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【読書メモ】問題解決 あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術

約4年前に『問題解決 あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術』という本を読みました。

問題解決はどんな業種・職種の仕事にも必要な能力。読んでから時間が経っていますが、本の内容は自分の仕事に役立っていると感じます。

この本を紹介してくれた当時の上司に感謝…!
(まだまだ十分に使いこなせていませんが)

今回はこの本の中で自分がポイントだと思う内容を改めてまとめてみたいと思います。


今回の本でカバーするスキルの範囲

下記図はビジネスパーソンに求められるスキルをマッピングしたもの。著者が長い講師経験を活かしまとめたとの事。


『問題解決 あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術』は該当能力の中で主に5,6,7に対応しています。

問題解決の手順3ステップ

WHERE→WHY→HOWの3ステップ

「問題解決は1つ」、つまり、いつの時代、どんな地域、どんな仕事でも、問題解決の手順は共通している。手順は大きく3つに切り分けられます。

(1)Where…問題がどこにあるのか
問題についての情報収集。問題を絞り込み、合意を取りつける。

(2)WHY…その問題の原因は何か
原因についての情報収集。広く深く原因を掘り下げる。

(3)HOW…ではどうすればよいか
対策についての情報収集。原因に対する効果的な策を打つ。

HOW思考の落とし穴に気を付ける

多くの人は考えるより先に、
思い込みで行動してしまう。

あるいは言われたことを、
言われた通りに行動してしまう。

大事なのは、立ち止まり、冷静に考えること。
特に下記3点はHOW思考の落とし穴なので注意する。

(1)勘と経験による思い込み
右肩上がりの成長を経験した企業幹部などに多く見られるパターン。

(2)無責任・無関心
当事者の視野の広さと意識の高さがポイントになる。

社員全員が他の部署や他人の仕事にしっかりと関心を持って「自分事」として考えなければ、企業全体での問題解決はできない。

(3)HOW指示
企業においてはこれがもっとも害悪。
管理職によくみられる現象。

HOW指示は短期的には仕方ない時もあるが、中長期的には必ず、WHERE指示で「ここに問題がある。原因は貴方が考えてみてください」、WHY指示で「ここに問題があり、原因はこうだ。対策は貴方が考えてください」といった具合に、部下のレベルアップにつながるような指示をだしてくことが重要。

気をつけたい6つの思考特性

業種や立場によって、WHERE→WHY→HOWのどこができていて、どこができていないかで、特徴的な6つの思考特性が表れる場合がある。

(1)HOW思考
とにかく、対策案のアイデアが次から次への出てくるタイプ。問題の所在や原因などおかまいなしに、あれをやればいい、これをやればいい、とどんどん対策案がでてくる。

HOW思考でも仕事の性質的に懸念が生まれないケースもあるだろうが、全てHOW思考で進めればよいというわけでもない。

冷静にWHEHEやWHYを振り返ることが重要。

(2)コインの裏返し
WHEREとHOWが強いタイプ、言い換えれればWHYが抜けるタイプ。

表面的な問題をそのまま裏返して答えにしてしまうという意味で「コインの裏返し」と呼ばれる。

このタイプが多いのは立場でいえば企画部門や管理者に多い思考特性。

現場に降りて深く原因を究明するという姿勢が希薄で、大きな対策方針だけを立てて「あとは現場でやってくれ」となってしまう。

(3)原因決め打ち
WHEREを飛ばしていきなりWHYから入ってしまう思考タイプ。つまり、問題が発生したときに、「まず原因は何か」から検討し始めるタイプ。

問題が小さいうちは、いきなりWHYから入ってもさほど外すこともないのだが、大きな問題を扱うようになると、せっかくWHYから検討しても「そもそも問題認識が違う」となりかねないので注意が必要。

(4)分析屋
WHERE、WHYが強いタイプ。逆にいえばHOWが弱いタイプである。

どこで問題が起きていて、それがなぜ起きているのか、を分析調査するのには長けているが、いざ対策となるとアイデアも出ず、実行もうまくいかないタイプ。

しかるべき情報を集め、発想を膨らませ、実効的なHOWまでを考えて提示していくことが必要。

(5)ぶつ切り
WHERE、WHY、HOWをすべて考えているが、それぞれを別々に考えてしまっているため、WHEREで特定した問題にHOWが効かなかったり、せっかく考えた問題の発生原因とまったく関係のないHOWを提案してしまったりするタイプ。

「木を見て森を見ず」のような思考特性で、小さな論理に固執するあまり、全体の不整合に気づかない。

(6)問題解決思考
WHERE、WHY、HOWのすべてがしっかりとつながり、検討できている状態。ここを目指していきたい。

上級者は仮説思考で「変幻自在」に

問題解決は「WHERE→WHY→HOW」の順番で考えるのが基本。

しかし慣れてくると、あちこちから検討をおこない、最後につなげるといったやり方のほうが、現実のビジネスでは効率的であることが多い。

例えば、WHYを思いついたあとに、まえのWHEREと後ろのHOWを同時に考えてもかまわない。しっかりと、問題解決の3ステップが繋がっていることが確認できさえすれば、考えはじめる糸口はどこからでもOK。

問題を特定する為の3つのポイント

1.問題の全体を正しくとらえる

MECEにもれもだぶりもない状態で問題を捉える
「もれ」と「だぶり」が良くない理由はそれぞれ少し異なる。下記参照。

視野を広げて全体をとらえる
またMECEを使った整理においては「全体が決まらないと、もれは決まらない」ということも覚えておきたい。

問題解決をおこなう上で、「どこまでの範囲で考えるか」という検討範囲がずれてしまっては、正しい検討結果が望めない。いま目先でおこっている問題だけでなく、どの範囲まで広げて問題を検討すべきかを考えることが大切。

2.問題を適切に絞り込む

「分解」と「深掘り」の違いを理解しておく
問題を絞り込む際は感度の良い切り口が重要。
切り口を考える上で「分解」と「深掘り」の違いを理解しておく。

切り口探しに使える4W
多数の切り口を洗い出すには、いわゆる5W1Hのうち、WHYとHOWをのぞいた「4W」の視点で考えると良い。

4W
WHEN:いつ起きた問題か
WHERE:どこで起きた問題か
WHO:誰が起こした問題か
WHAT:何についての問題か

下記視点は、4Wの後に考える「原因分析」に及んでしまう点は注意。
WHY:なぜ起きた問題か
HOW:どのように起きた問題か

切り口洗い出しの具体例
ビジネス上の問題解決でよく取り扱う「五つのテーマ」。

5つのテーマ
(1)売上系
(2)コスト系
(3)技術・性能系
(4)製造・品質系
(5)業務系

その他 様々な切り口のタイプ
タイプごとに切り口例を洗い出し。
できるだけ感度の良い切り口を選ぶがポイント。

3.論拠をつけて問題を特定する

そもそも論拠とは
論拠とは「問題が問題であるといえる理由」。ちなみに論拠と原因は違う。

・論拠
問題が問題であるといえる理由

・原因
問題が発生してしまう理由

なぜ論拠を考えなければならないのか?
「問題が問題である」という理由を述べるのは、ある意味あたりまえのような感もあり、多くの人はすぐにそれを割愛して原因の議論に入りたがる傾向がある。

「問題が問題である」と論拠づけるまえに原因の話に入ってしまうのが、なぜいけないのか。

たとえば、「カフェチェーンの朝の売上が下がっている」ときに、「朝はレジが混雑するからだよ」と原因の話に入ったとする。

「たしかに朝のレジは混雑する」「だからお客様は買いたくても買えない」といった話も出るだろうが、そのうちきっと誰かが「でも朝の通勤時間帯は限られているから、混雑するのは仕方ない」などと言い出す。

そして「たしかにそうだな。むしろ、朝はお客様がたくさんいるから問題ないけど、昼間のレジがすいているほうが実は問題かも」と話が展開するかもしれない。

もともとせっかく「朝の売上が問題」だと特定していたつもりなのに、議論しているうちに「実は朝ではなくて昼が問題」とすりかわってしまっている。

これは、多くの会社で見られる「議論が逆戻りする」「話を蒸し返す」という現象。

こうならないために、しっかりと関係者間で合意形成をするという点で「論拠づけ」は非常に大切。

「朝の売上は全体に占める比率が高く、しかも下がっているし、まだ伸びる余地があるから、ここが問題だ」と論拠づけがなされていると、仮に誰かが「朝は混雑するから仕方ない」「お昼のほうが、すいているから問題だ」などと言い出しても、「いやそうじゃなくて、朝のほうが問題です」とキッパリと言い切れる。

具体的にどのように論拠づけをおこなうか

論拠づけの大切さが理解できたら、次は、問題箇所を特定する際に、具体的にどのような論拠づけをおこなうのかについて整理。主に次の四つがある。

①増加または減少が大きい
②改善可能性が高い
③全体に占める割合が大きい
④波及効果が大きい

これらの論拠のうちどれが最も重要かは、解くべき問題が何なのかによって変わってくる。

ex.本の中で出てくる事例では問題箇所の特定として下記論拠づけを行なっている。

論拠①:構成比率が高い
論拠②:落ち込んでいる
論拠③:伸びる余地がある

その他注意点
・論拠をつける際には、できる限り「強い情報」を用いて説得力を高める。

・複数の論拠を組み合わせて、最も優先度の高い問題を絞り込む。

・手戻りしないよう「どこに問題があるのか」合意形成をしてから次に進む。

原因を追究する

WHEREが決まったら、因果の構造図を使ってWHYを考える

因果の構造図の作り方
いちばん上に「WHEREで特定した問題」を持ってきて、そこから原因を掘り下げて「なぜ、なぜ」とつなげていく。下記図をベースに手順を説明。

その際、図が複雑になってくると、何が原因で何が結果かわからなくなるので、必ず「原因から結果」に向けて矢印を書く。

ちなみにトヨタグループでは逆向きに、「結果から原因に」矢印を突き刺していく書き方をするそう。自分のなかでどちらが原因でどちらが結果かがはっきりすればそれでOK。

また、掘り下げる際は、一つひとつ事実確認をしながら「事実のみ」を書いていく必要がある。理屈上は考えられるが調べてみると事実ではなかった場合や、推測でまだ事実かどうか確認が取れない場合は、点線で書いて、「事実」と区別するようにしておくとよい。

深掘りの途中ではさまざまな原因が考えられるため、複数に分岐する箇所が出てくるはず。その際、「どちらが主たる原因なのか」を考えて枝葉を切り捨てることにより、問題解決につながる原因を効率よく掘り下げることができる。また、「主たる原因」の矢印は、太くするなどしておくとわかりやすい。

【原因究明の流れ1】因果の構造図で、深く広く掘り下げる 

著者曰く因果の構造図をつくるのは難しいとの事。真の問題解決に繋がる「なぜなぜ分析」をここで紹介。

具体的には下記8点がポイント。

<深く>掘り下げる
①Whereで絞り込んだ問題から掘り下げる
少しニュアンスが違うだけで正しい掘り下げができなくなるので、WHEREで特定した問題をしっかりと「因果の構造図」の上部に書き写し、その内容をしっかりと睨みながら「なぜ、なぜ」と掘り下げていくことが大切。

②なぜを繰り返す
深掘りができていないと、「さらなる奥深い原因が残っている」状態となるため、対策が打てなかったり、打ったとしても効かなかったりする。

「なぜなぜ5回」の「5」という数字は、必ず5回でなければならないという意味ではなく、「最低でも5回くらい、深く深く繰り返して原因を考えよ」という心構えを表した言葉。

効果の高い問題解決を実現するためにも、しっかりと深掘りをするように心がける。

③論理の飛躍に気を付ける
これは、原因を掘り下げていく際に話が飛んでしまい、前後のつながりがわからなくなっている状態を指す。

こうした「論理の飛躍」があると、因果関係が妥当ではなかったり、あいだに出てくる原因を見落としたりして、正しい問題解決ができなくなるので要注意。

④打ち止めになるまで掘り下げる
深く掘り下げていくことができるようになると、「どこまで原因を掘り下げればよいのか」疑問がでる。ポイントは、「打ち止めになるまで掘り下げる」である。「打ち止め」となる場合には、下記の3つがある。

A:それ以上どうしようもない場合
B:たまたまやっていないだけの場合
C :悪循環してしまう場合

実際のビジネスでは「悪循環」していることが多く、これをいかに断ち切るかが重要になってくる。

<広く>掘り下げる
⑤もれなく幅広く可能性を考える
ここまでは「深く掘り下げる」ことを説明してきたが、次に「広く掘り下げる」ためのポイントを説明。

因果の構造図を作成するうえでは原因を深く掘り下げるのと同時に、もれなく幅広く原因の可能性を考えることも重要。原因を深く掘り下げるのと同時に、幅広く原因の可能性を考えることが重要。

そこで、 WHYを掘り下げていくうえで「もれなく幅広く」原因を洗い出すための考え方として、よく使うものを四つほどここで紹介。

(1)対立概念で分ける──MECE
対立概念とは「AとAではないもの」といったように、対で一つになった相反する概念を指す。

(2)数式や概念で因数分解する──LISS
ここで LISS(リス: Linear Independence and Spanning Sets)という概念を紹介する。直訳すれば「一次独立した空間集合」という意味だが、わかりやすく言えば「掛け算で、もれなくだぶりなく」ということ。

MECEが「足し算で、もれなくだぶりなく」分解するのに対し、数式や概念で掛け算的に因数分解するのが LISSである。

(3)プロセスで分解する
プロセス分解とは、物事の「流れ」に着目して分けるやり方。たとえば、カフェチェーンの売上を「(店を)認識する →入店する→着席する→注文する →飲食する→支払う」という流れで分析したり、工場での物づくりで「機材準備 →材料セット→裁断→プレス加工 →搬送→塗装仕上げ」という流れで表したりするやり方。

(4)既存フレームワークで分ける
先述した(1) ~(3)は自分で考える場合のやり方であるが、それ以外にも、「ある目的に沿った紋切り型の分け方」として、既存のフレームワークを活用するやり方がある。

たとえば、マーケティング関連のテーマを扱う場合には「4P( Product, Price, Place, Promotion)」、物づくり関連のテーマを扱う場合には「4M( Man, Machine, Material, Method)」などがよく用いられる。それ以外にも「ヒトモノカネ」、「QCD(品質・コスト・納期)」などがあり、知っておくと便利。

<正しく>掘り下げる
⑥事実を確認する
ここまでのポイントで、〈深く〉〈広く〉掘り下げることができるようになったので、ここからはより〈正しく〉掘り下げていくためのポイントを説明する。

因果の構造図を書いていく際に「この原因はこれ」「さらにその原因はこれ」といった具合に掘り下げをしていくが、その一つひとつの原因が「本当に事実なのか」を確認する必要がある。

すなわち、直接詳しい人の話を聞いたり、実際に自分で見に行ったりして「本当に間違いない」と確認すること。

「事実で確認をしていない」状態というのは、「たぶんこうではないか」という自分の曖昧な記憶や推測をもとに掘り下げている状態を指す。

掘り下げた原因が「事実」なのかを確認せずに進めてしまうと大きな間違いにつながりやすいので注意が必要。

⑦正しい日本語で掘り下げる
打ち止めとなるまで広く深く掘り下げる際には「正しい日本語で掘り下げる」という点にも注意を払う。

「曖昧な表現を避けて因果の構造図を書くことで、思わぬ方向に掘り進んでしまうことを防ぐ」という意味。

掘り下げをおこなう際には、しっかりと原因を見ながら、正しい日本語を書いていく必要がある。たとえば、「客が減っている」という問題に対して、元の問題をよく見ずに掘り下げていくと「駐車場が狭い」「アトラクションがつまらない」などといった原因を書いてしまいそうになる。

しかし、ここでの問題は「減っている」ことであり、「もともと低い」ことではない。つまり、以前は多かったのに、なぜ今は減っているのか? を正しく考えていく必要がある。

「駐車場が狭い」のは何も今に始まったことではなく、昔からだろう。もし何らかの変化があったとすれば、正しい日本語で書けば「駐車場が狭くなった」である。「駐車場が狭い」原因であれば、「用地買収に失敗した」「当初の来場数の見積が甘かった」などの原因が考えられる。

一方、「駐車場が狭くなった」原因を考えるのであれば、「不要な建築物を建てた」「資金に困って売却した」など、異なる原因が出てくる。「狭い」と「狭くなった」という、ほんの少しの違いでも、そのあとの掘り下げには大きな違いが出てくる。

「アトラクションがつまらない」も同じだ。「客数が減っている」のであれば、「アトラクションがもともとつまらなかった」ではなく、「もともとは面白かったのが、最近はつまらなくなった」ということにちがいない。

したがって、掘り下げる際には、何がどう変化して「つまらなくなってしまった」のかを考えればよい。

これ以外にも、「本当は面白いのに、つまらないと思われてしまっている」「一度目は面白いが二度目以降は飽きられている」など、微妙なニュアンスの違いでいろいろな原因が考えられる。

こうした表現の違いで、そのあとの掘り下げは大きく変わってくる。些細なことだと思うかもしれないが、「なぜなぜ」を進めていくうえで「正しい日本語で書く」ことは非常に大切なポイント。より完成度の高い掘り下げをおこなうために、しっかりと意識する。

⑧「自分を主語」として掘り下げる
なぜなぜ分析の最後のポイントは、「自分を主語として掘り下げる」だ。別の言い方をすれば「自責で考える」であり、実務でなぜなぜ分析をする際、最も重要なポイント。

対策を打ち、問題を解決することを第一義に考えると、必ず「自分を主語」として、すなわち自責の視点で、自分がやれていなかったことは何かという観点で考えを深めていく必要がある。

成功している経営者や、業績を上げている営業パーソン、視点の高い役職者など、自責の意識が高い人ほど、自分の責任として深く原因を掘り下げ、真の原因にたどり着くことができている。

【原因究明の流れ2】因果を正しく考えられたか確認する

見た目の形で確認する
ここから原因を正しく掘り下げられたかどうかをしっかりと振り返り、確認するやり方を紹介。

まずは、因果の構造図の「見た目」をチェックする。もしあなたがつくった因果の構造図が、下記3つのパターンに該当する場合は、内容が深く考えられていない可能性があるので、もう一度、見直したほうがよい。

(1)一直線──広がりが不足している
(2)末広がり──広がりっぱなし
(3)気球──突然収束する

一段目と二段目の抜け漏れを確認する
次にチェックするのは、先ほどの8つのポイントの「 ⑤もれなく幅広く可能性を考える」にも関連している項目だが、掘り下げの「一段目と二段目あたりに抜け漏れはないか」です。

「一段目」とは、 WHEREで特定した問題を掘り下げた最初の原因。
なぜなぜ分析は、問題から原因に向かって掘り下げていくため、一段目や二段目で見落としがあると、その下につながる原因をすべて見落とすことになり、痛手が非常に大きい。

一番下が打ち止めになっているかを確認する
先ほどは因果の構造図の上のほうを確認したが、今度は下のほうを確認する。すなわち、「一番下がきちんと打ち止めになっているか」である。

因果の構造図を書き終えたら、一番下に来ている丸印が本当に打ち止めとなっているか、再度確認をする。

まだまだ掘り下げられる状態で因果の構造図が終わっていると、「できない、さらなる奥深い原因」を見落としているがゆえに、せっかく対策を講じても根本的な問題解決につながらない可能性があるので気をつける。

問題の固有原因になっているかを確認する
最後の確認は、やや手間がかかるが重要なポイントだ。先ほどの八つのポイントの「⑦正しい日本語で掘り下げる」に関連している項目だが、「固有原因になっているかどうか」を確認するというもの。「固有原因」とは、「その問題だけに効いてくる原因」という意味。

もっと簡単にいえば、会社で成績の悪い営業担当が、「いや、景気が悪いのでどこのお客様も厳しくて……」という原因分析をしたとする。もし、本当に景気が悪いことが主原因なのだとしたら、その営業担当以外の全営業担当、さらにいえば、その企業だけでなく日本中の企業の営業担当の成績が悪くなるはず。

つまり「景気が悪い」というのは、たしかにその営業担当の成績が上がらない理由の一つかもしれないが、それが固有原因であり主原因であるとは考えられない。

全体にまんべんなく効いているような原因に手を打っても、元の問題について大きな効果が得られない。

なぜ他の場所には問題がないのに、絞り込んだ「そこだけ」が問題になるのか。「この原因は本当に元の問題だけに関係するのか?それ以外にも全部効いているのではないか?」を自問自答しながら、違いをしっかりと意識して「固有原因」を考え抜くことこそが、真の問題解決につながる原因を洗い出すための最善策。

【原因究明の流れ3】手を打つ場所を決める

原因分析ができたら、対策の立案に向けて、どの原因に手を打てばよいか考えていく。

因果の構造図には、かなりの数の原因が記されている。そのすべてに手を打ち、原因の解消ができれば理想的だが、現実的ではない。手を打つためのリソースが限られているから。

そこで、因果の構造図をしっかりとながめながら、数多くある原因のうちの「どこに手を打てば、最も効率的・効果的に問題が解消されるか」を考える必要が出てくる。

手を打つ場所を選ぶ際にも、大きく三つの段階を経る必要がある。

まずは、〈問題解決の効果を高め〉、次に〈対策の実現性を高め〉、最後に〈検討の効率を高める〉という流れ。ポイントは9つありそれぞれ整理します。

<問題解決の効果を高める>
①「主たる原因」に手を打つ

まず、〈問題解決の効果を高める〉最初のポイントは、「主たる原因」に手を打つこと。

ある問題に対して複数の原因が考えられる場合、すべての原因が同じように作用しているとは考えにくい。数ある原因のなかには、特に強く影響を与えている原因、いわゆる「主たる原因」が存在する。

この「主たる原因」が何なのかをしっかりと見きわめ、そこに手を打っていくのが最も基本的な考え方。

②全体に影響が出るように手を打つ
次のポイントは、「全体に影響が出るように手を打つ」。原因に対して手を打つ場合は、しっかりと因果の構造図を見渡し、広く「全体に影響が出るように手を打つ」ようにする。

③浅すぎず深すぎないところに手を打つ
次のポイントは、「浅すぎず深すぎないところに手を打つ」。なぜなぜ分析では、「打ち止め」になるまで原因を掘り下げるが、では「打ち止め」になったところに手を打てばよいのかというと必ずしもそうではない。

あまりにも深い原因に手を打つと、 WHEREで特定した問題が解消するまでに、かなり長い時間がかかってしまう。

このように、中長期的な抜本策を講じるなら「深いところ」、クイックヒットで短期的な効果を狙うなら「浅いところ」で、効果が出るまでの時間軸を考えながら、さまざまな深さのところにいくつか手を打つのが現実的なやり方である。なお「浅いところ」に手を打つ際、くれぐれも浅すぎて「コインの裏返し」にならないように注意したい。

④立場とリソースを考え、分担しながら手を打つ
このあたりで疑問に思えてくるのが、「効果を得るためには何カ所に手を打てばよいのか」です。

多くの手を打てば打つほど問題は解決されるかもしれないが、数ある原因のすべてに手を打つと膨大な数の対策が必要となり、現実的ではない。

どれくらいの数の原因に手を打てばよいかは、対策を打つ際には誰しも必ず疑問に思う点。

しかし、何カ所に手を打てばよいかは、残念ながら一概には決まらない。原則として言えることは、「あなたの立場と使えるリソースを考えて、どこまで手が打てるか考えてください」ということ。

より多くの原因に対して手を打てば、より効果の高い問題解決となることは間違いない。あとは、あなた自身がどのような立場にあり、どこまでのリソースが使えるのかにより、自分で手を打つ場所は変わってくる。

自分の力だけだと問題解決の効果が限定的となりそうであれば、積極的に他者に働きかけて分担し、組織として効果が出るように問題解決をおこなっておく。

<対策の実現性を高める>
⑤「単にやっていないだけの原因」に手を打つ
ここからは、〈対策の実現性を高める〉ためのポイントについて考えていこう。

いよいよ「どの原因に手を打つのか」を考えることになる。まずは基本事項として「単にやっていないだけの原因」があれば、すぐに手を打つことを覚えておいていただきたい。

⑥「入ってくる矢印が少ない原因」に手を打つ
「入ってくる矢印がない、打ち止めになった原因」のなかで、「単にやっていないだけ」のものには優先的に手を打とうと述べたが、「入ってくる矢印がない」原因というのは早々見つかるものではない。多くの場合、「入ってくる矢印がいくつかある原因」に手を打つことになる。

「入ってくる矢印が多い原因」の場合、そこに手を打とうとしても、実際にはまだ「それができない奥深い原因」が多数残っており、現実的に手が打てないことも多い。とりあえず、「入ってくる矢印が少ない原因に手を打つ」ことが原則だと覚えておこう。

⑦「下にある原因」を避けて手を打つ
対策の実現性を高めるための最後のポイントとして重要なのが、「下にある原因を避けて手を打つ」という考え方。

大切なのは「どうしようもない原因があっても、その原因を避けて手を打つことで問題は解決できる」ということ。くれぐれも「どうしようもないから」と、ぼやいて終わるのは避けたい。

<検討の効率を高める>
⑧悪循環を断ち切るように手を打つ
ここまでくれば、解消した際に効果が出て、解消する実現性も高い原因が特定できており、もうほとんど「なぜなぜ分析」は卒業できたようなものだが、あと少しだけ〈検討の効率を高める〉ためのポイントを整理しておく。

悪循環が逆に回りはじめて好循環に入ると、放っておいても事態はどんどんよくなっていく。この状態に持ち込むことができれば、あとはさほど苦労しなくとも問題はどんどん改善されていく。これこそがビジネスマン全てが目指すところだ。  

実際の仕事では、長年のあいだ問題が解決されずに残ってしまう状態が多く、結局のところ「悪循環している」場合が非常に多い。よく「ボタンをかけ違えた」というが、本当に些細な違いで、悪循環にもなれば好循環にもなる。

ビジネスの現場では、ある局面のある判断で「一歩、間違えてしまったこと」から悪循環に陥っているケースがとても多い。悪循環のどこを断ち切れば好循環に持ち込むことができるのか、しっかりと因果関係を見きわめて、効率的な問題解決をおこなうようにしたい。

⑨いつかの原因にまとめて手を打つ
最後に「いくつかの原因にまとめて手を打つ」という考え方を整理しておく。できるだけ対処する原因は「一網打尽」できるものが望ましい。

さまざまな原因に対して個別に対応するより、まとめて手を打ったほうが効率的に進むこともある。

具体的な対策の検討をおこなう際には、「まとめて一網打尽に手が打てる原因はないか」をぜひ考えたい。

2通りの問題とあるべき姿の設定

問題には発生型と設定型の2通りある

ここでは図解資料をベースにそれぞれの違いを説明する。

ビジネスパーソンは双方のアプローチが必要

発生型の問題

「誰の目から見ても明らかに」わかる問題。
デジタルマーケティング領域で言えば計測不備などの問題が該当し、原因追究による再発防止が重要。

設定型の問題

あるべき姿に照らして初めてわかる問題。
あるべき姿の設定による問題認識が重要。

補足
発生型/設定型問題の理解についてはこちらのnoteも参考になりました。

<あるべき姿>設定の流れ

設定までの3つの流れ
下記図に示した3つの流れで説明。

3つの視点を定めて、<あるべき姿>を「固定」する
<あるべき姿>はブレてはならず、また人によってイメージがばらついてもいけない。複数の視点から情報と論理に基づいて合理的に説明できることが大切。そのために、よく用いる3つの視点があるので紹介。

1 大目的の視点(will)
遠い将来どうなりたいか?という最後のゴールイメージを示すことで、
「だから<あるべき姿>はこうだ」と定める考え方。

2 内部環境の視点(can)
「自分たちの強みは何か、何ができるか」(can、実現性)で<あるべき姿>を定める考え方。

3 外部環境の視点(must)
「周囲に何を期待されており、何をなすべきか」(must、必要性)で<あるべき姿>を定める考え方

「目的」と「目標」
<あるべき姿>を設定するうえで大切なのが、
「目的」と「目標」という考え方。

目的とは達成すべき使命
目的とは、いわばベクトルの向きであり、
「どちらに向かうのか」という方向である。

目標は資源集中投下の的
目標とはベクトルの長さであり、
「いつまでに、どの程度、進むのか」という進行具合。

<あるべき姿>を具現化する
〈あるべき姿〉を具体化する「目的」と「目標」が理解できたら、〈あるべき姿〉がブレないように、より「具体化」していく。その際には下記図(再掲)で見たように、「誰が、何を、どうする」といった観点で記述するとよい。また、目標については「いつまでに、どの程度」といった観点で具体化していく。

以上です。引き続き勉強を続けます。

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