書けないときの映画「マイ・ブックショップ」
書けないなら、読もう。
でも読む気も起きない。
なら、本を読みたくなりそうな映画を観よう。ということで。
今、予告編を初めて観て、ものすごくびっくりしている。
そんな映画だっけ? そんな味付けだった?
もっとなんかこう苦くて重くなかった?
私が数ヶ月前に観たときには、苦しくて苦しくて、絞るように嗚咽。それも、しばらく時間が経ってからしか泣けなかった。その夜はなかなか眠れなかった。この人にしあわせになってほしくて。
いじめ、いやがらせ、モラルハラスメント、村八分
ニュースや噂は、話が早いから、現象に意味をつける言葉を使う。傷を負った人は、自分に起きた出来事に名前がつくと少し回復に近づく。でも、この映画は言葉でも名前でもない。現象そのものだと思った。
よく吟味したはずの赤いドレスが、パーティで浮いている。
会いたかったと呼ばれて、後回し。
仕草や視線や会話の小さなひとつひとつがしんどかったな。我が事のようで。それでも最後まで観られたのは、色と雑貨にときめいたから。
空の色も海の色も枯れていて、書店の中は木と紙ばかり。本は木箱に入って店に届き、ざらざらした紙と紐で包まれ、手書きの手紙を添えられ、自転車で配達される。タイプライター、カーディガン、ランプ、眼鏡、銀のティーセット……どれもこれも手触りが懐かしくて温かくて。本好き、文房具好き、アンティーク好きの、いいお店をみつけたときの喜びが2時間ずっと続く。本を読みたくもなったし、手紙を書きたくもなったし、ケーキを焼いてだれかをお茶に招きたくもなった。そんなシーンはないのに編み物や刺繍もしたくなった。
やっぱり好きなものについて書くのはいいな。元気が出てくる。書けなくなったら、本音と好きなものを書いていけばいいんだ。きっと。
Thank you for the movie.