さんの映樹さんへの心情の変化もすごく良かった。うんうん、分かる。と頷きながら読んだ。
一美さんの息子にベースを譲る所も良かった。コロッケも譲り、ベースも譲る聖輔。何でもかんでも譲っていると損をした気持ちになるのでは、とこちらが不安に思ってしまいそうになるが、悪くはない。むしろ良い。私もどちらかというと譲ってしまうタイプで(長女だからなのか...昔からそう)譲った後に譲った相手の態度がそりゃないだろって思った時なんかはちょっとだけ、譲った事を後悔しそうになる。でも、この本を読んで、聖輔を知って、これからそう思うのはやめることにする。本心でそう思える気がする。ちなみに、今の彼の好きなところは私に譲ってくれるところ。(急に何)(笑)
働きながら大学時時代のバンド仲間、剣や清澄とも交流は続く。剣のことは好きじゃないが(途中すごくヒヤヒヤしたよ)最後におかずの田野倉に枝豆の入ったコロッケがあることを教えてくれたから良いとする。清澄の実家にお邪魔させて貰った所も良かった。施し、と捉えるのならばそう解釈することも出来る、けどあれはそうじゃない。良い友達、良いお母さんだと思った。頼る場所があると知っていて欲しい、というのは大事なことだ。
高校の時の同級生、青葉にも出会う。青葉の元彼、高瀬涼とも知り合いになる。青葉との出会いはすごく素敵だった。読んでいて情景がすぐに思い浮かんだ。その後の遊園地も、ただただ歩いているシーンも、青葉といる聖輔は私の頭の中で幸せそうな気がした。横断歩道が赤でも渡ってしまう高瀬涼の呼び出しには私も面食らった。なるほど、そうくるか、自分を上にしないとこの人は不安なんだろうな、でも分かる気もするんだよな、なんなら世の中には君みたいな人の方がきっと多いんだよ、とも思った。が、青葉の嗅覚は確実に間違ってない。聖輔も。最後の最後、そこで終わり!?と声が出た私は、青葉のことがかなり好きになっていた。
とまぁここまで、読み終わったそのままの勢いで感想を書いてみた。これを書くために読み返したりとかしてないから、記憶と本の中の事実が間違っていることもちょっとあるかも。でも良いのです。
毎日15分読書を始めたのは、沢山本を持っているのにあまりどれも内容を覚えていないな、と自覚したからだった。あまりにも勿体ない気がして、この感想も書くことにした。誰かにおすすめの本を聞かれたら、サラッと要約付きで話せるようになりたい。あと、読みながら登場人物の名前と簡単な紹介を携帯にメモしながら読むことにした。今回これを書くに当たって読み返さなくても登場人物の名前がフルネームで出てきたのはそのおかげ。
久しぶりにこんな勢いでnoteが書けて嬉しい。
次は何を読もうかな~