獲物の分け前~近田春夫「グループサウンズ」編。
今日、2/25は近田春夫さんとTHE BRICK'S TONEの篠原太郎さんの誕生日なんですよね。おめでとうございます。
以前、篠原太郎さんのソロ~THE BRICK'S TONEのことを書いてから、結構時間が経ってCDを買ったりもしましたから、書いてみたいと思いましたが、最近新書「グループサウンズ」を出したばかりということで、獲物の分け前シリーズで取り上げることにしました。
じゃ行ってみよー。
・近田春夫「グループサウンズ」(文春新書)
近田さんのキャリアのスタートはロック・パイロット~エモーション~羅生門というバンドということになっていますから、一応グループサウンズで始まったということになりますよね。
リーダーとして結成したハルヲフォンはグループサウンズとしては語られていない、というか、ニューロックとしても語られていないように思います。
それは近田さんの個性の強さと、ハルヲフォンが残した作品によるものと判断していますよ。
そもそも音楽好きな方々とそうではない方々でグループサウンズという言葉から連想される楽曲が違いますよね。
多分、「ブルーシャトウ」や「思い出の渚」、「夕陽が泣いている」がヒットしたグループサウンズの曲で、若い方々にはそれすら浮かばないと思うわけです。
例えば山下達郎さんの「サンデーソングブック」のディープなリスナーなら、ザ・レンジャーズの「赤く赤くハートが」とかフィフィ・ザ・フリーの「栄光の朝」が浮かぶかもしれませんね。
その中間のもう少し音楽好きな層、例えばネオGSのリスナーだったり、作曲家研究をしているような方々なら、オックスの「ダンシング・セブンティーン」やザ・ヤンガースの「離れたくない」にザ・ブルーインパルスの「夜明けに消えた恋」が好きだと思うわけです。
話を近田さんが語るグループサウンズに戻しますと、確か雑誌「ROCKS OFF」だったと記憶してますが、割と鉄板なエピソードだったと記憶してます。
近田さんはリアルタイムで経験している彼らのテレビ・パフォーマンスでロックを感じたのに、レコードになると歌謡曲になっていてガッカリしたことをよく話してますよね。
シネマ、ジャック達の一色進さんのグループサウンズのレコード・コレクションの一部を回すイベントを見に行きましたが、リアルタイムでのテレビ・パフォーマンスを体験していたので、レコードとはこう違ったとか教えてくれましたね。
ちなみに一色さんは近田さんより年齢はちょっと下で、私より一回り上という感じです。
近田さんによるとザ・タイガースが演奏していた「キックス」は山下達郎さんの(作曲家)バリー・マン特集か、「バラエティ」の鈴木慶一さんと桑田佳祐さんの対談で知った私です。
つまりグループサウンズが取り上げる(取り上げた)曲が、その時点での洋楽のトレンドだったとか想像していますが、その辺はかまやつひろしさんがザ・スパイダース時代にビートルズの曲をラジオで聴いて演奏するエピソードに顕著に出てますね。
洋楽を取り上げる際、所謂耳コピで再現しようとしたり、来日ミュージシャンの楽屋に入って弦を調べた先達がいたからこそ、ロックが発展進歩したんだなとか考えてしまいます。
この本は近田さんの語り口調だったり、分析を楽しむというのがメインだと思いますが、日本の音楽シーンで何が起こっていたのか通説とは違う部分もかなり多いことを確認する意味もあるように思いました。
つまり正解は関わっていた人の数あるのかな?ということで。
にしても、近田さん関連の本にハズレなしですね。
そして、下井草秀さんの役割も大きいのでしょう、と。
最後に近田春夫さん、誕生日おめでとうございます。
今年も近田さんの新しい音楽や文章に触れることができたら嬉しいです。
ではまたー。