タイパ就活時代が到来!Z世代の学生が企業に求めていることやZ世代に届けるべき情報とは?
こんにちは!「すごい人事(※)」情報局のsayuです。
「活躍が期待できそうな良い人材を採用したいけど、学生さんからの応募がなかなか増えない」「工夫して情報を発信しているけどターゲットとなる学生さんと出会えない」「最近の学生さんの本音が分からない」など、新卒採用における企業の情報発信や母集団形成に悩まれたことはありませんか?
前回は、新卒採用市場の調査データを用いながら24卒の企業選びのポイントや24卒と25卒の違いなどをまとめながら、人事採用支援と学生支援の両視点から学生さんのリアルな現状や本音をお伝えいたしましたが、参考になりましたでしょうか?(まだお読みいただいていない方はこちらからどうぞ)
今回は、Z世代の学生さんたちが企業を選ぶポイントや就活で悩んでいること、選考情報で知りたいことをまとめながら、タイパ就活時代にZ世代の学生さんたちに届く情報発信や母集団形成のヒントとなる情報をお伝えしたいと思います。
※すごい人事…「採用トレンド」を理解し「アジャイルな(変化に対応できる)組織づくり」ができるVUCA時代の引っ張りだこ人事!
Z世代の本音
世代で分けることはあまり好ましくないかもしれませんが、実際に学生支援をする中で学生さんたちの思考や視点の変化を感じることがあります。
デジタルネイティブでネットリテラシーが高く、ダイバーシティを尊重することが当たり前で自分らしさを大切にすると言われているZ世代の学生さんたちは、企業を選ぶときに何を重視して見ているのでしょうか。また、就活をするうえで何に悩み、本当に知りたい企業情報は何か、Z世代の本音に迫りたいと思います。
Z世代が企業を選ぶ本当のポイントとは
企業を選ぶポイントとして以前から多いと感じることは「社風」や「仕事内容」、「給与」ですが、それ以外で学生支援や面接をする中で増えてきたと感じることは「勤務地(テレワーク含む)」「研修制度」「ワークライフバランス(残業時間、休日数など)」「希望職種」「価値観」です。
実際に学生さんから「転勤がない、もしくは勤務地が選べる企業が良い」「研修期間が短い企業は不安」「ワークライフバランスが取れるしっかり企業が良い」「総合職ではなく〇〇職として働きたい」「価値観が共感できる仲間と働きたい」という声があります。
もちろん全員がというわけではありませんが、メンバーシップ型よりジョブ型の働き方を好む学生さんや自分らしく働ける環境を求める学生さんが増えているように感じます。
自分らしく働ける環境という点では、以前よりテレワークを希望する学生さんが増えたように感じます。新型コロナの影響もあるかもしれませんが、多様な働き方が増えた世の中で選択肢が増えたため、学生さんたちも自分らしく働ける環境を探しているのかもしれません。
KDDI社の「Smart Workコラム vol. 35」に興味深いデータがありました。それは、「理想とする働き方」に関する調査で、Z世代の学生さんの28.3%が「できる限りテレワーク、出社は最低限」と回答し、43.7%が「出社とテレワークを適度に組み合わせたハイブリット」と回答していることです。テレワークを含めた働き方で合計すると約7割の学生さんが、何らかの形でテレワークを希望しているという事になります。
ただ、Z世代の社会人は約4割の学生さんが「できる限り毎日オフィスへ出社する」と回答しています。実際に働いてみると出社するほうが良いと感じるものの、働く前はテレワークが魅力的に映っているのかもしれません。
今すぐに社内制度を変更することは難しいことだと思いますが、多様な働き方に対応できる可能性のある企業さんは、一度、働き方や人事制度を見直し、改善できる方法を探ってみてはいかがでしょうか。社内だけでは見直しや改善が難しい場合は、人事コンサル企業などに相談してみることもおすすめです。
また、会社説明会などで仕事内容や給与以外にも「大切にしている価値観」をしっかり伝えることや「働き方」をより具体的に伝えることなど、Z世代の学生さんたちに響く内容に変更することも検討してみてはいかがでしょうか。
Z世代が就活で悩んでいることとは
今まで、多くの就活生が「自己分析」や「エントリーシート」、「筆記試験・適性検査」、「面接」などに悩み、そしてそれらを乗り越えてきたと思います。そんな中、Z世代の学生さんたちが就活で悩んでいることはなんだと思いますか?
学生支援をする中で、特徴的だと感じることは「ガクチカ」「エントリーシート」「面接」の3点だと感じています。
まず「ガクチカ」ですが、これは特にコロナ禍を経験した学生さんの悩みだと感じています。コロナ禍でも自らできることを探し経験してきた学生さんがいる一方、家族の事情などから感染防止のため外出することを控えていた学生さんもいました。新型コロナの影響で学生時代に力を入れたくてもできなかったり、力を入れることに触れる機会が少なかったりした学生さんは「ガクチカに書けることがない」と悩んでいます。
また、「エントリーシート」は、書く際に「志望動機」は具体的に何を書いたら良いのか、「自己PR」は何をアピールしたら良いのか、「長所」は自己PRと違うのかなど、簡潔な設問に対して何を書いたら良いかという悩みです。
私が学生支援を始めた10年ほど前は、「志望理由は〇〇だが、これをどうすればもっと分かりやすく書けますか?」や「自分の〇〇をアピールしたいが、他にどんなアピール方法が効果的ですか?」など、書きたいことがある程度決まっている中で、より良くするためにどうしたら良いかと相談に来る学生さんが多かったように思います。
しかし、近年は「何を書いたら良いか」と正解を求めているような質問や、「何を求められているのか分からない」と設問内容を理解できない学生さんが増えてきたように感じています。
そして最後は「面接」です。対面が主だった時代から、オンラインが導入され、動画・録画面接やAI面接など多種多様な面接に対峙する学生さんたちは、「どんな面接で何を聞かれるのか不安」や「どのように対策したら良いか分からない」など不安や悩みを口にしています。
バイドゥ社が調査した『Z世代が選ぶ!!「就活の悩み TOP10」』でも面接に自信がない学生さんや、自己分析への不安を感じている学生さん、仕事に関して不安のある学生さんが多くいることが分かります。
学生支援をする中で、エントリーシートに取り組むタイミングや面接を控えたタイミングで悩み、動きが止まったり選考を諦めたりする学生さんを目にしてきました。
これは、企業側にとって母集団の減少や選考辞退増加に繋がる恐れがあると思います。Z世代の置かれている現状や特徴を理解し、企業側が選考フェーズで工夫することで、母集団の増加や選考辞退の抑制、さらには志望度向上にも繋がると思います。
Z世代が選考情報で本当に知りたいこととは
具体的に、Z世代の学生さんたちが選考情報で知りたいことは、細かな情報です。
前記した通り、エントリーシートの簡潔な設問項目に対して、何を求められ何を書いたら良いのか分からないことや面接でどんな方法で何を聞かれるのか分からないことから、動きが止まる学生さんや選考を受けない、または辞退する学生さんもいます。
現代は、インターネットやSNS等で就活に関する情報が溢れているので、先輩たちの選考情報を検索することは容易です。しかし、今は「タイパ時代」です。1社1社細かい情報を様々なサイト等から集めたりOBOGに聞いたりするなど、手間のかかることを避ける学生さんも少なくありません。
何もかも学生さんに合わせる必要はないと思いますが、時代と共に変化する学生さんの取り巻く状況や特徴を理解し、企業側が少し歩み寄り、より丁寧な説明や学生さんの知りたい情報発信などを工夫することは互いに取ってメリットが大きいのではないでしょうか。
ガクチカを含めたエントリーシートに関して、少しやりすぎ感があるかもしれませんが、各設問に対して補足事項として、設問の詳細や企業側の意図などを記載してみることも効果的だと思います。例えば、「自己PR」に「あなたが当社で発揮できる強みや能力を教えてください」や「ガクチカ」に「学生時代に目的や目標を持って自分なりに力を入れて頑張ったことを教えてください」や「志望動機」に「当社で活躍したい理由と当社で成し遂げたいことを含めて書いてください」などです。
面接では、HP等の採用情報に具体的な面接手法や各面接フェーズで見るポイントなどを明記してみるのも効果的だと思います。例えば、「一次面接:動画面接(自己PRやガクチカなどを中心に質問します)」や「二次面接:対面(志望動機や将来のビジョンなどを中心に質問します)」などです。
忙しい採用担当のみなさまにとって、更に手間をかけることは負担になるかもしれませんが、多くの学生さんに選考に進んでもらうための一つの方法として検討してみてはいかがでしょうか。
タイパ就活時代に効果的な企業の魅力発信
私が就活していた時代は、分厚い就活情報冊子とインターネットの両方で情報を収集していました。しかし、時代の変化と共にあの分厚い冊子はほとんど見なくなり、インターネットで情報を収集することが当たり前になりました。
そして今、Z世代そしてタイパ時代の学生さんたちは、どのようにして企業情報や就活情報を得ているのでしょうか。
「タイパ就活」とは
効率よく効果や満足が得られる「タイパ=タイムパフォーマンス」を意識する人が増えてきた中で、就活にもタイパを求める学生さんが増えています。
あさがくナビを運営する学情社の『2025年卒学生の就職意識調査(タイパ(タイムパフォーマンス))2023年11月版』を見てみると、「就職活動準備の中で、タイパや効率を意識しますか?」という質問に対し19.3%が「意識する」と回答し、33.7%が「どちらかと言えば意識する」と回答し、53%の学生さんがタイパを意識していることが分かります。
学生さんが意識している「タイパ就活」とは、「企業情報の収集」「エントリーシートのWEB提出」「オンライン面接」などです。
インターツアー社の24卒~27卒学生を対象とした『就活における「タイパ」についての調査』では、「就活においてタイパを意識する瞬間はいつですか?」について、41.8%が「企業の情報収集をするとき」、30.1%が「エントリーシートを書くとき」と回答していることが分かります。
Z世代の学生さんは、コツコツと地道に企業情報を集めるより、いかに効率よく情報を収集できるか考え行動しているため、企業側も今までの方法を見直し、より多くの学生さんの目に留まる方法に変えていくことが重要になってくるのではないでしょうか。
タイパ就活時代に企業情報を効率よく届けるヒント
リソースクリエイション社の『コロナ禍におけるSNS就活についての実態調』を見てみると、「就職活動を進める上で、SNSで社名を検索しましたか?」という質問に対し64.9%がInstagramで、24.8%がTikTokで、24.7%がTwitterで企業名を検索したと、多くの学生さんが就活でSNSを活用していることが分かります。
また、同調査で「就職活動を進める上で、企業のSNSアカウントは必要だと思いますか?」という質問では、なんと82.7%が「はい」と答えています。
学生支援をする中で、特に増えてきていると感じることはTikTokでの情報収集です。企業情報だけでなく、業界の噂、選考のポイント、就活ノウハウなど、様々な情報をTikTokを通じて得ているようです。
また、Twitterで24卒や25卒向けの就活コミュニティに入り、情報収集している学生さんも多いと感じます。Z世代の学生さんたちに企業の情報を伝えるために、SNSは必須といっても過言ではありませんね。
まだSNSを活用していない企業さんは、活用することを検討してみてはいかがでしょうか。とはいえ、SNSを具体的にどのように活用すれば良いのか、どのような情報を発信すれば見てもらえるのか分からない新卒採用担当者もいらっしゃるかと思います。
例えば、実際にInstagramやTwitter、TikTokで他社の投稿を見てみたり、参考にしてみるのはいかがでしょうか。また、最近は企業向けSNSコンサル企業も増えてきていますので、一度相談されてみたりするのも良いかもしれません。
タイパ就活時代に学生さんに応募してもらうために工夫できること
効率よく就活を進めるZ世代の学生さんたちにSNSで企業情報を見てもらい、応募してもらうために工夫できることは「動画の長さ」と「テロップの工夫」です。
企業が大切にしている価値観やビジョン、仕事内容、社内の雰囲気、先輩社員情報などを1つの動画に詰め込むのではなく、それぞれ数十秒から長くても10分程度にまとめて作成することです。
例えばTikTokでは15~60秒が視聴されやすい長さと言われています。現在、10分まで動画を投稿できますが、3分以上ある動画は視聴者からスキップされてしまうというデータもあるため、15~60秒程度の短い動画を定期的に投稿することが効果的だと思います。
YouTubeなどを倍速で見る学生さんもいるため、伝えたい部分をテロップで表示することにより、視覚的に訴えることができるため効果的だと思います。
また、SNSでの情報発信以外で効果的な方法はリクルーター社員の導入です。
中小企業では、新卒採用を少人数で担っているケースがあります。その場合にリクルーター社員を導入することはとても効果的だと思います。これは、社員が企業や仕事に魅力ややりがいを感じていることが前提ですが、だからこそ、社員一人ひとりの言葉として学生さんたちに伝えることができ、応募に繋がることが期待できます。
実際に学生さんから「先輩の話を聞いて興味を持った」や「先輩から詳しい働き方を聞いて具体的にイメージできた」など前向きな声を聞くことがあります。
リクルーター社員への育成や研修や社員の負担増への配慮など調整が必要なこともありますが、ターゲット層の母集団を形成することへの効果が期待できるため、検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Z世代の学生さんの本音やタイパ就活時代に学生さんに届く情報発信について、様々な視点からまとめてみましたが、これらの情報が新卒採用を担当されている皆さまのお役に立てれば嬉しいです。
最後に、Crepeの「すごい人事パートナー」には、キャリアコンサルタント資格保持者で人事経験者が多数在籍しております。新卒採用の計画、選考などお悩みの際は、まずお気軽にご相談ください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。