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オートガイネフィリアについて 〈当事者としての考えと葛藤⑧〉
離婚してからの日々
離婚は精神的に結構キツかったです。
こういう時、読んでいた本に救われることがありますよね。
『サーチ・インサイド・ユアセルフ』という本に書かれているマインドフルネスを試したり、
『反応しない練習』に書いてあるように、今の自分の‘元奥さんをまだ好きという気持ち’を“執着”だと気づいて受け止め、執着を捨てるように心を整えたり、2ヶ月ほどで辛さも峠を越しました。2冊とも良い本です。
そしてようやく職場の人たちにも自分の離婚を打ち明けたのでした。
自分の心と向き合う中で、私はもう1つの自分の感情に気づきました。
それは高校生の時に心の奥底にしまいこんだ、
『女の子の服を着たい』という感情でした。
20年振りの女装
楽天で白のベビードールと白のネグリジェを買いました。フリフリしていてなんか可愛いなと思って「着てみたい」と思いました。
届いて着てみました。興奮して自慰もしました。
当時は日記をつけていて、その日の日記も残っています。
今日から家の中では女のコになることを決めた。プライベートな時間は女のコの服を来て女のコとして暮らす。
ずっと着たかったけど我慢してた女のコの服。着てるだけでとっても幸せだ。
こんな幸せな時間がやってくるなんて。やっとホントの自分になれた。
女の子のショーツとブラも注文した。可愛いやつ。届くのすっごく楽しみ。
我ながら浮かれてます。浮かれすぎです。
しかし半月と経たずにこの日記での決意は霧散します。割とすぐに「あれ?これ違う…」となったのでした。
自分は“女の子”ってわけじゃない
ショーツとブラに続けてウィッグも買いました。
ウィッグってとても重要です。髪型が女の子ってだけでだいぶ女の子に見えます。あとはマスクで顔の下半分を隠せばようやく「あ、かわいい」となりました。
メイク道具も買いました。ファンデーション、アイライン、コンシーラー、チーク、アイシャドー、ぷるぷるになるリップ、マスカラなどなど。
女の子は毎日こんな大変なことをしているのかと驚愕しました。世の女性をほんとに尊敬します。
嬉しくて嬉しくて、家にいる時は着て、メイクして、メイクを落として寝てを繰り返しました。
着ている間は常に性的に高まっていました。「自分は女の子だ」と思えば思うほどトキメキが止まりません。女の子になった自分がエッチなことをして「あたし女の子よ、女の子になっちゃった♡」と言っている動画を撮り、それを見て毎日自慰行為を複数回してしまう。
でも長続きしませんでした。興奮状態をいつまでも続けていられないのです。
例えが男子ですが、ドラゴンボールでセルゲーム前に悟空と悟飯が超サイヤ人状態を維持する修行をするようなものです。わかりづらいですかね…
まあ修行じゃないんで…
半月と保たずにその生活は終わりました。
そして気づくのです。
「自分、心は女じゃないんだ」と。
バランスが大事
何事も“やりすぎ”はよくありません。
私における女装がこれでした。
私の年齢では自慰行為は週1〜2くらいがちょうどいいと書かれている記事も見て生活を改めました。
ただそれも長続きせず、性欲はあるので、結局ほぼ毎日自慰行為はするのですが、でも女装をするとスイッチが入り1日に複数回してしまうので、今ではたまーにするくらいに留めています。
ふと思ったのですが、ウィッグってすぐゴワついて櫛が通らなくなりませんか?ウィッグ用のスプレーをして櫛を通してしっとりさせるのですが、長持ちしません。みんなどうやって管理しているのでしょうか?どなたかご教示いただければ嬉しいです。
じゃあ自分は何者なのか?
「女装はほどほどに」を信条として暮らして1年が経過しました。
相変わらずネットで「性転換」「女の子になりたい」とか、前の記事で触れた“小学1年生の時にしようとした体験”に似たサイトを検索したりして、いろいろ妄想にふける日々を送っていました。
そしてついに「オートガイネフィリア」という存在を発見するのでした。
最初の記事で触れたアッキーさんのYouTubeでのオートガイネフィリア診断にほとんどが合致しました。
その時の日記です。
自分が何者かついに分かった。
オートガイネフィリア=自己女性化愛好症
自分が理想の女性になり、その姿に性的に興奮する性嗜好。
どんぴしゃ。その通りだ。
そして自分の長い間のモヤモヤがこの言葉にカテゴライズされたことにものすごくしっくり来た。自分だけじゃ無かったんだ。こんな人は五万といるということが分かった。程度の違いはあるけど。
これでいいんだ!と思った。まぁ人に言えることじゃないけど、同じような人がたくさんいることに安心した。こんな自分が認められない気がしてたけど、これはこれでアリなんだと思えて気持ちがスッキリした。
私が小学生になる前から抱いていた女性への憧れの感情。
高校生になり普通の男性がしている自慰行為の仕方を知ったときにそれとはまるで違う自慰行為をしている自分への嫌悪。
普通の男性とは違う、自分だけの異質性と思っていたことは「自分だけが抱えているものではなかったんだ」と分かり、自分が「オートガイネフィリア」というカテゴリーに“当てはまる”人間だったことに心底安堵しました。
しかしそこからも葛藤
自分は1人じゃないと安堵はしたものの、私は私自身を好きになることはできませんでした。今も自分が好きじゃないです。
だって「女の子になった自分」にときめき、「女である自分」や「性転換して女になった自分」を妄想することで興奮を覚え、時に女性用の衣服を身に着けてさらにその気持ちを高め、射精にいたる。そんな自分は客観的に見て気持ち悪いことこの上ない人間なんです。
親にも言えない、男友達にも女友達にも言えない、誰にも言えない私の気色悪い一面。
でもこの気持ちよさを忘れられなくてやめられない。何度でもこの気持ちよさを味わいたくなる呪い。普通でありたいのに普通ではいられない。そんな自分が好きになれず自信が持てないで生きている。
でもそんな私が変わるきっかけがついに訪れます。
睡眠障害、うつ病、そして休職です。
「自分と向き合う」ために書き連ねているこのタイトルの記事もそろそろ終盤です。
次回に続きます。