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【読書メモ】人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

分裂勘違い君劇場で有名(?)なふろむださんの
書籍を読んでみました。

人間のバイアス(※)という学術的なテーマだけど文章や構成が工夫されており、エンタメコンテンツ感覚で一気に読み終えることができました。面白かった・・・!

※バイアスは偏向・先入観という意味
思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因。得られる情報が偏っていることによる認識の歪み。

人間の無意識が引き起こすバイアスの悪魔的な特性を明らかにして、人生の味方にするヒントをくれる本だと思いました。著者は「実力主義」の欺瞞を暴く本だと綴っています。

転職をする方、フリーランスとして働く方など社会人は知っておいて損はない知見が溢れた内容でした。

特に興味深かったポイントをまとめておきます。

①思考の錯覚は資産

視覚に錯覚があるように思考にも錯覚がある。
思考の錯覚は認知バイアスが引き起こす。

代表的な認知バイアス例としてハロー効果が上げられている。ハロー効果はある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。

コマーシャルで好感度の高い芸能人が起用されるのもハロー効果を狙って企業やサービスの好感度を上げる為。

②思考の錯覚は自分で気づけない

この認知バイアスの怖いところは錯覚している本人が錯覚だと気づけない点。思考には死角がある。

例えば営業が実力によるものではなく、顧客のおかげで達成できた実績だったとしても、強烈な思考の錯覚がその人を「優秀」だと考えさせる。

この本ではそのような認知バイアスを錯覚資産と呼びうまく人生の中で運用しようと語られている。

レーダーに映らない特性を活かして認知バイアスをステルス戦闘機のような優秀な武器として扱う。

③運の要素を理解しつつ実力について考える

この本の中では企業の中でパフォーマンスが発揮できるかどうかは運の要素がかなり大きいのではないかと語られている。

運の要素が大きいという現実を踏まえたうえで、
人生の成功確率を上げることに徹したほうがずっと効率がいい。

自分の実力に悩むことは不毛。悩むくらいなら1回でも多く試行回数を増やすのに投資したほうが、はるかに成功確率が高くなる。

では実力とは何か?実力とは「才能」と「スキル」に分けられ、才能は先天的なものであり、スキルは後天的なもの。試行回数を増やしつつスキルを磨くことが重要になる。

④自分の実力の解釈にも認知バイアスがつきまとう

人間には、「実力」という要素を、プラス方向であれ、マイナス方向であれ、「大幅に過大評価」してしまう認知バイアスがある。

実際の成功・失敗は、あなたが思っているよりも、はるかに、「実力以外の要因」で決まっている。

ダメなやつは何をやってもダメという評価をされる人がどこの会社でもいたりするが、これは一種の呪いのようなもの。

⑤数字は瞬時にハロー効果を生じさせる

だからこそ、具体的な数字が作れそうな案件は
積極的に引き受けたほうが得。

とくに、「こんなん、誰がやっても数字が出るだろ」というような勝ち馬に乗れる案件は、おいしい。

また、講演をしたり、本を書いたりするのもハロー効果を作り出すのに効果的。

わらしべ長者のように小さなハロー効果をテコにして大きなハロー効果を手に入れていく。

⑥人間がもつコントロールしたいという強い欲求

人はコントロールできると、より幸せで、健康で、活動的になる。これは自分自身が身をもって感じることができる欲求だと思う。

仕事で文脈において、自分で業務をコントロールできることは非常に多幸感が高いと感じている。

⑦人間は判断が困難な時は無意識のうちにデフォルト値を選ぶ

たとえば「今のままA社に居続けるか、B社に転職するか、C社に転職するか」という選択は、複雑な要素が絡み合っているうえに、不確定性も
大きく、判断が難しい。

だから、そういう場合、人間はベストな選択肢ではなく、単にデフォルト値である「転職せず、A社に居続ける」という選択肢を選んでしまう。

重要なのは、現状維持とそれ以外の選択肢を精緻に比較し、どちらが良いのか冷静に見極めることだ。

⑧人間の直観は「思い浮かびやすい」情報だけを使って判断する

これは利用可能性ヒューリスティックという認知バイアスが及ぼす。

人間の直観は正しい判断に必要な情報が欠けていても、情報が欠けているという感覚を持たない。

⑨環境がスキルと錯覚資産を育む

「スキルアップしやすい環境を手に入れること」というメタレベルに時間を投資する方が、「スキルアップそのもの」に時間を投資するよりも投資効率がいい。

だから、ある程度の実力が身についたら、まだCVRが低くても、じゃんじゃんPVを増やしてしまう戦略のほうが、結局、効率がいい。

⑩プラスの価値はすべて利用資源

自分よりも優れている人がいたら、その人とうまく連携して自分が利益を得る方法を考える。

⑪好まれることはメリットを大きくする「感情ヒューリスティック」

ある調査によると、「個人的な好ましさ」と「メリットの大きさ」は、あり得ないほど高い相関を示した。同様に「個人的な好ましさ」と「リスクの小ささ」も、それぞれ、ありえないほど高い相関を示した。

つまり、ある技術に好感をいただいている場合は、メリットを高く評価し、リスクはほとんど考慮しない。逆に、ある技術が嫌いな場合、リスクを強調し、メリットはほとんど思い浮かばない。

最後に

様々な認知バイアスが自分の人生に実はいろいろな影響を及ぼしており、仕組み上気付くことが出来ないという無理ゲー。

この本を読んで改めて人間の脳って不思議だなと思いました。

脳には過剰に一貫性・原因を求め、結論を急ぐ特性があることを理解しておくだけでも自分を俯瞰し行動を改める機会が増えるのではないかと思いました。




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