大好きなみんなが最後にくれた言葉。
アルバイト最終日は、9時半から18時まで勤務だった。
9時15分にお店に到着し、同い年で1番仲の良い友達とオープン準備を。
最後のモップがけ、商品整理、レジ開けをする。
この雑貨店で使っているレジは、全て手打ちでおそらくこのレジを使っているお店はここ以外ないだろうと思うほど古いもの。
このアナログ感が好きだった。(もちろん大変なことはたくさんあった!)
このレジを触るのも最後か〜と思いながら、ぽちぽちレジを押していく。
10時にお店を開ける。
3分間の立礼。
そして、洋服を綺麗に畳み直す。
服の組み合わせを考えてトルソーに着せた。
埃を払うポンポンを持ちながらお店を一周まわる。
10時半くらいにレジが少し並び、友達は商談を受けていたので私は一人でお客さん対応をした。
この日は朝から、イレギュラーなことが多くて、前日に土鍋を購入したお客さんの商品交換や、セットのギフト作りなど朝イチから少しばたついていた。
そうこうしているうちに、中番のパートさんが来た。
1回目の休憩を回す。
事務所でご飯を食べているとき、友達に「ここで食べるご飯も最後だね」と言われた。
この事務所は、秘密基地感がある。そんなに広くない空間だし、周りはたくさんのものに囲まれているのだが、すごく落ち着く場所。
ひっそりとした場所で食べるお昼ご飯の時間は好きだったし、たまに事務所に入って来たスタッフと話しながら休憩を過ごすのも好きだった。
(多分埃がすごかったので、そこは見ないように気付かないようにしていた。笑)
最終日の休憩は、作業している友達と「今までいろんなことがあったね」と話し、「今後住む場所が変わっても定期的に会おう_」と約束した。
その時に、書いた手紙も渡した。
休憩から戻ると、店長と主婦さんとフリーターの3人が来ていた。
フリーターの方と、「今日で最後ですね」と話すと、どうやら休憩に行っている間主婦さんとふたりで涙を流してくれていたらしい。
私が卒業するということが涙に値するかどうかはわからないのだが、そこまで想ってくれているお二人に嬉しさを感じた。
その場でも泣いてしまったので、私は全力で笑わせにかかった。
自分は絶対に泣かずに笑顔で卒業しようと決めていた。
その後は、スケジュール帳の平台を変えたり、品出しの業務を黙々としていた。
16時、友達が上がる時間になった。
その友達とは、これからもきっと会うので「寂しすぎる!」というわけではなかったのだが、今までより会う頻度は減るし一緒に働くことはもうないのでその部分はちょっと寂しかった。
というより、今まで約2年間たくさんの相談に乗ってもらって、一緒に頑張ってきてくれてありがとうという気持ちが大きかった。
この雑貨店に入って1番良かったことと言っても過言ではないのが、この友達との出会いだ。
その感謝を伝え、また会う約束をしてバイバイした。
17時、2回目の休憩に。
雑誌を読んでいると、事務所に以前働いていたスタッフさんが会いにきてくれた。現在は小学校の先生をしている方で、小学校の現状や社会人に向けてのアドバイスをくれた。
「とにかく20代はやりたいことして、たくさん遊ぶのがいい!」と言っていただいた。20年ぶりにディズニーに行ったそうでお土産をもらった。
17時半、その方とさよならして売り場に戻ると店長が「それでは今から1人ずつお別れの言葉タイムを取ります!」と言い、フリーターさん、主婦さん、店長という順番で最後のお話タイムが始まった。
フリーターさんは、事務所に入った時点でもう泣いていて、私は必死に笑かしていた。笑
その方は入って1年経つが、私が担当していたキッチンの業務の一部を引き継いだ方であり、他にもこの1年間たくさんサポートをしてくれた。
就活の相談にも乗ってくれた。
2人ともメインが遅番だったこともあり、急速に仲良くなった。
ずっと欲しいと言っていた地球儀とマリメッコのハンカチを貰い、とても嬉しかった。話を覚えてくれていたことと、時間を使って探し回ってくれたことが何よりも嬉しかった。
あまりにも泣き止まないので「私死なないから安心してください!定期的にお店に遊びに来るので!」と必死に訴えた。笑
次に主婦さんとのお話タイム。
私はここまでずっと笑っていたのだが、主婦さんが事務所に入ってきて無言で見つめ合った瞬間、今までの思い出が一気に蘇り、涙が溢れてきた。
私は2年前のこの頃に、このアルバイトを始めた。
ずっと大好きで憧れていた雑貨店。
面接合格の電話が来た時、すごく嬉しかったのを今でも覚えている。
2022年の11月末に面接を受けて、12月に初出勤。
本格的に働き始めたのは2023年1月からだった。
2023年1月からその店舗の店長が入れ替わるということで、スタッフも新たに4人採用されていて、そのうちの2人が私とその主婦さんだった。
始まりからずっと一緒に走ってきてくれた主婦さん。
前店長の元で働いていた方達は現店長と反りが合わず全員退職し、私たちと一緒に入ってきた他2人のスタッフも数ヶ月後辞めた。
私はその当時、「なんでみんないなくなるのだろう、大丈夫なのか!?」と少し不安な気持ちもあったが店長ともまあまあ仲良くやっていたし、雑貨店自体が大好きな空間だったのでとりあえず全力で働いていた。
人が減った分、シフトもがっつり入っていたし、急に引き継ぐことになったキッチン雑貨の担当も初心者ながら試行錯誤を重ねた。
店長と主婦さんと私は、初期メンバーであり、たっくさん話し合いをして一緒に作業をしてきたし、長い時間を共に過ごした。
休みの日もお店に来て掃除をしたこともある。
そんな主婦さんとの最後の時間。
もう何から伝えたらいいかわからなくて、感謝が大きすぎて困った。
とにかくありがとうございますとしか出てこなかった。
主婦さんは、友達のようで親のような存在で本当に居てくれて何度も救われた。
気分屋な私をいつもどんな姿でも受け入れてくれたし、悩みがある時連絡すると必ず次の日の朝に喫茶店で話を聞いてくれた。
店長とプチ言い合いになった時も間に入ってくれた。
店長と主婦さんは本当にいつも親のように温かく見守ってくれていて第二の両親みたいな存在だった。
私は基本的にいい顔をすることが多く、毒を吐きたくてもはけずモヤモヤが溜まることが多い。
しかしこのふたりはそのモヤモヤを受け取ってくれていたし、その毒を吐いても関係性が崩れることがないと謎の安心感があった。
そんな空間をくれたふたりには感謝してもしきれない。
ずっと大好きなk.kajuさんのアクセサリーをくださり宝物にしますと誓った。
主婦さんは、「〇〇さんならどこに行っても大丈夫です。悩むこともあると思いますが、そのままの〇〇さんで居てください。悪い人なんて一人もいないので、人と接していて嫌な気持ちになったとしても、今日は何か嫌なことがあったのかな?家族とうまく行ってないのかな?とそっと見守っておけば良いんです。自分を1番大事にしてください。本当に辛くなったらいつでも戻ってきてください。」と言ってくれた。
本当に嬉しかった。
最後に店長とのお話タイム。
「僕は寂しくないよ!」と一発目に言われ、さすが店長だなと感じた。
手紙と大きい花束をいただいた。
綺麗でいい匂いですごく嬉しかった。
「手紙は400文字を5枚書いたから!」と冗談を言っていた。
店長から言われたことは、
「一言、本当に感謝です。」と
店長は、店長が入れ替わるとき、東京からやってきた。
数ヶ月前店長とダブル店長でやっていたのだが、全く反りが合わなかったらしく本当に苦手だったらしい。
そしてその数ヶ月は人生で1番辛かったと言っていた。
前店長が辞めた後もスタッフの退職が続きなかなかお店的にも感情的にも安定しない日々だったらしい。
「そんな時に一緒に頑張ってくれていた〇〇さんは同志のように感じていたし、このお店を一緒に作り上げてくれて本当にありがとう。」と言ってくれた。
店長は、
「スキルやモチベーションを持って仕事をすることはどこに行ってもできるしすぐに更新される。僕は良い人間関係を持てる環境を作ることを大事にしていた。」と。
「もし、何十年後もここで出会った人たちとの縁が続いていて、久しぶりに会うことになった時に、あの時アルバイトして良かったなと感じることができたらそれが1番価値があることだと僕は思う。」と。
間違いないなと思った。
私は学生時代の人間関係にだいぶ疲れていて、これ以上無理に付き合いたくないし新しい繋がりなんてめんどくさいだけだと思っていた。
しかし、このアルバイト先で出会った人たちはもう魅力に溢れていて素敵で、いい意味でお互い干渉しすぎてなくて今後も仲良くしたい方ばかりだった。そんな人たちを繋いでくれたのは店長だ。
まさか、これが戦略だったとは…と嬉しいようで悔しさもあった。笑
私は一度夏くらいにもうアルバイトを卒業しようと考えていたのだが、店長に相談すると入らなくても良いからできるだけギリギリまでいて欲しいと言ってくれたので1月まで残ることにした。
その時はあまり思っていなかったが、今となればそう言ってくれて良かったなと思った。
今後、どうなるかはわからない。
ここで出会った人たちとまた会えるのか、繋がり続けるのか。
みんながそれぞれどんな道に進んでいくのかたのしみだし、どんな道に行こうとも全力で応援する、幸せであってほしい。
ここで過ごした2年間は人生22年間の中で1番濃い時間でたくさん学びがあったし成長もさせてもらった。
新しい価値観や視点もたくさんたくさん吸収することができた。
これからの人生でも忘れることはないだろう。
そんな時間と場所を提供してくれた店長をはじめ全スタッフの方々に伝えきれないほどの感謝だ。
幸せだった!ありがとうございました!