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大切に

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#日記

はじめの話 #note01

はじめの話 #note01

猫って都合の良いもので、嫌な記憶を覚えないように脳みそができているらしいですね。

しかし私は人間に生まれたもので、猫のように愛らしくもなければ、嫌なことを忘れられる脳みその作りにはなっていません。

それどころか完璧主義的な神経質さで、幼少期から今日までの人生の中で、人さまからすれば些末な失敗や、誰も気に留めてすらいない失言まで毎日繰り返し後悔しては明日を生きられるだろうか。なんて不安に思いなが

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感傷なんてもんじゃないけど

え?意外。二人は結婚するんだと思ってた。

午前二時、どこからか降ってきた声に抗うように、ニラを切る。ニラを切るのに必要ないくらいの力を込めて。ざく、ざく、ひとつに束ねられていても、ほら、いずれはバラバラじゃない。結局そうなんだよ。
ニラを切り終えて、玉葱の皮を剥く。鼻の奥がツンとする。持っているエネルギー全てを包丁を持つ右手に集中させて、玉葱を切る。ざく、ざく、五回ほど包丁をおろしたところでじわ

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上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話

上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話

今の部屋に引っ越してきて3ヶ月。
最初はたまたまかな、と思っていたものが徐々に疑念を生み、そして確信に変わるのに2週間はかからなかった。

ドンドン!!!ドンドドドンドン!!

(おっ今日も始まったな。上の階の人は一体毎日なにやってんだろうな。)
夜23時ごろから午前1時頃まで上階の住民がとにかく床を打ち鳴らして暴れ始めるんですよね。

正直騒音に対してはかなり寛容なので夜中に騒いでいようが床を打

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いつか宇宙の藻屑になることを夢見ていた。

いつか宇宙の藻屑になることを夢見ていた。

「宇宙の藻屑になりたい。」

そうつぶやくと、親しい人たちはきまって、何言ってるの、と笑う。
ははは、いや、本当に、と言っても、ほとんど本気にしてもらえない。

でもそれでいい。この感情はやはり、わたしだけの特別なものなのだと再認識し、そのたび、胸の中には静かな海が広がる。

幼い頃から漠然と、宇宙や星というものに心惹かれていた。

中学の天体の授業は苦手だったし、天文部に入っていたわけでもない。

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