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(連載)東京駅12・13番線ホーム、そして11番線

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かつて東京駅にあった12・13番線ホーム。 そのホームの、夕方から夜にかけての普遍的なさまを書いていきます。
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#鉄道

(12)闇の中の『出雲3号』と『紀伊』

(12)闇の中の『出雲3号』と『紀伊』

 (今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 
 19時25分に『瀬戸』が東京駅を発つと、次のブルートレインまでかなりの間が開く。
 
 次は20時40分発の『出雲3号/紀伊』。1時間以上の間が開くのだ。
 
 この『出雲3号/紀伊』は闇に包まれた列車。入線が20時20分くらいだったので、通年、陽が落ちてからの登場となる。1本前の『瀬戸』は

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(11) 冴えない『あさかぜ3号』

(11) 冴えない『あさかぜ3号』

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 
 前回(10)の記事の19時発『瀬戸』は記憶違い。19時発は『あさかぜ3号』だった。『瀬戸』はそのあとの19時25分発。
 
 間違えたのはいくつか理由がある。まず、あさかぜがそんなに続いて出るわけがないという思い込みがあった。1号と3号の間に何本か挟まっているだろう、と。
 もう一つは、『あさ

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(10)ブルートレイン瀬戸 宇野行き

(10)ブルートレイン瀬戸 宇野行き

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 『出雲1号』、『あさかぜ1号』と立て続けに東京駅を出ていき、次は35分後の『瀬戸』。19時ジャスト発だ。
 

 
 『瀬戸』は瀬戸内海から名付けられたように、東京から四国へと向かう唯一のブルートレイン。しかし当時は瀬戸大橋がなく、宇高連絡船の乗り場がある岡山県の宇野が終点だった。宇野といっても、

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(9)5分間隔の『出雲1号』と『あさかぜ1号』

(9)5分間隔の『出雲1号』と『あさかぜ1号』

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 『富士』のあとは、再びブルートレインラッシュとなる。
 
 18時20分発の『出雲1号』、そしてそのたった5分後、18時25分発の『あさかぜ1号』。
 
 先に出た『富士』とも、それほど時間が空いていないので、この18時台前半はとても慌ただしい。
 

 
 品川車両基地から東京駅に入った『出雲1

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(6)走りまくる少年たち

(6)走りまくる少年たち

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 『はやぶさ』に続いて、今度は『みずほ』。30分の間に3本のブルートレインが発車する東京駅12・13番線ホームには、優雅な中にも気ぜわしさが漂う。
 

 
 
 気ぜわしさを演出するのは、鉄道少年たちだ。列車で見栄えがするのは、主に先頭と最後部。見どころが中間にあれば楽だが、残念ながら前後なのだ。

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(5)『さくら』より重みを感じる『はやぶさ』

(5)『さくら』より重みを感じる『はやぶさ』

(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
 
 
 
 『はやぶさ』もまた、入線時はヘッドマークが見えない。EF65の反対側に付けられているからだ。
 
 重い響き、そして振動。ゆっくりとホームに入ってくる。ブルートレインは機動車と客車を合わせて15輌。首都圏を走る黄、緑、青、だいだいの通勤電車は10輌なので、その長さだけでもすごい威圧感があ

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