【読書メモ】ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法
リクルート出身で北の達人コーポレーションの代表取締役社長 木下勝寿さんの『ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティングWebマーケティングの成果を最大化する83の方法』を読んでみました。
デジタルマーケティング領域の業務を行う中で
自分でも整理しきれず以前からモヤモヤしていたものが言語化されており勉強になりました。
マーケティングの考え方を学ぶだけでなく、木下さんの仕事の歴史を垣間見ることもでき、読み物としても面白かったです。
今回は実務に活かしたい考え方や手法を纏めてみたいと思います。
1.ファンダメンタルズとは何か?
そもそも、ファンダメンタルズとは株式投資や経済用語。ファンダメンタルズ投資とは対象企業の業績や債務状況、経営者の投資等を見て将来性を分析して投資判断をする手法。
またファンダメンタルズは経済用語で「基礎的事項」という意味。
本書ではファンダメンタルズスキルを「人間の感情をベースにしたコミュニケーションを設計する技術」と定義しており、昨今デジマ領域において
テクニカルな側面のみ過剰に偏重傾向である点に警笛を鳴らしている。
人の感情に基づいた「カスタマージャーニー」(商品やサービスの販売促進において、その商品・サービスを購入または利用する人物像を設定し、その行動、思考、感情を分析し、認知から検討、購入・利用へ至るシナリオを時系列で捉える考え方)を理解した上で、広告配信設定を行うことが大切。
木下さんが長年ビジネスを行ってきた上で得た教訓は、世の中は「本気」のものしか実を結ばないようにできているということ。まずは絶対当てるつもりの本気の広告を1個作れるようになる。本気の1個が作れるようになれば、それを10回繰り返して 10個作る。そこで初めて10個のうちの1個が当たり、「当たり広告」が作れる人になる。
2.ファンダメンタルズクリエティブの概要
ファンダメンタルズクリエイティブとは
ファンダメンタルズクリエイティブは「情報収集」「コンセプトワーク」「クリエイティブ」の工程のことを指す。
まずは「ユーザー」「競合」「商品」の3つを調査・理解した上で「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを考えるのは、従来のマーケティングと同じ。ただWebマーケティングでは以下部分を考慮する必要がある。
商品・ユーザー・競合を徹底的に調査する
「誰(どんな人)に」「何(どんなこと)を」を決めるにはまず、
の3つを知ることから始まる。
手元にある商品資料だけでは、クリエイティブは作れない。なぜなら、大体の商品資料にはユーザーのことも、競合のことも大まかにしか書かれていないから。
その商品の広告を作るためには、世の中に何万アイテムもある化粧品の中で、この商品〝のみ〟で言えることを調べて見つけ出さなければならない。
そのためには「ユーザー」「競合」「商品」のことを誰よりもよく知ることが大切。
商品の「売り」を再構築するのがマーケッターの仕事
Web広告の場合でもマーケッターは販売員のつもりで、少なくとも消費者が疑問に思うであろうことを想像し、自分でちゃんと理解して伝えられる知識を持ち合わせていなければならない。
商品開発者は質の高い商品を作るのが仕事であって、消費者に伝えるための情報を収集したり、伝わりやすく加工したりするのはマーケッターの仕事。
マーケッターは商品企画者や商品開発者からもらった情報をそのまま消費者に伝えるのではなく、自分自身で情報収集をし、「売り」となる部分を再構築しなければならない。
インタビューでユーザーを知る
リサーチのゴールを定めたら、次にすべきことはターゲットユーザーの情報収集。
一番良いのは、ターゲットユーザーに1対1でインタビューさせてもらうこと。
ユーザーインタビューで最低限吸収すべきものは、「キーワード」と「インサイト」である。
顧客インタビューの際におけるマーケッターの正しい姿勢は「インサイトを理解しながらキーワードを確認する」こと。
具体的にはインタビューの際に逐一「お客様のお考えは〇〇ということですね、ということは、 〇〇〇という言葉を聞いたら〝いいな〟って感じますか?」というように、その都度インサイトの理解が合っているか、そのインサイトを表すキーワードは何かを確認する。
このやり方でインタビューを進めていると、ユーザーインタビューが終わった段階で、既に次の工程の「どんな人に」「どんなことを」「どんな言葉で」伝えたらよいかというネタが全部揃った状態になり、すぐにクリエイティブ作成に取りかかれる。
プロのWebマーケッターの世界ではユーザーインタビューをして、翌日にクリエイティブを一本完成させる。
SNS・知恵袋・レビューサイト・アンケートデータを調査する
インタビューでユーザーインサイトやキーワードをある程度つかんだら、 Yahoo!知恵袋や Amazon、 SNS(XやInstagram)などでそのキーワードを検索して、同じような人の投稿などを読み込んでいく。
そうすると、ターゲットの生活感を容易に頭に思い浮かべられるレベルで理解できるようになる。
もし仮に百歩譲ってアンケートデータを使うのであれば、対象者の選定から設問設計、結果の分析まですべて自分でやったものしか使えないことを知っておく。
競合のマーケティングを丸裸にする
ここまでの手法でターゲットユーザーのインサイトがつかめてきたら、次はこの商品のターゲットユーザーがどの検索エンジンで「どんな検索ワード」で検索するかを考える。
実際に調べてみると、商品のジャンル名を直接入れる人もいれば、何かの悩みの解決方法や原因などを探している人も多いことがわかったりする。
その人に自社の商品を知ってもらおうと思った時、その検索キーワードで検索したら、どんな競合商品の広告が表示されているだろうか。
そしてその競合商品と自社の商品の違いも考えなければならない。訴求要素が何か、それぞれの訴求要素が対応している広告は何か、などをきめ細かく見ながら調べていく必要がある。
ここで、検索キーワードについては、キーワードアドバイスツールなどで機械的に抽出するだけで終わってはいけない。
例えばオリゴ糖の健康食品を販売する場合、「オリゴ糖」という検索キーワードで検索している人は、他のどんな検索ワードと一緒に検索しているだろうか。ツールを使って抽出してみると、大量の検索キーワードが出てくる。例えば、「オリゴ糖 成分」「オリゴ糖 抽出方法」など。
ただし、このキーワードは「商品起点」のキーワードでしかない。「ユーザー起点」でキーワードを考えることのほうがもっと重要。例えば、オリゴ糖は「便秘」に効く。このことから、便秘のユーザーがどういう検索キーワードで検索するかを年齢・性別・ライフイベントなどそれぞれの要素別に考える。
「女性は妊娠というライフイベントに際して、便秘がちになる。よって、『妊娠 便秘』などの検索ワードで検索する。妊娠中の女性の場合『下剤』などは流産を誘発するので、使いたがらない。このことから、オリゴ糖のように自然に便通改善体質になれる商品をすすめると購入する確率は高い。よって、『妊娠 便秘』で検索する人はこの商品のターゲットである」 というように考えていくのである。
この時、「オリゴ糖」という商品起点でキーワードを探しても、「妊娠」という検索ワードは浮かび上がってこない。「オリゴ糖」という商品起点の検索ワードで抽出できるのは「オリゴ糖に興味がある」という買う寸前の人だけであり、多くのユーザーを取りこぼすことになる。
「ユーザー起点」でキーワードを考えて、検索することの重要性をわかっていただけただろうか。 他にも例えば、「妊娠 便秘」などで検索すると、広告や検索結果に大量の「(便秘解消の)マッサージ法」の本やDVDなどが出てくる。
そうすると、実は「オリゴ糖」は「マッサージ法」の本やDVDと競合していることに気づける。 このように、あくまでも商品起点だけでなく、ユーザー起点でも競合を知ることが大事だ。
「4段階セールスコピー」で競合を排除する
商品の「競合」は炙り出すために木下氏が行っているのは「4段階セールスコピー」という方法。
ポイントは「競合」を「選択肢」と考えること。まずターゲットユーザーを想定した場合、 4段階のドリルダウンで選択肢を潰していく。
上記の段階を踏んで選択肢を潰していくプロセスを経てからセールスコピーを組み立てる。
3.「誰に」×「何を」×「どう」伝えるか?
まずWebマーケティングはクリエイティブが3つの要素で構成されている。
「誰(どんな人)に」×「何(どんなこと)を」×「どう(どのように)」伝えるか 、ということ。
「誰に」-ターゲットユーザー-
ターゲットが違えば伝えるべきことや表現方法を変えるべき。さらに、ターゲットは細かく分類していくことも重要。
ターゲットを細かく分けていくと、それぞれに対して伝えるべき商品特徴が変わってくることは確実。
ターゲットユーザーを複数指定して、そのターゲットユーザーごとにその商品の「何(どんなこと)を」伝えるかを考える必要がある。
「何を」-商品の伝えるべき特徴-
どの訴求要素をメインに選ぶべきかは、ターゲットユーザーを誰にするかということとどんな競合がいるかによって変わるので、戦略的に考察すべき。感覚で決めてはならない。
成果を出せるプロのクリエイターは、この「何(どんなこと)を」の部分を自分で決める、もしくは提案する。
プロは客観的な立場からユーザーに一番刺さる「何(どんなこと)を」をその商品の中から発掘する。クリエイターが見出した「何を」は、主観的な立場のメーカー自身や商品開発者が気づいていない特徴であることも珍しくない。
そしてその「何(どんなこと)を」の部分は必ず「その商品でしか言えない強み」でなければならない。
コンセプトワークがきっちりしており、「誰(どんな人)に」「何(どんなこと)を」が明確に決まっていれば、ストレートな表現でもユーザーの心にきっちり刺さる。
超一級のマーケッターは、最終的にシンプルなコピーを書く。ただ、このシンプルなコピーを書く前の「何(商品特徴)を」の部分を決めるのに、超一級のマーケッターは大半の時間を割いているのである。
「どう」-適切な表現方法-
「何(どんなこと・商品特徴)を」が弱い場合、「どう(どのように)」の表現方法で工夫するしかなくなる。
ただ、どれだけ「どう(どのように)」の部分を頑張っても、根本的な「商品の差別化」にはならない。
店頭POPのようにクリエイティブを見て〝その場〟で買うような場合は、それでも「どう(どのように)」の部分を頑張ることは有利に働くが、比較検討が容易なWeb広告では通用しない。
たとえ良い表現ができて、ユーザーの心をつかんだとしても、ユーザーは同じ性能の商品を検索して改めてどれを買うか決めることが多い。
そのため、「どう(どのように)」の部分を頑張ることは「市場を広げる」ことには寄与する一方、自分の商品が売れることへの寄与度は小さい。
プロからすれば広告一本で企業の行方が読めてしまう。広告は作品ではなく、あくまでも事業戦略の一部。それほど広告というものは大事。
マーケティングについて言えることは、「認知度」と「好感度」に対して「売上」はそこまで連動しない。さらに言うと「認知度」と「好感度」に対して「利益」はほぼ「無関係」。
例えば、誰もが知っていて、イメージが良いあの商品よりも、ほとんど誰も知らない同種の別の商品のほうが利益が多いというのはよくあること。
4.ペルソナ設定の誤解
広告のターゲット像を理解しやすくするためによく行う手法に「ペルソナ設定」がある。
ペルソナ設定とは、自社商品やサービスのターゲットについて、年齢や性別などの各種項目について詳細に設定した人物像のことである。特に、1人の架空の人物を想定し、年齢や性別、家族構成、どこに住んでいるかなどのプロフィールを詳細に設定することをいう。
このペルソナ設定の使い方を間違うと、自分で自分の首を締める結果になる場合があるが、度々この間違ったペルソナ設定を度々目撃する。
重要なポイントはプロダクト(商品)のペルソナは USP(その商品特有の強み)やベネフィット(利益)を起点に、最大公約数的に設定する必要があるということ。
5.ユーザーの状況9段階
ユーザーの悩みや痛みが強ければ強いほどそこには強力なニーズが存在すると考えられる。
ユーザーの悩みや痛み起点で考えるために、
ユーザー状況を次の9段階で分類する。
①対策の必要性に気づいていない。
②対策の必要性に気づいてはいるが「悩みや痛みは一時的なもの」だと思っている。
③対策の必要性を自覚しているし、悩みや痛みは一時的ではないと思っているが、何も手を打っていない(探してもいない)。
④対策を色々検討し始めている。
⑤対策を色々検討してかなり詳しい状態。
⑥対策の手を打ち始めた(何らかの商品を買った)。
⑦既にお気に入りの対策のための商品があり、満足している。
⑧お気に入りの商品はあるが、「他にもっと良いものはないか」と思っている。
⑨色々使ったが結局満足するものはなかった。
このように、各段階の具体的にどういう状況に置かれている人かによって、商品の「何を」アピールするかが大きく変わってくる。
そしてこのユーザー状況に加えてメディアへの接触シーンとメディアの特徴を踏まえて広告クリエイティブを作る必要がある。
6.商品起点の10段階分類
上記の「ニーズの深さ」を9段階に分類したが、商品との距離感で10段階に分類する方法もある。
ジャンルがコモディティ(汎用)化されているような商品(例えばミネラルウォーターなど、どれを選んでもそこまで大きく差がないように思えるもの)や嗜好品の場合、こちらのほうが良い。
10段階分類の詳細は以下。
①(そのジャンルの商品自体を)知らない。
②知っているが、そこまで興味はわかず、使ったことはない。
③知っているが、使いたくないと思っている。
④いつかは使いたいと思っているが、使ったことはない。
⑤以前は使っていたが、今は使っていない(また使うかもしれない)。
⑥以前は使っていたが、今はやめており、今後も使う気はない。
⑦今も使っているが、良いものがあれば乗り換えてもよい。
⑧今も使っているが、可もなく不可もなく、今のところ替える気もない。
⑨今も使っており、満足しているので替える気がない。
⑩そのジャンルの商品が好きで、色々試したい。
7.USPについて
USPとは「Unique Selling Proposition」の略で「商品やサービスが持っている独自の強み」のこと。このUSPは主に、大きく4種類に分けられる。
①「他社商品にはない便益を与えられる」 or「今までになかった便益を与えられる」
②「他社商品よりも高い便益を与えられる」
③「実績、権威性などの付加価値がある」
④「金銭的お得感がある」
ニッチ市場でシェア総取りを狙う際や、フロンティアマーケット(今までに類似品が存在しなかった市場)に参入する際は ①「他社商品にはない便益を与えられる」 or「今までになかった便益を与えられる」をUSPとすべき。
そもそもの需要を喚起して、その需要をそのまま全部取り込む。iPhoneの登場時などはこの形のUSPをメインメッセージとしていた。
市場に類似商品が増えてきたら徐々に②「他社商品よりも高い便益を与えられる」か③「実績、権威性などの付加価値がある」にUSPをシフトしていく
USPとは「世の中でうちの商品でしか提供できない価値」のことだ。他社がすぐに真似できるのは、本当の USPではない。ビジネスとは突き詰めれば、いかに「他社にはない価値」を世の中に生み出せるかということだ。
8.エモーショナルリレーの重要性
ユーザーが広告を見て興味を持ってクリックをして、LPに遷移し、LPを読み終わって購入ボタンを押すまで「各ステップ間を違和感なく読み進めていく」流れを北の達人コーポレーション社では「エモーションリレー(感情のリレー)」と呼ぶ。
「広告ではこう言っているのに、LPに来たらそれに対応する内容がないからエモーションリレーが途切れている」
上記ような場合はエモーションリレーを整えるともっと爆発的に伸びる可能性がある。
同社でもエモーションリレーを見直すことで、成果が激増したケースが何度もあるとのこと。
9.マイクロコピーの重要性
事業計画などは売上や利益を2~3倍にすることを考えて計画する。売上を上げるだけなら広告出稿量を増やせばいいだけだが、広告出稿量が増えれば広告費も増え、利益率は下がってしまう。
広告費を増やさずに売上や利益を2~3倍に増やすにはどうすればいいか?その方法を考えた結果、この「マイクロコピー」にたどり着いたとのこと。
売上を2~3倍にするために、うまくいくかどうかわからない広告宣伝や商品開発に大型の事業投資をするよりも、先にこの「数文字」のマイクロコピーで1.2倍を4回繰り返せばノーコストで売上を2倍にできる。
そして、大切なことは「多くの人はキャッチコピーやボディコピーにはこだわるが、マイクロコピーにこだわる人は少ない」ということ。
だから、マイクロコピーの力で売上が2~3倍になっても、他社には「なぜ2~3倍の売上になったのか」が理解できないので真似されず、独壇場を守れるのである。
このようにマイクロコピーにこだわるのは事業を2倍3倍に成長させるダイナミックな戦略のうちの重要な施策の1つ。
10.データ読解力を身につける
「データ」から「人間の行動パターン」を見つけ、そのパターンの背景を理解し、販促につなげることが本当のマーケティング。
有名な話だが、アメリカのあるショッピングセンターで顧客の購買データを分析したら「缶ビールを買う人は、一緒におむつを買っている人が多い」という傾向がわかった。
あるマーケッターが1週間レジ前に張り付いて分かったことは「普段は持てないような重いものを、週末に車で夫についてこさせてまとめ買いする夫婦が多い」ということだった。
このように何らかの傾向があった時に、顧客がなぜそのような行動を取ったのかという「要因」を調べることで大きく売上を伸ばせることがある。
調べる方法は顧客の行動や顧客の定量アンケートの〝データ〟ではなく、顧客の行動を〝直接〟観察すること、顧客に〝直接〟聞くこと、これらが一番効果的。
パソコンの画面の数字やデータは「きっかけ」を与えてくれているにすぎず、それらを見ているだけでは読解力は身につかない。「数字」と「人間の生活」や「人間の心理」を組み合わせて、初めてデータの意味が読解できるのである。
本書の中で事例で出てくる”ある国産自動車メーカーの幻のシティ仕様SUV”の話も人間の心理が垣間見えて非常に面白かった。
数値で表されるデータはあくまでもデータ。そこから何かしらの解を導き出す時には、単純にそのデータだけで判断してはいけない。 なぜそのようなデータになったのか?という「人間の気持ち」を理解した上で解を導き出さなければ、独りよがりな間違った解にたどり着いてしまう。
11.広告を配信する際に必要な4つの努力
①広告を配信する(表示させる) ②広告をクリックさせる。③広告から購入させる。
広告主はこの3つをクリアしていかなければならないが、これをクリアするために「広告枠の入札競争」に勝つ必要がある。そのためには次の4つの努力が必要である。
①入札の金額を上げる
②広告のクリック率を上げる
③広告をクリックしたユーザーの購入率を上げる
④ユーザーに嫌われない〝良い感じ〟の広告や販売ページにする
12.テクニカル運用の鉄板分析
テクニカルな運用方法はたくさんある上、システムの仕様変更にも対応していかなければならないので、大切なのは普遍的な根本となる基礎を覚えておくこと。 特にこの3つは大切。
①【獲得単価の増減要因】
「クリック単価」か「 CVR(購入率)」の増減
※クリック単価の増減 →入札額か、表示に対して広告費を払う入札形式の場合は CTR(クリック率)の増減
②【ROASの増減要因】
「獲得単価」か「客単価」の増減
※獲得単価の増減 →「クリック単価」か「 CVR」の増減(上記同様)
③【獲得件数の増減要因】
「クリック数」か「 CVR」の増減
※クリック数の増減 →「表示回数」か「 CTR(クリック率)」の増減
※CVRの増減 →LPのCVR(カートなどがある買うためのLPで購入に至った人の率)」の増減
何か課題が生まれた時はこの鉄板公式に合わせて、どこの数値をどう変えるかを判断すればよい。このことは、誰しも頭ではわかっている。しかし実際には、件数が減った時に反射的に入札額を上げようとする人がいる。この公式を頭に叩き込み、いかに冷静さを保ち続けながら仕事ができるかが大事。
13.ファンダメンタルズスキルで先例を出し抜いて成功する
テクニカルスキルによるクリエイティブは先例との「同質化」に向いているが、市場が成熟し、「差別化」のステージに入ると機能しない。
テクニカルとは「先例の尻馬に乗る」スキルであって、「先例を出し抜いて成功する」スキルではないのである。
対してファンダメンタルズスキルは5年もあればピークには達するが、一部には10~20年最前線を走り続けているマーケッターもいるので、極めれば大御所枠に入れる(改めてファンダメンタルズスキルとは、人間の感情をベースにしたコミュニケーションを設計する技術)。
テクニカルスキルを極めた者はファンダメンタルズスキルに磨きをかけるのがベストだが、もしどうしても不得手であれば、ファンダメンタルズスキルに優れている人を巻き込む。
ただ、そのためにはマネジメントスキルの習得が必要。優秀なファンダメンタルズスキルを持つ者をうまくマネジメントできれば、成果は無限に広がる。
14.マーケティング分野×システム設計の分野
木下さん自身、創業当時からマーケティングだけでなく、システム設計も自前でやっていたとのこと。
世の中には木下さんよりマーケティングセンスがある人やSEとして腕のある人はたくさんいるが、
「マーケティング」と「システム設計」の両方をある程度できる人はかなり少ない。
マーケティングの分野に違う分野の専門性を掛け合わせて希少性の高い人材を目指す。
最後に
本書を通して施策改善に関するtipsを得ることができた事も良かったのですが、経営者がいか利益を作るために心血を注いでいるか理解することができ勉強になりました。
企業の利益額をいかに最大化できるか?自分も微力ながら引き続き考えていきたいと思いました。
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