先日、for Startups × Zenport共催の「巨大産業を覆すゲームチェンジャーたち ~業界特化型SaaSスタートアップ4社の経営陣が徹底討論~」に参加してきました。
今回は、貿易、建設、薬剤師、保険といったイノベーションが起きづらいとされていた巨大産業に、ITの力を駆使して変革に挑む業界特化型SaaSスタートアップ4社が登壇されました。
■ご登壇者/モデレーターの方
■ 今回のnote
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★結論★
①PMFの作り方のコツは、心を折らないこと。自分が信じられることを、2、3年本気でやること。
②本当に価値を与えるべき人は誰なのか?ということを強く言い続ける。
③初期の3ヶ月に全てのKPIが詰まっている?
④徹底的なユーザーヒアリングが、リードにつながる
⑤使いづらいと思っていても、チャーンしない一定期間がある。
⑥チャーンしない時期にチャーンするリスクを調べあげること
⑦ネットワーク効果がきくツールは強い→積極的に導入支援をする
⑧初期はユーザージャーニーをしっかり考えよう
⑨ユーザーの声を最速で聞く方法は、ユーザーを社員に入れること
⑩プロダクト作り1回目で成功しているところはあまりない?
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■ 第一部 各社事業紹介
Zenport
「Zenport」という貿易周りの課題解決するソフトウェア(SaaS)を提供。
2015年末頃に立ち上げた。貿易業務は複雑で管理が大変。
▼ 貿易の大変なところ
これらの課題を解決するソフトウェアがZenport。
● 機能面の一例紹介
ダッシュボード機能:発注から船積、倉庫搬入までのプロセスを一つの画面で管理。1つの工程が変更されると、関連する工程も自動で変更。変更はweb,mail,mobileで自動通知。関係者間のコミュニケーションコストを減らしていく。最大95%削減の実績。
詳しくはこちらから。
● トラクション
産業や規模によらず多くの顧客に愛用。バッグ・アパレル・食品など。
● 起業背景、そして何故事業ドメインが貿易に?
ブロックチェーンを元々やっていた。ブロックチェーンで課題解決できそうなもの何かないか?と考えた時に「貿易」に着目した。ブロックチェーンと貿易を掛け合わせて「モノ」と「カネ」が世界を自由にめぐる未来を作りたい。
● 今後の展開
今後は、SaaSのプラットフォーム上にクライアントのデータが溜まるので、その蓄積したデータを元に融資、保険、B2Bマーケットプレイスを展開する予定。
最初から世界に使われるプロダクトを作ろうとしている。
▼ Zenport CEO 加世田さんブログ
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hokan
■ 尾花政篤さんの自己紹介
元々、ベイカレントコンサルティングにいた。主に担当していた業界が保険。創業した理由は、保険業界自体にはお金があるが、イノベーションが進みづらい現状があり、保険業界を何とかしたいと思い「InsurTech」を。InsurTech Japanというメディアもやっている。
■ この数字、何だと思いますか?
① 48兆円:日本の損保と生保を合わせた市場規模
②500億円:とある保険会社一社のIT予算。この規模のお金をたった一社で持っている。
実は、海外にはInsurTechはたくさんある。
だが、日本でシードラウンド調達しているのは、3社くらい。
▼ 参考記事
■ hokanのミッション
保険業界をアップデートする。SaaSで終わりだと思ってなくて、保険業界全体をアップデートしたい。保険業界に恩返ししたい。
■ 事業内容
メインはSaaS。保険業界を分解すると、この3つに分類可能。
「一般消費者」、「保険営業」、「保険会社」
hokanのメイン対象者は、保険営業向け。
他に代理店向けのメディアやったり、insurTech Japanなど保険会社向けにメディアもやっている。
■ 保険会社を取り巻く「IT」
端的に言うと、保険会社が扱っているシステムのUI/UXは、ダサい。この現状はやばい。UIも結構ひどいが、機能毎にシステムもバラバラで、情報が統合されていないと言う現状の課題。
■ Web版のhokanのイメージ動画
※ 注:youtubeで拾ってきたもので、イベントの際に流れた動画ではありません。
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オクト
■ メインプロダクト:ANDPAD
ANDPADは、建設業界向けのSaaS。シリーズAラウンド終わった後くらい。従業員60人程。顧問に元mixi CEOの朝倉祐介さんもいる。
代表取締役社長の稲田氏は元リクルート。
従業員の15人くらいが業界出身者。
■会社のミッション
労働力不足が著しい建設業の「働く」を「幸せ」にする
■ 業界の課題
全産業対比で最も高齢化・労働人口減少。全産業対比で最も生産性が低い。(10代6千人。20代大工、2万人ほど。そして人の採用がとても難しい。)
■ なぜ建設業界に??
グローバルでは広がるCon-Tech。Con-Techの中では有名なPlanGridとかGoogleが出資している(?)。
「ANDPAD」:スマホ施工管理アプリシェア業界No.1
建設業界を取り巻く状況は、こんなところ。
■ 業界のペインポイント
現場管理は忙しすぎる。経営者は完工粗利低下に悩む。
■ 今までANDPADのようなものが何故なかったの?
建設業界は、外にいるからことが多い仕事でパソコンを開くようなことは余り無かったから。でも今は、スマホがある。ANDPADを用いることで、図面のクラウド管理とかいろんなことができるように。
■ オクトのコアコンピタンス
▼ 参考記事
・投資額が5年で5倍!シリコンバレーの著名VCが続々投資する建設×ITスタートアップまとめ
・Con-Tech(コンテック)が建設業界を効率化する。AIを搭載した“写真の達人”が工事写真の管理を自動化
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カケハシ
KAKEHASHI中尾さん
医療、特に薬局に注目している。「患者さん」を軸に物事を考えている。
■ 起業した背景
これは、問題解決をしないと危ない。
---- 患者と医療をつなげるカケハシ
---- 医療と医療をつなげるカケハシ
---- 医療と未来をつなげるカケハシ
■ 創業者の紹介
創業者の中尾氏は武田薬品出身。COOはマッキンぜー出身。
患者さんの医療体験を変えるべくKAKEHASHIを創業。
■ 薬局に注目した理由
厚生労働省は薬局に変革を促している。一斉号令。
対物業務 👉 対人業務
(アウトプットベースで業界を変革しようと。)
■ 薬剤師さんが患者さんに価値を出していく上で妨げになっている要因は?
👉 薬歴の記入業務:8時間のうち2時間はこれをやっている。
我々の次世代薬歴システム「Musubi」を使えば理論値では15分に短縮。
■ 従来のフロー:患者来店→調剤→服薬指導→薬歴→完了。
我々はこのフローを変革。より深く服薬指導を行えるように。
患者さんにあった生活や薬のアドバイスが出るため価値提供の会話のきっかけを作りやすい。薬を渡すだけでなく、アドバイスが出てくる。
患者さんに見せながら進める。薬歴も自動で記載。+αでアドバイスが出る。
ただの薬を渡すところ、受け取るところと言う関係から、「Musubi」でかかりつけ薬局に変える。
■ Musubiの口コミ
Musubiは、使っているうちに薬剤師の能力だけでなく魂までもブラッシュアップしてくれるシステムだと感じる。
■ 実績
・8ヶ月で日本全体の13%のリード獲得(8000店舗/60000店舗)
・WBSとか日経とか雑誌とかのメディア掲載も。
・登壇したピッチはイベントは全て優勝(2個とも)。
・シリーズAで9億円調達。
▼メディア掲載
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■ 第二部:パネルディスカッション
(モデレータ:for Startups神宮司)
Q1.「SaaS」であることの強み。他のサービス・プロダクトとの優位性について。
Zenport 加世田氏
hokan 尾花氏
Q2.薬剤師って紙ベースというか、システムが入っていないイメージあるけど実際どう?
カケハシ 中尾氏
Q3.業界的に変わってるようで変わっていない、分かりづらいこともあると思うんだけど、貿易において時代の変化はどう?
Zenport 加世田氏
Q4.建設の変化ってどんな感じ?2020年のオリンピックに向けて建てる人の不足とかニュースになってると思うけど。終わった後はどうなる?
オクト稲田
Q5.PMF(プロダクト・マーケットフィット)の作り方について。
hokan 尾花氏
Q6.どうして建築なの?
オクト 稲田氏
Q7.加世田さんどう?
Zenport 加世田氏
Q8.マーケットっていうと巨大なイメージあるが、そこは意識したこと?
Zenport 加世田氏
Q9.中尾さんはもともと業界に前職から携わる中で薬剤師さん向けはずっと思っていたこと?
カケハシ 中尾氏
Q10. 広告とかCMとか売ってもお客さんに響くような業界ではないと思うんだけど、何か拡散していく仕掛けはあった?
カケハシ 中尾氏
Q11.他の会社さんで、自分の会社はこんな感じでやっているというのある?
hokan 尾花氏
オクト 稲田氏
Zenport 加世田氏
Q12.テクノロジーを入れようとして、産業に所属する人たちからかかる圧力って実際あるの?団体とか派閥はある?
カケハシ 中尾氏
hokan 尾花氏
オクト 稲田氏
Zenport 加世田氏
Q13.一番重視するユーザーのデータ、ユーザーのKPIは?(参加者からの質問)
オクト 稲田氏
Q14.SaaSだとセキュリティ面を気にするお客さん多いけど、社内で専門部隊とか設けている?(参加者からの質問)
hokan 尾花氏
Q15.PMFを確かめていく上で、どうやってプロダクト自体の価値を高めていく?
カケハシ 中尾氏
オクト 稲田氏
カケハシ 中尾氏
Zenport 加世田氏
hokan 尾花氏
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以上です。
9月25日に、「SaaSの今と未来を考える会」と言うイベント(イベントレポートは下記参照)にも行ってきて、27日に今回のイベントに行ってきたので、どっぷりSaaSに浸かってきました。
どちらのイベントも楽しかったです。
今回もたくさんの金言を聞くことができました。
SaaSってやっぱり面白い!!!
個人的な見解を述べれば、特にオクトとカケハシ、強いなぁと思いました。
Facebookとか、クラウドサインもそうですが、ネットワーク効果があるツール(今回はオクト)ってやはり強い。
それでは最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
SaaS業界を盛り上げるためにも、よろしければSNSなどでシェアしていただけると幸いです。
Twitterもやっています!
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これは完全に余談なので、最後にちょろっとおまけに書いておきます。
■ ベイジの枌谷さんのブログを読んで思ったこと。
僕は、このブログを見て、確かにその通りかもしれない、とハッとしました。
大規模なプレゼンテーションのみならず、(たとえ小規模でも)イベントも「登壇後 / 発表後」にも価値があるものになった方がよいと考えるようになりました。
振り返ってみるとイベントは通常、スライド資料を配ることはありません。
(最近では、Speaker Deckなどでスライドをシェアする風潮もあります👈めっちゃありがたい)
枌谷さんのブログにも書かれている通り、パワポ資料も文字を少なくすることが理想的と言われがちです。
となると、イベント後にも価値あるものにするためには、イベントを言語化しイベント後にも価値を残すことができる「イベントレポーター」の存在が必要になるのではないかと思いました。
たとえば、人気が予想されるイベント(最近なら CXO Night )なら、お客さんが勝手にレポートを書いてくれるでしょう。
一方、大半のイベントはそうではないと思います。
イベントで話したことは今や、WEB上で公開できる立派なコンテンツとなります。
正しく書いてもらえさえすれば、第三者が書いているためPRにもなります。
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そんなことを考えながら、最近はイベントをレポーティングしていくことに注力しています。イベントレポートは非常に難しいので、時には失敗もします。一度したミスは二度と起こさないように、今後も有意義な情報発信をしていきたいと思います。