見出し画像

獲物の分け前〜小島智「検証・80年代日本のロック」

 小島智さんといえば「ミュージック・ステディ」の編集長という印象が強くて、その後も音楽ライターをされていて、音楽雑誌や音楽書籍でお名前を拝見していたんですよね。
「ロック・ステディ」〜「ミュージック・ステディ」はnoteを始めてから、ずっとこだわっていた雑誌ですから、Xでこの本の情報を知ってすぐにポチっとしてしまいました。
じゃ、行ってみよー。

・小島智「検証・80年代日本のロック」(アルファベータブックス)

 「ロック・ステディ」〜「ミュージック・ステディ」に影響を受けて、自分なりに分析や研究をしてましたから、この本はメチャクチャ興味深い内容でした。
ちなみに小島智さんは「ミュージック・ステディ」の創刊時の編集長ではなくて、2代目編集長だったと記憶してます。
「ミュージック・ステディ」は1986年に版型を変えて、版型を変えて2号で休刊した模様ですが、その時の編集長だったはずです。

 個人的には「ミュージック・ステディ」は初期の方が圧倒的に好みで、影響を受けてます。
それは「ミュージック・ステディ-」が季刊誌からスタートして、隔月刊誌に移行してから月刊誌になったことに起因すると思っています。

 「ミュージック・ステディ」の初期の号はアーティストの徹底研究、ミュージシャン・ファイルとも呼んでましたが、その情報の細やかさと資料性の高さはアーティストの単行本以上の濃密さがありまして、それまでの音楽雑誌とは一線を画するものでしたから。
中学生から高校生だった私には衝撃的な雑誌だったわけです。
アーティストの徹底研究、ミュージシャン・ファイルに関しては季刊誌や隔月刊誌時代とクォリティはそれほど落ち込んた印象はないのですが、おそらく編集部がイニシアチブを取ったであろう特集記事はクォリティ以上にテンションが落ちたように思いました。勝手な思い込みですが。

 市川清師さんという方が創刊当時の編集長で、後に宝島に移って音楽記事や単行本を作られていたのでした。
ムーンライダーズの「フライト・レコーダー」は「ミュージック・ステディ」の徹底研究をベースにして、ヴァージョン・アップしたものなんですが、JICC出版から発売されたのは市川さんのラインからだったと推測してます。
宝島の単行本の告知欄に大貫妙子さんの単行本の発売が予告されましたが、結果として発売されることはありませんでした。
市川さんが編集長時代に某有名アーティストのレコード評にクレームが入って、問題になったことがあったんですよ。
その辺があったので、編集長が小島さんに交代したのか?と思った高校生の私でした。

 小島さんは編集長になるまではリアルタイムのアーティストよりも、かつて活躍していたアーティストの記事を書いている人という印象があったはずです。
市川さんが編集長時代には大きく取り上げなかったアーティストが大きく取り上げられてきて、当時の私は浪人生活に突入したこともありまして、「ミュージック・ステディ」に対する思い入れも弱くなったんですねー。

 この本を読んでいて、小島さんのスタンスがわかりましたし、色々な面で立て直す必要があったんだろうな?とも理解できました。
そして、「ミュージック・ステディ」がもう少し長く継続できたら?もしくはバンド・ブームがあと数年早かったら?とも思うわけですよ。

 「ミュージック・ステディ」について市川清師さんや菅岳彦さん、岩本晃市郎さんが書いた本も読みたくなりましたね、やっぱり。
結局、私の「ミュージック・ステディ」研究はまだまだ続くのでした。

 ではまたー。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集