【探究発表会・参加レポート】「社会課題を、みんなのものに。」する取り組みは、中高生の探究発表にも生かせる!
社会課題の現場を訪れる探究プログラム「SDGs/社会問題スタディツアー」を実施しているリディラバです。今回縁あって、とある学校の探究学習発表会にご招待いただき、生徒の発表を見学させていただきました!
その時の様子をレポートします。
今回訪れた学校・発表会について
今回お邪魔したのは公立の中高一貫校。中学校で社会課題を中心とした総合的な探究の時間のカリキュラムを実践しています。その一環として中学3年生がリディラバのスタディツアーを実施したご縁から、発表会にご招待いただきました。
発表会の概要👀
✔️2022年1月下旬の土曜日開催
✔️中学1年生から高校2年生まで合同で実施
✔️学年ごとに時間を分けて個人やグループで発表する1日がかりの発表会
✔️発表方法は学年によってポスターやスライドなどさまざまで、発表しない学年の生徒は自由に興味のあるテーマの発表を聞きにいく
✔️リディラバ以外にもいくつかの探究に取り組む企業のゲストや、保護者の参加も
発表会に参加してみて
このような大掛かりな発表会にご招待いただく機会はあまりなかったので、私たちも非常に勉強させていただきました!学校の外から生徒の探究をサポートする立場として感じたことを、率直にアウトプットしてみたいと思います。
■1日限りのスタディツアーで伝えたエッセンスが、しっかり活用されていた!
リディラバの「SDGs/社会問題スタディツアー」は、様々な社会課題の現場に訪れ、企業の課題解決の取り組みや解決の難しさを体感してもらい、その後のワークショップで社会の理想状態や自分たちにできる社会課題の解決策を検討するというプログラムです。
このプログラムに参加した中学3年生の発表の様子を見ていると、プログラム中のワークショップでお伝えした社会課題を考えるフレームワークを、学校に帰った後の探究学習でもちゃんと活用してもらっている様子を確認することができました。
また、プログラムで体験した社会課題のテーマでそのまま探究を続けてる生徒もおり、日頃テーマ決めに苦労するという声も多く聞く中で生徒が探究したいと思えるテーマとの出会いを提供できているということを実感できました。
■制約がある中で、企業へヒアリングすることの難しさ
私たちリディラバのプログラムはこの学校の中学3年生で実施していただきましたが、中学2年生の段階では企業へのヒアリングを通した仮説検証を行っていました。これはシンプルにすごいと思います!
ただ、コネクションがない、企業側/学校側で時間が取れないなどのさまざまな制約もある中で、どうしてもメールでの聞き取り等に止まってしまっているようでした。
せっかく外部と繋がれても、メールのみの限られたコミュニケーションでは、ヒアリングを通じた課題の深掘りは難しそうです。
■資料を作るだけが発表準備じゃない
今回の学校では、中学生はパワーポイントで発表資料を作成、高校生はポスターで発表資料を作成という形式でした。
パワーポイントは発表の際によく使うツールかと思いますが、生徒たちはパワーポイントを作成することで満足してしまうのか、話し方や声の大きさなど最後まで「伝える」工夫をやりきれていないという印象を持ちました。
学年の影響もあるかもしれませんが、アニメーションなどに頼れない分、ポスターを使っている高校生の方が、身振り手振りや声の大きさなど細部まで工夫を凝らし、聞きやすい発表になっていたように感じます。
改めて「発表」とはパワーポイントを作るだけではなく、「相手に自分のメッセージを伝えること」であり、そのためには資料の出来だけではなくプレゼンテーションの細かいスキルが必要であることを再確認しました。
■ニッチなテーマに聞き手を巻き込む発表方法
今回の発表を見ていて一番面白いと感じた発表は、
「某ジャニーズアイドルのCD販売数を増やすには?」
というテーマの発表でした。今回の学校は、中学生は「社会課題」から1つのテーマにフォーカスし、高校生は社会課題の枠を飛び越えて自分の好きなテーマを制限なく学ぶカリキュラムでしたので、そういったテーマの発表もあったようです。
私たちは普段、社会課題のテーマに絞った探究学習ばかりを見ているので、社会課題に囚われないテーマ設定には新鮮さを感じました。
また、非常に素晴らしいと思ったのが発表の冒頭で、「アイドルに限らなくても誰にでも好きなアーティストはいるはずで、今回の探究の成果はそういった色々なアーティストのCD販売数を増やすことに応用できるかもしれない」ということを伝えていた点です。
今回のように生徒が自由に探究のテーマを選んだ場合、テーマが非常にニッチになるので、発表の聞き手としてはそのテーマへの関心が生まれづらい難しさもあるのですが、冒頭の一言があることで聞き手がその発表を聞く意義に気づくことができ、最後まで関心を持ったまま発表を聞くことができました。
色々な学校で生徒の自由なテーマ設定を行っていると思いますが、プレゼンやレポートなどがある際に聞き手・読み手のことを考えて、この探究の成果がもたらす意味や重要性にまで言及できているかは非常に大切だと気付かされました。
このことは大人の仕事で、難易度の高い仕事になればなるほど一人でできることは少なくなっていきます。従って、その仕事の意義や重要性を説明して他人に協力を求めていくことが必要です。
改めて、探究学習の発表ひとつとっても、細部にこだわって指導することが大人になって役に立つ能力が身につくかどうかに関わってくると感じます。ぜひこれをご覧の先生方は自分の生徒の発表を思い浮かべてみてください。
先生の振り返りとリディラバが考える解決策
以上参加して感じたことは、現場で直接今回の発表会を企画した先生ともお話をさせていただきました。一方で先生が抱えている課題についてもお伺いしたので、併せてご紹介します。
私たちが参加してみて感じたことと、概ね近しい課題意識をお持ちでした。
(1)インタラクティブな発表会にしていく難しさ
に関しては、発表のゴールが説明されてないので聞き手も何を目指してフィードバックすればいいのかわからないのではないかと感じました。
そのため、事前に先生から生徒に対してもっとしっかりと発表会の目的を示すことで改善ができるのではと思います。またこれは今回の発表会のみならず、普段の探究の授業中の小さな共有/発表の時間にも生かしていけそうです。
(2)聞き手を意識した発表を作る難しさ
に関しても、(1)同様に意義づけ不足が原因ではないでしょうか。
また、思考するフォーマットと発表のためのフォーマットは別で考えたほうが良いと感じました。考えた順番をそのまま発表スライドにしている発表が多く、わかりづらさの原因の一つだと感じました。
今後リディラバとしてやっていきたいこと💪
私たちリディラバは、多くの人にとって「自分には関係ない」「関心がない」と思われがちな「社会課題」に、いかにして関心を持ってもらうかということをテーマに活動をしています。
そのため、プログラム中のワークショップでは、社会課題について考えることが自分にとってどんな意味があるかを言語化して伝えたり、自分で考えてもらう時間を設けるなどの工夫をしています。
また、プログラム中スタディツアーで訪れる現場では、リディラバからではなく社会課題解決に取り組む現場の方に、課題の現場や解決に向けての取り組みについてお話いただいています。
例えば「食品ロス」「出所者の社会復帰支援」など、それぞれが取り組むテーマについて前提知識のあまりない生徒さんたちでも、いかに自分も関わりたいと思ってもらうか、質問をしてもらえるかということを意識して、日頃からツアー中に説明するプレゼンのブラッシュアップを共に進めています。
このように今何気なく行っているけれど、非常に拘っている「社会課題を、みんなのものに。」するための細かな工夫について、探究学習に取り組む生徒の皆さんの発表のシーンでも生かしてもらえるように、知見を深めていけたらと思っています。
このnoteを通じてそんな取り組みも発信していけたらと思いますので、ぜひフォローいただけますと幸いです✨
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