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脳が視覚刺激でパンク状態!?脳疲労を招きやすい現代社会

 みなさんこんにちは。パーソナルトレーナーの吉田です。

 現代の多くの方が抱える健康問題の1つである「慢性的な疲れ」や「体のおもだるさ」。その大きな原因の1つである、「脳疲労」の改善についてお話をしてきています。

 前回は「現代人は活動量、運動量の減少により、脳に感覚情報が入らず、自律神経が乱れがちになっている」という話題をお送りしました。

詳しくはこちらの記事をご覧ください↓

https://note.com/studio_be_free/n/n8ab9e8435901

 インターネットや機械などのテクノロジーの発達により現代を生きる私たちの生活は便利な反面、日常生活の中で体を動かす機会が少なり、その影響で運動を通じて脳にインプットされる「感覚情報」が減少しています。

 その結果、脳は「自分の体がどうなっているのか」が分からなって緊張状態になり、自律神経が乱れて心身ともに疲労がたまりやすくなっています。

 一方で、私たちの脳は「過剰な視覚情報」にさらされ、疲労しやすい状況にもなっています。

過剰な視覚情報で脳がパンク寸前になっている

 現代人は体を動かす機会が少ない代わりに、スマホやパソコンなどを通じて膨大な「視覚情報」にさらされています。

 その量は実に凄まじいものであり、現代人が1日に目からの得ている視覚情報の量は、近代化前の社会と比べてなんと1年分に相当するとも言われています。


 
 ですが、私たちヒトの脳と体の構造は数万年前から変化していません。にも関わらず、1日に目から入ってくる情報量は365倍にも増大しているわけです。

 これはパソコンで例えれば、ストレージもプロセッサも同じなのに、何百倍ものデータを入れている状態とも言えるわけです。そんな状態になれば、パソコンは処理速度が低下し、画面上では砂時計がくるくると回ってしまいます。

 これは脳も同様です。膨大すぎる視覚情報を処理しきれずパンク状態に。脳内は炎症を起こして正常に機能しなくなってしまうことがあるのです。

 脳の中には

・思考や言語を理解する知性の部分を司る「大脳皮質」

・食欲などの本能を司る「大脳辺縁系」

・自律神経や食欲などのコントロールを司る「間脳」

があります。理想的な脳の活動ではこれらが互いに情報共有して、バランス良く働いています。

 しかし、脳が処理しきれないほどの膨大な視覚情報が入ってくると、それぞれがキャパオーバーになってしまいます。そして大脳皮質、大脳辺縁系、間脳はそれぞれの連携がうまく取れずに緊張状態になり、「脳疲労」に陥ってしまうのです。


過剰な脳へのインプットは「睡眠トラブル」を引き起こす

 過剰な視覚情報のインプットによる脳の過緊張状態は、

・寝つきが悪い
・夜中に何度も目が覚める
・寝ても疲れが取れない

といった睡眠のトラブルも引き起こします。

日本人は睡眠時間が短く、睡眠トラブルも多い!?

 前回の記事で「日本人は世界で1番座っている時間が長い」というお話をしましたが、じつは睡眠時間も世界的に短く、睡眠トラブルを抱えている人も多いと言われています。

 定期的な運動習慣がある人は不眠が少ないと言われています。座り過ぎで運動不足になりがちであれば、なおのこと睡眠トラブルを抱えやすくなってしまうでしょう。

慢性的な睡眠不足は脳に老廃物をためてしまう

 2017年の流行語大賞でトップ10に「睡眠負債」という言葉が入ったのを覚えていらっしゃるでしょうか?

 睡眠負債は「睡眠不足が借金のように積み重なって、それにより様々な身体の不調を引き起こす状態」を指した言葉。慢性的な睡眠不足では疲労は抜けず、病気のリスクも高めてしまいます。

 もちろん睡眠は脳にとっても重要です。起きている間、脳はあらゆる情報をインプットして働いていますが、同時に老廃物も一緒にたまっていくと言われています。

 睡眠によって脳を休ませる=「刺激を与えない状態」にすることは、脳にたまった老廃物を処理する役割も担っているのです。

寝つきが良い=良好な睡眠とは限らない!?

 カウンセリングなどで睡眠に関するお話をすると、

「私は寝つきは良いんですよ。ベッドに入ったらすぐに眠れます」

という方もよくいらっしゃいます。一見、良質な睡眠がとれているように思えますが、ひょっとするとこれも危険な兆候かもしれません。

 というのも、通常ヒトは横になってから10分間ほどの「まどろみ」を経てから眠りに入ります。「自分は寝つきが悪い」と思っている方でも、ベッドに入ってから10分程で寝息を立てているようであれば、「正常な寝つき」と言えるわけです。

 一方、ベッドに入ってから5分以内にコロッと寝てしまう人は、実は「睡眠の質が悪い」可能性があります。つまり、日頃から脳が眠くなっているにも関わらず、無理やり起こしているような状態になっている可能性が高いのです。このような状態を「行動誘発性睡眠不足症候群」といいます。

 寝つきは良いけれど、

・日中に強烈な眠気が襲ってくる

・十分寝ているつもりなのに、疲れが抜けない

・休日は普段よりも長く寝る


といったサインがある場合、「睡眠負債」を抱えている可能性が高いと言えます。本人は十分に寝ているつもりでも、睡眠の質自体が低く、脳や体は十分に休めていないということです。

まとめ:「過剰な視覚刺激を抑え、体を動かす機会を増やすこと」で疲労から脱却する

 前回の記事でご紹介したように、インターネットや機械による自動化、自動車や電車などのテクノロジーが発達した現代は体を動かすことで得られる平衡感覚や筋肉、関節の動きの感覚のインプットが大幅に減少しています。

 その一方で、ここまでご紹介してきたように、視覚情報のインプットは過剰になりがち。このアンバランスな状態が私たちの脳を疲弊させ、「慢性的な疲れ」「体のおもだるさ」を引き起こす原因になっているのです。

 このような慢性的な疲労から脱却するためには、

▪️過剰な視覚情報のインプットを抑える

▪️体を動かす機会を増やすこと

の2点が重要です。

 2つのバランスを整えることで、慢性的な睡眠不足が解消され、健康リスクも減り、体も軽く、動かしやすくなります。

 次回は「脳と栄養」についてのお話をしていきます。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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