脳は「感覚」によって発達する!便利な現代社会の問題点
みなさんこんにちは。パーソナルトレーナーの吉田です。
現代の多くの方が抱える健康問題の1つである「慢性的な疲れ」や「体のおもだるさ」。その大きな原因の1つである、「脳疲労」の改善についてお話をしてきています。
脳疲労の詳細についてはこちらの記事をご参照ください↓
脳疲労を改善し、慢性的な体のおもだるさから脱却するためには、
▪️酸素
▪️感覚
▪️栄養
の『脳の活性化3要素』を最適化することが必要です。前回の記事では、酸素にまつわる「呼吸」について詳しくご紹介してきました。
詳しくはこちらの記事をご参照ください👇️
今回は2つめの要素である「感覚」についてご紹介していきます。
脳に超重要!な「感覚情報」のインプット
突然ですが、階段を上るときに
「この階段は一段の高さが○○cmで、幅が○○cmくらい・・・よし、このぐらい足を上げれば躓くことはないはずだ」
などといちいち考えることはありますか?
おそらくほぼ全ての方はそんな面倒なことは考えずに、目の前に階段があれば、自然に上っていると思います。
階段の上り下り、立つ、座る、歩く等の普段何気なく行っている日常動作や姿勢の調節。これらはいちいち「どうやって動こうか」などと考えずに、無意識のレベルで脳や脊髄によってコントロールされています。
センサーからインプットされる「感覚情報」が脳を発達させる
姿勢や動きを司る「脳」は「視覚」や「聴覚」「触覚」などの五感をはじめとした様々な感覚の刺激によって発達すると言われています。
▪️視覚、聴覚・嗅覚・味覚・触覚からなる「五感」
▪️耳の奥にある、体の傾きを感じる三半規管と加速を感じる耳石で感知する「平衡感覚」
▪️筋肉や腱のセンサー(感覚器官)で筋肉の伸びを感じる「固有受容感覚」
こうした全身に存在するセンサーは身体を動かすことで働き、脳にたくさんの「感覚情報」をインプットしています。それによって私達の脳は発達し、「キレイな姿勢」を自然と維持したり、スムーズな動作を行うことができているのです。
江戸時代以前の日本人は脳がメチャクチャ刺激されていた!?
鉄道が登場する江戸時代以前の日本人の移動手段は殆どが「徒歩」でした。
江戸から京都までを東海道を歩いて向かっていたわけですが、当時は道が舗装されていなかったため、凸凹道を歩く度に足裏の感覚センサーが刺激されていたと考えられます。
その他にも箱根の関所をはじめとした上り坂で三半規管が、周囲へ注意を向けながら旅をしていたと思われるので、視覚からの刺激も多く受けていたと考えられます。
このように、昔の人の生活は自然と体を動かす機会が多くなっていたので、全身の感覚センサーから脳へ大量の「感覚情報」がインプットされ、脳の発達が促されていたと考えれています。
現代の生活様式は脳の発達を妨げる!?
一方、現代は機械やインターネットなどのテクノロジーが発達し、便利な生活になりました。わざわざ出掛けなくともスマホやパソコンで買い物ができ、家から出なくても仕事ができるようになりました。
しかし、肉体労働からデスクワーク中心の働き方に変わり、移動は車や電車などが中心となった現代では日常の活動量が大きく減少しました。そのため、脳にインプットされる「感覚情報」の量も減少する傾向にあります。
その結果、現代人の脳は理想的な発達ができなくなったり、機能の低下を起こしているケースが増えています。
インプットされる感覚情報が不足になると、脳は「危険な状態だ!」と判断する
このようにインプットされる感覚刺激が不足すると、脳は「自分の体がどうなっているのか」が分からなくなり、その状態を「危険だ」と判断します。
すると脳は危険に対処するために自律神経のうち、活動モードである交感神経を優位にし、筋肉の緊張を高め、血圧や体温を高めようとするのです。
このような状態が四六時中続いてしまうと、自律神経のバランスが乱れて「休息モード」の副交感神経が働きにくくなります。その結果、
・睡眠の質の低下し、疲労が取れなくなる
・ストレスを感じやすくなる
・首や肩、腰の筋肉の緊張し、肩こり、腰痛を引き起こす
・胃腸の働きが悪くなる
など、様々な弊害をもたらすようになるのです。
世界では年間43万人が「座り過ぎ」で亡くなっている!?
近年、「座り過ぎ」と死亡リスクの増加が相関関係にあることが研究により明らかになってきました。
54ヵ国の死亡者数の3.8%にあたる約43万人が、毎日長時間座って過ごす生活習慣病によって死亡しているという研究発表もあります。
日本人は世界で1番座っている時間が長い!?
それを踏まえた上で、ショッキングな事実を申し上げますと、実は日本人は「世界で1番座っている時間が長い」という調査結果もあります。
運動不足は飲酒、喫煙と並んで生活習慣病の原因の1つに挙げられていますが、日本の糖尿病にかかる医療費が世界5位ということを考えると、やはり「座っている時間が長いこと」の影響はあるのかもしれません。
まとめ
今回は「脳疲労を改善する3要素」の1つ、「感覚」についてお話をしてきました。
◾️私たちの脳は身体を動かすことによって、全身のセンサー(感覚器官)から「感覚情報」がインプットされることで発達している。
◾️機械やインターネットなどのテクノロジーが発達した現代は日常の活動量や運動量が減り、脳にインプットされる感覚情報が減少している。
◾️感覚情報のインプットが少ないと、脳は「自分の体がどうなっているのか」が分からなくなり、「危険な状態だ」と判断する。
◾️その結果、自律神経が乱れて交感神経が過剰になり、「睡眠の質の低下」「ストレス」「肩こり、腰痛」「胃腸の不調」などといった様々な悪影響を及ぼす。
次回も引き続き、「脳と感覚」についてお話をしていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。